風通しのよいサラッとした肌触り、かつて沖縄では誰もが身につけた芭蕉布を、民俗学者・柳宗悦は「今時こんな美しい布はめったにない、本物だ」と驚嘆した。現在、芭蕉布は大宜味村喜如嘉だけで作られている。その核となって芭蕉布一筋に取り組んでいるのが、平良敏子さん。番組では糸芭蕉作りから仕上げまで、「芭蕉布の里」喜如嘉での沖縄の風土が生み出した布作りの過程を描きつつ、「糸との対話５０年」という平良さんの芭蕉布への情熱と努力の足跡を紹介する。

茨城県の太平洋側に建つ鹿島神宮。神話伝説に包まれた日本最古の神社のひとつである。祭神・建御雷大神は、天孫降臨のとき国造りに功績をあげ、勇武の神として信仰されてきた。７世紀に大陸からの侵攻に備えて招集された防人たちは鹿島の社頭から筑紫（九州）へ旅立っていった。「鹿島立ち」の語源である。２１万坪にも親部広大な神の森の奥深くに建ち並ぶ多くの社殿は、ほとんどが重要文化財。神秘的な千古の森には、今も太古の風が吹いている。◆【国宝】直刀・黒漆平文大刀拵（鹿島神宮）、春日大社本殿【重要文化財】鹿島神宮本殿・石の間・幤殿・拝殿・楼門、鹿島神摂社奥宮本殿・楼門、梅竹蒔絵鞍、雪村周継自画像

北海道の大地の生活と文化を育み歴史を編んできた生命線「道」がテーマ。俳優でケーナ奏者の田中健と、リマ出身のママドゥ・ドゥンビアが道をたどり、出会う人々や自然の息遣いを曲に創りあげ演奏する。◆秋の美しい景色の中、ふたりは北の町や海を訪ね、黄金色に輝く大地、収穫祭、鮭の遡上、そして忍び寄る冬の気配と出会っていく。テレビ北海道開局５周年記念特別番組。

１９８７年６月１日の放送開始以来、６０００回を超えて続く長寿ミニ番組。列車での旅を通して、美しい風景とそこに住む人々の生活を描く。◆今回は「停車駅」と題して、ロシア・シベリア鉄道（ウラジオストク・ハバロフスク）を紹介する。

大正初め、東北の小さな村での出来事。赤ん坊のとき吹雪で両親を失った娘ユキは、村一番の富豪に望まれ１６歳のときに嫁入りする。嫁入り行列は猛烈な吹雪に阻まれとある農家に避難するが雪はいくら待っても降り止まない。厳しい自然の中で運命にもてあそばれながらも強く生きる女を描く。

自由律俳句の俳人・種田山頭火の九州放浪・行乞の旅をたて軸に、その生い立ちから放浪後の人生をよこ軸にして、その魅力の秘密を描く。◆破産した山口の実家を捨て、１９７６年（大正５）熊本へやってきた山頭火。酒に溺れ、自堕落な生活を送っていた彼は、１９３０年（昭和５）、これまでの生活をたて直そうと九州一円の旅に出る。９月から１２月まで、その懸命の旅は続いた。

東海道は大地震や大津波によって何度かその姿を変えてきた。その具体的な事例をいくつか紹介し、現在心配されている東海地震に対する備え、対策についても考える。◆淡水湖だった浜名湖が今切口で太平洋とつながったのは１４９８年の大地震のせいとも、１５１０年の大津波が原因ともいわれる。また“入り鉄砲に出女”で有名な新居の関所も、大地震や大津波で場所を２度移動している。富士市依田橋町（旧吉原宿）には富士山が街道の左側に見える“左富士”の名所がある。これは大地震のため東海道が大きく内陸に移動し、吉原宿が右へ湾曲したためである。

偉人、有名人、人知れずに大事を成し遂げた人など、福島にゆかりある人物の足跡をたどり、その人の業績と人柄を描くシリーズ。◆幕末の激動期の慶応３年、京都近江屋で土佐藩士・坂本龍馬が暗殺された事件は有名であるが、この暗殺者については色々な人物が挙げられている。その説の一つに、会津藩士・佐々木只三郎が斬ったという説がある。「只三郎が龍馬を斬った」という説は彼の兄が亡くなるときに語ったもので、京都守護職の会津藩主・松平容保の命によったという。小太刀の使い手として名を馳せていた只三郎であるが、果たしてこの話は本当なのだろうか。史料にもとづいて検証し、龍馬暗殺の真相を探る。