終戦を境に激しい価値観の変化をみた昭和という時代。「昭和」を語り継ぐことをライフワークとする澤地久枝さんが、その時代を生きた人々の人生から昭和という時代を見つめる。（１９９４年４月４日～６月２０日放送、全１２回）◆第１回は、金融恐慌によって引き起こされた貧困という暗い時代としての昭和の始まりについて語る。

　侍たちの酒による過ちが多いので、殿様は禁酒を申し渡し、侍屋敷に番屋を作って取り締まることにした。お得意の侍に頼まれた酒屋が工夫を凝らして番屋の目をごまかし酒を持ち込もうとするが、ことごとくバレてしまい、その度に念のための吟味と称して隠した酒を飲まれてしまう。頭に来た酒屋が植木の肥しと言って小便の壷を持って通ろうとすると、吟味役からまだ懲りないかと声をかけられた。

陸上２００メートルの日本高校記録をもち、全日本選手権で２度優勝を果たした日本のトップスプリンター・奥山義行は大学を卒業後、オートバイ部品メーカーに就職した。陸上競技での栄光をきっぱりと捨て、少年の頃からの夢であったオートバイレーサーへの道を歩み出した彼。夢が現実になる日を目指す奥山さんを追う。

ちょうど百歳になった新内の語り手・岡本文弥さんの、失われない男の色気、若い女性をも魅了する芸の秘密に、その恋の遍歴を軸に迫る。◆格式張らずに簡素なお弟子さんへの芸名授与式にもその人柄がにじむ。伝統を受け継ぎながらも三百を超える新作新内を作ってきた岡本さん、中でも従軍慰安婦問題をテーマにした「ぶんやアリラン」はアジア各国から高い評価を受けた。庶民の嘆きを代弁してきた新内語りの真骨頂といえる。７０年前の金沢の芸者とのはかない恋、大阪の人との本気の浮気。家を出奔するが９０歳で戻る。芸の上では三味線のパートナーでもある妻は、喧嘩をしながらも夫を気遣う。百歳になってもこうありたいと思わせる日々を追う。

“秋を訪ねて”と題して、生田流の「砧」、山田流の「松風」の筝曲二題を鑑賞する。砧とは、布を柔らかくし、艶を出すために、台の上で木の槌で打つこと。秋から冬の女の夜なべ仕事とされ、源氏物語の時代から、秋の風物詩として描かれている。曲は砧の打つ音を取り入れ、拍子のはっきりした、短い音型を反復する「砧の手」が特徴である。「松風」も秋を表現する代表的な筝曲で、合奏と共に流れる唄の歌詞が、秋の趣向を一層盛り上げている。ゲストの寿岳章子さんは“京の秋”を語る。◆筝曲「砧」（生田流）、筝曲「松風」（山田流）、米川敏子【人間国宝】

写真を日本でポピュラーなものにした功労者・下田出身の下岡蓮杖の生涯をさぐる。◆激動の幕末、黒船の来港による下田開港のなかで、蓮杖がどのように写真術を会得していったのか、さまざまなエピソードを加え紹介する。日本総領事館となった玉泉寺、蓮杖が居候し、お礼にカメラを残していった阿波屋旅館を訪ねる。

石川県で外国人留学生の生活を助け続けて１８年になる松原時枝さんは、「金沢のオカアサン」と呼ばれている。松原さんと留学生たちの交流を中心に１年間の映像を綴り、国際交流の側面を描く。◆１９８３年、２１世紀までに１０万人の留学生を受け入れると発表した日本。それから１０年、全国には５万２千余人の外国人留学生が学んでいる。その９０パーセントがアジアからの留学生だが、私費留学生たちの生活は苦しい。金沢市の繁華街のビルにある石川県留学生協会で、ただ一人の常勤スタッフとして活動する６２歳の金沢さんは協会創立者のひとりでもある。生活に必要な品物の手配、アパート探し、アルバイトの相談、市民との交流など親身になって世話を続ける。◆石川テレビ開局２５周年記念番組

転勤先で、近所の小学校受験に巻き込まれながらも、奮闘する親子と、低年齢化する受験戦争をコメディータッチで描く。（１９９４年１月９日～３月２７日放送、全１２回）◆Ｖｏｌ．１「お受験バトル開始！」。大手の石けん会社に勤める井上実（布施博）は、人柄は良いのだが出世には縁がない。札幌支店から本社へ転勤となり、妻の若葉（山口智子）、息子の翼と東京の社宅に引っ越してきた。翼は来年小学生になる。翼の転入したスミレ聖母幼稚園が有名小学校の受験園と知ってびっくりした若葉だが、周囲が受験の準備に躍起となっているのを見て、にわかにあせり始める。