『熊野』は平家物語海道下りのエピソードを能に仕立てた作品で、三番曲の鬘物として親しまれている情緒豊かな作品。◆平宗盛の愛人・熊野は年老いた母が病なので暇を願い出るが許されず、清水の花見に同行させられる。熊野が母の身を案ずる歌を詠むと宗盛もさすがに哀れを感じ暇を与える。現実の空間と時間の中で進行する現在能の傑作の一つ。◆副音声は英語

鎌倉を舞台にママさんバスガイドのひと夏の恋物語。◆ベテランバスガイドの愛子は、仕事中に客の玉井から娘・純子を預かってくれと頼まれる。規則違反だが、好みのタイプである玉井の頼みを断れず引き受けてしまう。約束の時間になっても玉井は娘を迎えにこず、やっと戻ってきたと思ったら財布をすられたという。同情した愛子は二人を家に泊め、そのまま面倒を見ることになってしまう。

ベトナムからトルコ国境へとアジアを東西に横断する“アジアハイウェー”。国連の提唱によって建設され、繁栄と平和の道となるはずだったこのルート上の国々の現状を描くシリーズ。（１９９３年４月２５日～１９９４年３月２７日放送、全１０回）◆第七集は、ヒンズー最大の聖地・ベナレスから様々な宗教の聖地を経て、パキスタン国境へ走る。インドはヒンズー教、イスラム教、シーク教、仏教など、多様なそして互いに相容れない宗教を抱える。激しい対立が宗教抗争を引き起こし続けている。その現状を見つめながら、なぜ宗教は争うのか掘り下げる。

物見遊山を兼ね、伊勢参りに出かけた生薬問屋の旦那と新太の主従。帰途名古屋の中村遊郭で遊んだ後、心中未遂の若者二人を助けた。帰りの予定が変わったため、新太は店に宛てて電報を打つ。

数多くのドラマを生んだ１９９３年（平成５）のスポーツ界を振り返る、年末のスポーツハイライト。◆史上最年少で大関に昇進した貴ノ花、続いて兄の若ノ花も大関昇進を果たし、大相撲史上初の兄弟同時大関となった。一方、久しく空席だった横綱の地位にハワイ出身の曙が昇りつめ、伝統を重んじる角界で初の外国人横綱となった。初づくめとなった１９９３年の大相撲の１年を豊富な映像とともに振り返る。

米の自由化問題に揺れる世界情勢の中で、カリフォルニアと新潟の米作りを１年間にわたって追跡取材、また流通、食べ方の違いを考察して自由化問題をより広い視野から捉える。◆カリフォルニア州サクラメントバレーの４００ヘクタールの田を耕作するライストロームさんは、カリフォルニアで初めて米作りを始めた農家の３代目。レーザー光線を使った田の整地や飛行機による種蒔き、コンピューターによる生産管理など大規模ならではの農業経営である。一方新潟県南魚沼で６ヘクタールを耕作する今井さんはコシヒカリの有機栽培を手掛けている。またアメリカでご飯食を広め、国内需要を増やすことで日本への圧力を弱めようとしている「イート・モア・ライス」運動も紹介。

姉妹や恋人など、親しかった女性たちの胸に「学徒出陣」が刻み込んだものを探って、「学徒出陣の５０年」を描く。◆生き残った学徒兵、岡田英雄氏が綴った克明な記録「学徒出陣」を軸に、当時の記録フィルムを多数挿入してその状況を描く。また残された姉妹や親友が語る思い出、極限状況でしたためられた学徒兵の手記を紹介して戦火に散った青春を浮かびあがらせる。

在日朝鮮人三世の金有美さんは、民族教育を受けたため、日本人とのつきあいがほとんどない。そんな有美さんが（ＮＨＫ青春メッセージ）で「お会いしませんか」と、メッセージを投げかけたのをきっかけに、日本人の若者との交流が始まった。亡き祖父の歩みを確かめながら、自分の道を探してゆく有美さんの姿を、日本の若者との交流や日常生活の中で追ってゆく。