北部の大きな街リューレオの南西１０キロに、ガンメルスタード教会があり、その周辺がコテージ村になっている。このコテージは、１４世紀ごろから、教会のミサに馬車でやってくる農民たちが宿泊施設として設けたものだ。やがて親たちは、帰宅に際してここに息子や娘を残すようになり、若者の出会いと交際の場となる。自動車の登場で、現在は利用の仕方も変わってきたが、結婚式、洗礼式も取材している。近隣にあるパイプオルガン工場の作業の様子も。

森野泰明さん（当時６２歳）は京都市山科区に陶房を持つ。「たたら技法」は土をたたきつけ、掌でたたきながら土の板をつくる技法である。その板を使って衝立のようなオブジェを制作するのだ。◆訪ねてきた詩人の高橋睦郎さんに、膨大なテスト焼きの色ピースを見せる。釉薬は窯の中で火と出会ってはじめて色になる。土もそうで、これら三つの組み合わせがドラマをつくる。◆窯の蓋を開けるときが楽しみで、失敗しても、良かった時の思い出で、もう一度やってみようと思えるという。

作家・瀬戸内寂聴が、千年の時を越えて読み継がれてきた「源氏物語」について、自身の現代語訳をもとに語るシリーズ。個性豊かで魅力的な女性たちにスポットをあて、その生き方や性格・心理を読み解き、読者を惹きつける物語の魅力を探る。（４月７日～６月２３日、全１２回）◆第１０回は、源氏の息子である夕霧と結ばれた、頭の中将の娘・雲居の雁について。

阪神大震災から２年。６３００人を超す犠牲者の８割は家屋倒壊による圧死だった。生命を守るはずの家にいながら、これほど多くの犠牲者が出たのはなぜか。死因をひとつずつ検証すると、防ぐことのできたケースもあった。今回の震災で初めて「家具倒壊による圧死」と「通電火災」が注目された。家での被災を最小限に防ぎ、また地震で死なないため、どんな備えが必要か。圧死の構造、住宅内部の凶器・家具、さらに地震が収まった後に訪れる通電火災に焦点を絞り、身の回りにあるものが凶器になるメカニズムを検証し、暮らしの視点から改めて防災を考える。

日本に現在生息する約５５０種の野鳥のうち、大空を飛翔する姿の美しい鳥たち、澄んださえずりを谷間に響かせる鳥たち１００種の、特色豊かな生態を四季折々の美しい日本の原風景の中につづる。◆この回は、北海道大雪山でノゴマの生態を紹介する。

福島県東和町の人々は木幡山を信仰の山として崇めてきた。１２月１日の幡祭りは、大小１００本を超える大幡の行列が華やかである。農業を見守り、若い男子が成人になるのを見とどけるとされる木幡山。色とりどりの大幡は集落ごとに作られ、隠津島神社に奉納される。若者がくぐり岩をくぐりぬけることで生まれ変わるといわれる「胎内くぐり」の儀式もあり、源氏の白旗伝説と山岳信仰が混ざり合った祭りである。◆幡祭り

さまざまな分野で活躍する第一級の人々が、その人ならではの視点で「いのち」をテーマに語る。◆今回は、映画監督の河瀬直美さん。

ニュージーランドの南部には、森に住み海で魚を採って暮らす２種類のペンギンがいる。その子育ての様子を見ながら、ペンギンの進化を探る。大陸移動でニュージーランドが孤立したとき、天敵の哺乳類がいなかったため鳥たちは地上で餌をあさり、空を飛べない鳥へと“進化”した。その中で、海に入って飛び（泳ぎ）ながら魚を捕食したのがペンギンである。やがて海流に乗って南半球各地に広がり、それぞれの地に適応した。今も森に住む２種は、進化のプロトタイプ（原型）なのである。旅人は近内仁子。