三重と奈良の県境にある山村の桜並木の美しさを紹介する自然紀行。◆三重県の西部、奈良県との境にある美杉村は、緑豊かな美しい村。中でも多気地区は、中世から戦国にかけて２４０年間にわたって国司の栄光を守った北畠氏の最後の舞台となった土地である。◆南北朝の頃には北畠顕能がここに霧山城を築き、百数十年間平和に栄えた。そのため、ここには京都文化が持ち込まれている。室町時代の庭園の多くは寺院に属し、優美で華麗さを誇っているが、北畠神社にある庭園はそれとは対照的に素朴で豪放で野性的な魅力にあふれている。園内に石を配して緑の樹木と共存している枯山水も、珍しい様式である。出演は歌人の岡野弘彦さん。

チャールズ・ダーウィンが進化論を唱えるきっかけをつくった、帆船ビーグル号の航海を追体験し、その後の地球がどう変わったか、どう変わってゆくかを問いかける、全１１回の番組。第９回は、６５００年前にアフリカ大陸と分かれ、独自の進化の道をたどったマダガスカル島を訪れる。ダーウィンがマダガスカルを訪れたことはない。しかし、島に自生する長い蜜腺をもつランをイギリスで見た彼は、この花の蜜を吸う３０センチの口先を持つガの存在を予言した。４０年後にその予言は的中。そして今回、リポーターをつとめる昆虫写真家の今森光彦さんがその証拠写真の撮影に世界で初めて成功した。

１２年間５度にわたる渡航の失敗の後、盲目となって来日を果たした鑑真和上（６８８～７６３）の開いた戒律の道場・唐招提寺。「出家した者は他人の捨てたものを使えばよい」という鑑真の仏教思想から、建築には古い木材を再利用した。それまでの国家仏教としての一部の階層のための仏教を、あまねく衆生に仏の慈悲を広めようとする「戒律」の仏教とした。多くの民衆の願いは千手観音や千釈迦の仏像に再現され、天平の鑑真の理想は現代までその姿を変えない。◆【国宝】唐招提寺金堂、講堂、経蔵、宝蔵、盧舎那仏坐像〔唐招提寺〕、千手観音立像、梵天、帝釈天立像、四天王立像、薬師如来立像

三遊亭円朝の作で、真景は神経に通じるといわれ、怪談は聞く人の気持によるという円朝の考え方が伺われる。金貸しの皆川宗悦が旗本の深水新左衛門の家へ集金に行くが、酒に酔った深水に誤って殺されてしまう。丸一年経った日の夜、宗悦は幽霊となって現れ、深水の奥方に取りつく。狂乱状態になった深水は奥方まで殺してしまう。この作品も照明効果を生かした怪談咄である。

悪徳医者の村井長庵が、姪にあたる娘二人を遊女屋に売りとばした上、娘を心配して訪ねて来た母まで殺してしまう。恨んだ母親の亡霊が長庵を悩ます。その噂が拡まり、大岡越前の白州で裁きを受け処刑されてしまう。

作家・早乙女貢氏が福島県に関わりのある人物の足跡をたどり、その素顔を探るシリーズ。◆白河の関の場所については、いろいろな説がある。約１５００年前に軍事基地として設けられた白河の関の変遷をたどるとともに、それぞれの時代において、人々からどのように受け止められてきたかを探る。

木曽義仲の上洛、頼朝との対面、ひよどり越えの戦い、壇ノ浦の那須の与一のくだりを講談調で小気味よく語ってゆく。文治の洒脱な語り口で、客を笑わせながら語るさまは、話芸そのものである。

長野県の大部分を占め、日本列島を東西に二分する大断層地帯“フォッサマグナ”にスポットをあて、地質学を中心にした科学面と、歴史・風俗をとらえた文化面の両方からそこに秘められた謎の解明と悠久のロマンをたどる。テレビ信州開局１０周年記念。◆このフォッサマグナ地帯は西側を糸魚川－静岡構造線、東側は未確認だが柏崎と銚子を結ぶ線だといわれる大陥没地帯で日本の国土の約７分の１を占める。そしてここに日本の人口の３分の１が住み産業も集中している。このフォッサマグナが日本のふるさと文化醸成のるつぼであるという視点から日本と日本人の生活の形成にどうかかわってきたかを探る。