漫才師・島田紳助が中年ライダーを中心に仲間たちと素人チームを結成、日本モーターレース界の一大レース・鈴鹿８時間耐久に挑むまでを描く。◆１９８５年７月２８日、島田と仲間たちはたまり場にしている飲み屋でライダーの千石を待っていた。千石は数年前からメーカーに雇われて鈴鹿８耐に出場している。疲れた顔で現れた千石はポツリと「リタイアだった」と言う。紳助は突き上げられるようにチームの結成を提案、全員一致で決定した。ところがまずスポンサー探しから難航、紳助は企画書を手に奔走するがどこでも断られる。ようやくバイクを借りるめどが立ったのは１０月だった。

臓器移植と深いかかわりをもつ「脳死」の問題。長いこと心停止をもって人の死としてきた日本社会に、医療の進歩が生命観の変化を迫っている。移植先進国アメリカと比べつつ、論議が高まり津つある日本の現状を示す。◆１９８８年（昭和６３）日本医師会生命倫理懇談会は、脳死を人の死であるとした最終報告を発表した。“脳の不可逆的機能喪失”をもって死とする脳死の判定基準は「深い昏睡」「自発呼吸の消失」「瞳孔散大」などの条件が６時間以上満たされていること、とされる。

絶滅のおそれのあるシジュウカラガンを人工的に繁殖させて野生に戻そうと努力を続けている仙台市八木山動物園の試みをレポートする。◆１９８３年（昭和５８）繁殖のための親鳥がアメリカから送られてきた。８５年には国内で初めてふ化に成功。しかし野生化実験は、行方不明になるものや北に帰らず居残るものなどなかなか成功しない。８８年５月、ようやく“００８”の標識をつけた一羽が、野生のシジュウカラガンと最終中継地の北海道・宮島沼から飛び立っていった。

飛騨・高山に４００年の伝統を誇る飛騨春慶がある。木地に透き漆をかけて自然の木目を見せるのが特徴。漆器に派手さはないが年月を経ると色に深みを増す。工程が単純なだけに、一つの工程に作り手の技と工夫が凝らされ、それが各職人の個性として作品に生かされる。木地師と塗師の見事な合作である。◆春慶の名は、その色が陶器の茶つぼの名品と似ているところから付けられたという。

１９８８年の大相撲九州場所に３９連勝でのぞみ、大鵬の４５連勝（史上２位）に挑んだ横綱・千代の富士の１５日間のドキュメント。◆連勝街道を快進する千代の富士がどこまで記録をのばすか、また千代の富士を破るのは誰か、が、この九州場所最大の関心事であった。千代の富士は初日から勝ち続け、６日目で４５勝と大鵬に並び、７日目も勝って史上２位の４６連勝を達成した。次に挑戦するのは双葉山の６９連勝という大記録である。注目の中、千代の富士は勝ち続け、全勝で千秋楽を迎えた。対戦相手は横綱・大乃国。惜しくも千代の富士は敗れ、連勝記録は５３で止まる。

ミステリー小説の原稿を利用して、夫と愛人が妻殺しを自殺に偽装しようと企むサスペンス。◆宗雄は京都の短大のさえない英語教師。年上の妻・和子には学生時代から世話になっているので頭が上がらない。ある日、街でかつての教え子・美矢子に助けられたのをきっかけに、夫を亡くしていた美矢子と宗雄の不倫関係が始まる。半年後、夫に女がいると気付いた和子は宗雄を尾行し、女の家を突き止める。宗雄は内職で翻訳したミステリーを美矢子に見せ、和子が下訳した原稿の遺書の部分を使えば、和子を殺しても自殺に見せかけられると話していた。

赤道直下ボルネオ島の北部に位置するマレーシア・サバ州。ここにすむオランウータンを絶滅の危機から救おうと奮闘している日本人獣医・北浦賢次さんの活動を追いながら、自然と人間のかかわり合いの大切さと難かしさを考える。◆北浦さんはサバ州のかつての州都・サンダカン郊外の保護林・セピログの森にあるオランウータン・リハビリテーション・センターで親を亡くしたり、不法にペットとして飼われていたオランウータンの子供を自然へ帰すための訓練を行っている。青年海外協力隊員としての２年間の任期の間に、土地の人々でオランウータンの健康管理ができるように教育することとオランウータンのための新しい病院の建設を目標に活躍する。

やもめの父と独身の中年息子が織りなす人情ドラマ。父は息子の嫁探しに余念がない。そこに現れた美人の母娘に父子ともにひかれていくが、それが騒動のはじまりとなる。◆夜の街に繰りだし悪酔いした昭伍（竹脇無我）はホステスの悠子（遥くらら）に家まで送ってもらう。夕食もとらずに待っていた父・辰造（森繁久彌）は当然おかんむり、プイと家を出てしまう。翌日慌てて探す昭伍だが、どこへ行ったのかわからない。その頃、辰造は暇潰しに入ったパチンコ屋で常連客の志乃（藤間紫）と意気投合していた。なんと志乃は悠子の母親だった。