ＪＮＮ九州沖縄７局の合同企画シリーズ。九州沖縄地方の豊かな自然や古来からの歴史、多彩な文化など、かけがえのない郷土の遺産を後世に伝える。１９９７年から２００２年まで全３５本を放送。◆１９９６年１２月、広島の原爆ドームが世界遺産に登録された。もうひとつの被曝地、長崎には原爆ドームのようなシンボリックな原爆遺構は残っていない。しかし被曝地を歩くと町のあちこちに原爆の傷痕をとどめた遺構が残っている。これらは世界で２発目の原爆の惨禍を伝える人類の負の遺産といえる。例えば、片足で立っている山王神社の鳥居。一方の柱は原爆の強烈な爆風で吹き飛ばされたもの。鳥居の表面は熱戦で剥離された。あの日「片足鳥居」の側では全身血だらけになった男が倒れ、腕を焼かれ幽霊のように髪を振り乱した女が横たわっていた。当時、東洋一といわれた浦上天主堂は原爆で一瞬のうちに倒壊し、敬虔なカトリック信者約８５００人が犠牲となった。今では再建された教会の前庭に立つ首を吹き飛ばされた聖人像が、あの日の惨状をわずかに伝えているだけである。そんな長崎の原爆遺構と遺構にまつわる秘話を紹介する。

１９８８年登録。◆ヒマラヤ山脈の西よりにあるナンダ・デヴィは７８１７ｍ。インド第２の高峰で、パールヴァティ女神の山とされる。１１月、この年最後のヒマラヤ巡礼に同行して、山麓に住む人々の信仰や生活を取材した。山の神は登山家にも寛容ではなく、ナンダ・デヴィと名付けられた登山家の娘は、この山で亡くなった。◆冬の高地は寒さが厳しいので住民は麓の村に降りるが、その中で修行するサドゥー（出家行者）の、山の一部になろうとする姿が美しい。

エチオピアの北部、首都アジスアベバからバスで２日、ラリベラの町の急峻な山の中に、第二のエルサレムといわれる、百を超す教会群がある。神の声に導かれて造ったというこれら教会のほとんどが、岩塊を削り抜いた彫刻でできており、その精緻さと人間の技の凄さに、感嘆させられる。中でも、タボットという名の、上から見ると十字型の教会が珍しい。◆毎年１月、国内から大勢の信徒が参集するティムカット、キリスト洗礼祭の様子が、詳しく紹介されている。

役者の芸を観るこの回では、仇討の本心を隠しながら茶屋遊びをする大星由良助に焦点を当てて鑑賞する。由良助の役は、思慮分別もあり、やさしい情も持ちながら時に冷静果断な行動をとる実務家すなわち歌舞伎では実役と云われる役柄で、四段目と七段目が仕どころである。役者の風格、歩んで来た人生、積み上げた年功が者をいう大きな役を、片岡仁左衛門の由良助で、見どころごとに鑑賞する。◆「仮名手本忠臣蔵七段目」、片岡仁左衛門（重要無形文化財保持者）、市村羽左衛門（重要無形文化財保持者）、尾上梅幸（重要無形文化財保持者）、中村吉右衛門、片岡秀太郎、助高屋小伝次。◆副音声は英語

日本各地を訪れ、受け継がれる伝統工芸の技と心を紹介する。◆柳津町を潤す只見川沿いに日本三虚空蔵の一つ、弘法大師に由来する福満虚空蔵菩薩がある。その円蔵寺で毎年１月７日の夜、無病息災と家内安全を祈る『裸まいり』が行われる。その円蔵寺が建立された頃から柳津で脈々と守り伝えられてきた技が微細彫りである。冬景色の中に生きる微細彫刻師の姿を描きながら、ミクロの世界を紹介する。

日本に現在生息する約５５０種の野鳥のうち、大空を飛翔する姿の美しい鳥たち、澄んださえずりを谷間に響かせる鳥たち１００種の、特色豊かな生態を四季折々の美しい日本の原風景の中につづる。◆この回は、佐賀県佐賀市でカササギの生態を紹介する。

歌手やアーティストをゲストに迎え、自分の歌った忘れ得ぬ一曲について語ってもらい、最後にその曲をスタジオライブで披露するミュージック＆トーク番組。司会は由紀さおり。◆１９８８年に岡林信康が発表した韓国民謡「ペンノレ」について、岡林にインタビューし、岡林が「ペンノレ」を歌う。

モスクワから北東へ２００ｋｍ、ロシア草創期の２つの町がある。キエフに興り、小国分立の時代を迎えたロシアは、１１世紀になって勢力をのばした公国が、スーズダリを首都とし、１２世紀、ウラジーミルに移った。２つの町の教会は落ち着いた白壁をもつのが特徴で、ウスペンスキー大聖堂など、主だったものを見ていく。８月２１日のフョードルの祭りも紹介され、敬けんな歌と祈りが続き厳かさにうたれる。ソビエト連邦解体後、人々は教会を心のよりどころにしつつあるという。