佐賀県唐津市の農民作家・山下惣一さんと、山形県高島町の農民詩人・星寛治さんは出会って以来之１５年間手紙のやり取りを続けてきた。その往復書簡を軸に、日本の北と南の村の日々を見つめ、揺れる日本の農業のいまを伝える。◆減反政策や農産物の輸入自由化など猫の目のように変化する農業政策に翻弄され、後継者不足、嫁不足にも悩み続けてきた農村。さらに１９９３年は台風の被害や冷害が日本全国を見舞い、農家はこれまでにない苦境に立たされた。二人の間を行き交う書簡にも危機感が募っている。

政権交代、続く不況、コメ大凶作にコメ市場開放、ゼネコン汚職とビッグニュースが続いた１９９３年（平成５）。内外のニュースをテーマ別に分け、新たな証言や追跡取材を通してその背景を捉えなおすとともに、将来に持つ意味を探る。（４夜連続）◆第三回は、北海道・奥尻を襲った大津波と、大手ゼネコン各社と地方自治体トップの癒着など、業界ぐるみの汚職にスポットを当てる。津波災害から立ち上がり始めた奥尻島住民の姿を紹介。また、会社上層部から地方自治体首長まで多数の逮捕者を出した「官政業」癒着の構図に迫る。

一時は挫折した刀鍛治が娘の努力で立ち直るまでを描く。鎌倉の五郎正宗直伝の刀鍛治・兼氏は、関の里（美濃）で他国者として不遇な生活を送っていた。それを見かねた殿様が地元の刀鍛治と兼氏の腕を競わせることに。兼氏の娘はそれを機会に父に立ち直ってもらおうと一計を案じた。

冷害で不作に見舞われた１９９３年秋、ほぼ例年なみの収穫をあげた「不耕起栽培」を取りあげ、取り組む農家の様子と収穫までの生育の様子を紹介する。◆１９９３年夏は冷夏となり米は不作、緊急輸入の騒動まで起こった。標高５００メートルの猪苗代町では通常の稲作では一粒も収穫できないほどだったのに、不耕起農家では６割の収穫を確保。全国的にも同様の結果を示した。「不耕起」とは、「耕す」「代かき」の作業を省く稲作で、千葉県の研究グループが１０年ほど前から実践していた。自然に近い生育のため台風や病気に強く、粒も大きく味もよいとの結果が出ている。

宮田寅治、猪俣道之輔などを擁し平塚を拠点として起こった自由民権運動は、その後「明治の文化村」づくりへと発展し、三郡共立学校（現在の県立平塚農業高校）の設立、盲学校などの福祉機関の設立など、今日の教育・文化にも多大な影響を与えた。平塚を中心とした自由民権運動の足跡を訪ねて、当時の民権運動の意義を考える。

１９５３年、朝鮮戦争停戦協定によって、それまで北緯３８度線で分断されていた朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国に新たな軍事境界線が設けられた。それがＤＭＺである。この南北２キロずつ合計４キロ、東西２４８キロに及ぶ非武装地帯は立ち入りが一切禁じられているため、皮肉にも動植物の楽園になった。そこに生きる動物たちの貴重な生態を南北の軍隊による厳しい監視のもと、リポートする。

「系列」の強化をおし進める親会社に対して、企業の自主性を守ろうとする会社創設者の社長とその息子たち。彼らの闘いを通し、現代企業人の魂を描く。原作：清水一行。（全２回）◆第１部「社長の椅子」。先代が興した町工場を従業員３千６百人の自動車ランプメーカーにまで育てた大成照明器の社長・浜岡茂哉（佐藤慶）。しかし、そのためには日本を代表する巨大自動車会社の系列下に入らざるをえなかった。その親会社・東京自動車が内規にしたがって、６８歳の茂哉に引退を迫ってきた。茂哉は長男の祥吾（三浦友和）に後を継がせたいと思うが、東京自動車はそれを許さない。やがて、金融ブローカーをしている浜岡家の次男・恒男（西城秀樹）も争いに巻き込まれてゆく。

　１９４４年、青梅に疎開した川合玉堂は、その後８５歳で亡くなるまで、終生御岳の地を離れなかった。奥多摩の自然を愛した玉堂は、日展審査員、東京美術学校教授などの一切を辞退し、専ら自然の中で絵筆を振るい、数々の名作を世に出していったのである。巨匠の人柄を慕う地元の熱意によって、没後４年の１９６１年に美術館が開館した。生前の記録映像を交えて紹介する。（青梅市）