ＮＨＫとフランス・テレビ１（ＴＦ１）との共同制作により、世界最大級の美術館・ルーブル美術館の全貌を紹介するシリーズ。（１９８５年４月２８日～１９８６年４月２０日、全１３回）◆第８回は、イタリア・ルネサンスの頂点で輩出した巨匠たちの芸術の饗宴を描く。１６世紀前半、レオナルド・ダ・ビンチ、ラファエロ、ミケランジェロなどの登場でルネサンスの波は頂点に達し、各地に及んだ。中でもベネチアではティツィアーノ、ティントレット、ベロネーゼらが出て豊かな色彩が輝く絵を生みだした。フランスでもこの影響を受けてフランス・ルネサンスが興る。

フランスの劇作家ジャン・ラジーヌの古典戯曲「ブリタニキス」をもとに、現代性のある創作舞踊を組み立てていく。ローマ宮廷を舞台に若き日の皇帝ネロが権力欲の権化である母親に抵抗し、圧力をはねのけて自立しようとする過程を描いた愛憎のドラマである。権力欲、母子の愛情、母性からの自立、近親相姦、サディズムなど現代に通ずるテーマを、日本舞踊の様式美の中でドラマチックに表現する。

総合雑誌の草分け『中央公論』の創刊から１００年。総合雑誌を通して日本の近代をふりかえるシリーズ。（１９８５年１１月２５日～２８日、全４回）◆第３回は「戦争」。関東大震災とともに大正デモクラシーは終わり、社会環境は急変していく。昭和期中産階級のシンボルといわれた文芸春秋の出現、初の編集者・滝田樗陰の死、大正言論の中核・吉野作造の論壇からの後退。やがて満州事変の勃発以後、軍部による言論統制が強まってゆき、ついに１９４４年（昭１９）７月、中央公論は自発的に廃刊、５９年の歴史を閉じる。

太く強い信頼関係で結ばれた高校教師と卒業生たちの交流を通して、学校教育の本当の姿、真の教師像を明るくさわやかに描いていくドキュメンタリー。◆高校の教師をしていた男性は、大腸がんに侵され、病院に入院している。彼を今日まで支えてきたのは、数多くの教え子たちの励ましだった。中でも１９６７年（昭４２）に卒業した教え子たちは毎年同窓会を開き、恩師を招いている。

大正１２年９月１日、帝国ホテルが完成した。奇しくも同日、関東大震災が襲ったが影響はなかった。設計者はアメリカの著名な建築家、フランク・ロイド・ライトである。深い軒や独自の装飾によってつくられる濃い陰影。建築用材として省みられなかった日本産の大谷石の巧みな使用。自由な空間構成と東洋的性格が調和した見事な建造物である。ライトの構想の中には宇治の平等院の姿が重なっている。光と陰の生み出す濃淡や独特の造形美からは、天才ライトの日本へ寄せる思いが伝わってくる。◆帝国ホテル中央玄関

四国の小さな田舎町から眺めた庶民の昭和史を温かくつづったドラマシリーズ、第一章・全７回の最終回。（１９８５年４月１３日～５月２５日放送）◆静子（桃井かおり）の初恋の人、清沢中尉が妻とともに現れた。静子と結婚できなかった理由を釈明、わびに来たのだった。その夜、静子は勝二（河原崎長一郎）に事情を詳しく説明した。優しい勝二はそんなことより静子と結婚したのは自分だということの方が大切と考え、巡子（内田也哉子）と生まれてくる子の将来を楽しみにしていた。ところが蝶子（磯野洋子）が産気づき、幸三（森本レオ）とおこう（永島暎子）が駆け落ちする騒ぎにキリキリ舞いの静子は流産してしまう。

太平洋戦争の終結を実現した戦中最後の内閣総理大臣、鈴木貫太郎の苦難と、彼を影から支えた家族の姿を描く終戦秘話。半藤一利著「聖断」より。◆鈴木貫太郎はかつて侍従長をつとめ、昭和天皇の信任は厚かった。あくまでも戦争継続を主唱する陸軍ら強硬派の圧力の中で、「聖断」を引き出し終戦に導く宰相・鈴木貫太郎（森繁久彌）の姿を、天皇の歴史的ともいえる決断を含めて描く。

作家やタレントなど毎回多彩なレポーターが、旅人、案内役となって個性的な旅をくりひろげ、旅の楽しさを伝えるシリーズ。主題歌のヒットやスポンサーが展開したキャンペーン（当時の国鉄による“ディスカバー・ジャパン”）の成功などにより、長寿番組となった。（１９７０年１０月４日開始）◆この回は歌手・ちあきなおみが旅人となり、異国情緒ただよう横浜・横須賀の街を訪ねる。横浜はパン屋、牛乳屋、クリーニング、アイスクリームなど、ものの“はじめ物語”のメッカ。桜木町駅、横浜公園、山手、中華街、山下公園のホテル、税関、根岸競馬記念公園などをめぐって横須賀へ。ＥＭクラブ、ドブ板通り、記念艦「三笠」、観音崎灯台などをエピソードとともに紹介する。