琉球紅型は、琉球王朝の手厚い保護のもと、１８世紀に現在の様式が完成した沖縄の伝統織物工芸。その特色は南国特有の華やかな色彩とデザインである。現在、那覇市の首里を中心に２０の工房があるが、玉那覇有公さんをはじめ第一線で活躍する紅型作家のほとんどが、米軍の総攻撃により壊滅寸前となった紅型作りを復興させた故城間栄喜さんの手ほどきを受けた人たちである。また、県立首里高校には紅型を学ぶ染織デザイン科があり、若々しい感性も注入されつつ、伝統工芸の紅型は生き続けている。

さまざまな分野で活躍する第一級の人々が、その人ならではの視点で「いのち」をテーマに語る。◆今回は、ハイパー・メディア・クリエーターの高城剛さん。

もっとも人類に近いといわれる類人猿・ボノボの生態、メスを優先したり仲間と食べ物を分け合う姿を紹介し、ヒトに「心」が生まれてきた背景を探る。◆ボノボが暮らす熱帯雨林は数百年前にザイール川によって周囲と隔離され、激しい気候変動のない地域となった。結果、かれらには豊かな食料と平和な環境がもたらされ、独特の生態が生まれた。メスのほうが優位であり、ボスはいても絶対的な存在ではない。持ち主が確定したものは他者に奪われることはない。えさ場では食べ物を独占せず残しておいたり、「両手」に持って二足歩行し仲間のために運んだりする行動が見られる。野生のボノボの優しい姿を追う。

黒川能の最大の舞台は旧正月の祭りである。当屋と呼ばれる民家に、春日神社の御神体「王祗様」が降り、その前で徹夜で能が奉納される。祭りの準備は３ヵ月前から始まる。祭りの主催者は当屋で、最も名誉な役である。能は神社をはさんで上座と下座に分かれ競い合う。祭りの前日には御神体である「王祗様」が上座、下座の当屋の家に運ばれ、当屋に作った能舞台で能が始まる。人々は神と一緒に能をたのしむ。◆【国指定重要無形文化財】黒川能〔山形県〕

１９７６年登録。◆地中海と大西洋が接するあたりに近いフェズ川の岸に、９世紀はじめに建設されたモロッコ最古のイスラム都市。メディナ（旧市街）は城壁に囲まれ、敵の侵入に備えて路地は迷路のように入り組み、今も車は入れない。ロバやラバが荷物を運ぶ街は生活臭にあふれているが、中心部には巨大なモスクや豪邸がある。◆それらの壁面はタイルモザイクによって飾られているが、その抽象模様の豪華さ、美しさは、驚嘆に値する。短いが、皮なめしと染色作業も見もの。

二人の旅人が平成の眼であらためて古寺を巡礼するシリーズ。◆本州最南端、串本町の無量寺は別名応挙寺と呼ばれ、江戸時代を代表する円山応挙やその弟子・長沢芦雪の絵が多く残っている。大津波で流された無量寺の再建に際し、住職と親交のあった応挙が新築祝いに周壁画を描いて弟子の芦雪に届けさせ、芦雪も一年間滞在して作品を描き残したためである。日本画家の上村淳之と俳優の三田村邦彦が南紀を訪ね、そこに残る絵画を鑑賞。応挙や芦雪の画法や水墨画の写生画などについて語り合う。

日本各地を訪れ、受け継がれる伝統工芸の技と心を紹介する。◆五穀豊穣を祈願する南薩摩のお田植え祭。白装束の男たちが神田に入り、焼酎を飲んだ勢いで、肩を組んで泥だらけになって踊りまわる。「せっぺとべ」とは掛け声で、「精一杯飛べ」の意味。祭りの１週間前にはシベ作りが始まる。祭りの当日はこのシベを神に捧げ、終わると魔除けとして各家の床の間の柱に飾る。南薩摩の奇祭を農民の暮らしと共に描く。

４１歳の時に脳いっ血で倒れた作家・永倉万治の闘病記をもとに、彼の社会復帰に向けての苦難に満ちた闘病ぶりと、彼を取り巻く同病の患者、そして家族たちの人間模様を温かい視点で描く。（１９９６年１１月１０日～１２月１日放送、全４回）◆第３回。転院して本格的なリハビリを始めた長倉（うじきつよし）は、言語療法士の竹内から「書く能力に問題がある」と宣告される。同室になった鈴木（いかりや長介）や崎山たちは、不自由な言葉で落ち込む長倉を励ます。ある日、絵を見た連想を文章にするという課題が与えられる。死にものぐるいで取り組む長倉は、病後はじめて文章を書くことができた。そんな長倉に仕事の依頼がくる。