今から約２千年前の弥生時代、日本は中国・朝鮮からもたらされた稲作や金属器などの高度な海外文化によって大きな変革を遂げ、今日の日本文化の礎を築いた。海外の優れた技術が伝来し、日本が太古の眠りから目覚め文明が芽吹いた時代だった。発展の原動力となる稲作と鉄器は短期間で各地に広がり、列島を一気に文明の華で覆い尽くした。古代国家誕生への歴史の変遷を、吉野ヶ里遺跡の復元と出土品の中にとらえる。◆【国宝】金印〔福岡市美術館〕、三角縁神獣鏡〔宗像大社〕◆【重要文化財】吉武高木遺跡出土品〔福岡市立博物館〕

第２次大戦中にアメリカの手で開発された核兵器が、戦後にソ連をはじめとする各国にどう広がっていったか、また朝鮮戦争やキューバ危機などの国際紛争や外交の舞台で核がどんな役割を果たしたかを描く。（１９９０年３月４日～９日、全６回）◆第３回は、１９６２年１０月、ソ連によるキューバのミサイル配置計画に端を発するキューバ危機を取り上げる。核戦争の瀬戸際での米ソのやり取りを、世界はかたずをのんで見つめた。関係者の証言を軸に１３日間を再現する。

茶道の大成者・千利休の生きざまと人間的魅力を、最大の理解者である妻・りきと、父を愛するがゆえに厳しい批判者となる娘・加奈の２人の女性の視点を通して描く。毎日放送開局４０周年記念特別企画。◆物語は１５６８年、信長の矢銭強要で、自由商業の場・堺の茶湯が危機に見舞われた混乱から始まる。堺の商人として、ある意味では俗人として、茶も遊芸のひとつと考えていた宗易（のちの利休）を、信長との出逢いが大きく変えていく。一方その混乱のなか、りきとの出逢いもあった。信長の死によって秀吉の茶頭となり、天下一の茶の湯者に登りつめる利休に、栄達を捨ててほしいと訴える加奈、心を痛めるりき。利休の心は揺れ、秀吉との対立は深まる…。

　１９８９年３月、じん肺を患う徳島県三好郡の元出稼ぎ労働者３４人が、雇用企業のずさんな防じん管理に原因があるとし共同不法行為を問うて大手建設会社など３６社を相手に裁判を起こした。日本の発展を裏で支えた人々の苦しみを伝える。◆じん肺は掘削機などから出る粉じんを吸い込み続けることで肺の細胞が侵され、呼吸器障害を起こすもので「最古の職業病」といわれる。三好郡の人々は明治以来鉱山やトンネル工事の現場で働き、職能集団として評価されてきていた。その代償が命と健康であった。

クリーブランド美術館所蔵の日本美術品の中から、主に屏風図の名品を紹介。深江芦舟・土佐光吉・海北友松・渡辺始興といった、日本画壇の実力者の名品の数々がギャラリーを飾る。◆ほかに、白鳳期の『弥勒菩薩半跏像』や『阿弥陀如来像』、相阿弥の日本化した『瀟湘八景図』など、美術館関係者の日本美術への知識と眼力を示す逸品が多数陳列されている。異国の地で見事に花を咲かせている日本美術の、海外での評判を再認識させる構成である。◆弥勒菩薩半跏像、阿弥陀如来立像（康俊作）、竹と朝顔図屏風（海北友松筆）、燕子花図屏風（渡辺始興筆）、瀟湘八景図（相阿弥筆）、山猿図（長澤蘆雪画）〔クリーブランド美術館〕

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日～１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆萬屋錦之介：俳優。１９３２年東京生まれ。歌舞伎俳優を経て、１９５４年東映に入社。主な出演作は映画「笛吹童子」三部作（１９５２）や「柳生一族の陰謀」（１９７８）、テレビドラマ「子連れ狼」（１９７３～７６）など多数。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日～１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆犬養智子：作家。１９３１年東京生まれ。シカゴ・デイリーニュース東京支局勤務を経て、評論活動に専念する。主な著作に「わたしは女の子」（１９８１）、「女も七人の敵を持つ」（１９７３）など。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日～１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆戸川幸夫：作家。１９１２年山形生まれ。１９３７年東京日日新聞に入社、「毎日グラフ」編集次長などを務めたのち、１９５５年に退社して文筆活動に入る。１９６５年に西表島でイリオモテヤマネコを発見する。日本動物愛護協会理事、動物保護審議会委員などを歴任。「高安犬物語」で１９５４年下半期の直木賞を受賞。