放送衛星をはじめとするテレビメディアの普及により西側の情報が国境を越えて社会主義国に流れ込み、中国の民主化運動や東欧の変革に大きな影響を与えたといわれる。変革の牽引力としてテレビが果たした役割を具体的に検証し、放送未来を展望する。

「死して屍拾う者無し」のナレーションで知られた人気時代劇の再登場。幕政を立て直すための老中直属の探索組織「隠密同心」の活躍を描く。橋爪淳主演の平成版第１シリーズ。（１９９０年１０月１２日～１９９１年３月２９日放送）◆十一代将軍家斉の時代。田沼の腐敗政治を引き継いだ老中・松平定信は、隠密同心を組織した。身分は御家人だが任務は一代限り、たとえ殉職しても闇から闇へ葬られる過酷な宿命を背負っていた。世直しに燃える初代組頭・葉月のもと、個性的な男たちが集められた。

日本には約１７０万人もの人が文字の読み書きに不自由していると言われる。この中には、被差別部落の人々もいる。読み書き教室の様子や人間解放と文字をテーマに考える。◆同和対策事業が実施されて２０年、さまざまな環境改善が進んだ。識字、それは文字と人間との真剣な出会いの世界。同和事業の中で行われている識字教育と文字を学ぶ人々を各地に訪ねる。生活の中で文字を識ることがどれだけ人生を明るくするかを伝える。

１９４５年（昭和２０）に厚生省派遣の看護婦として満州へ渡り、今も中国で生きる女性を通し、年老いて望郷の思いも深まる中国残留婦人の問題を探る。◆彼女の出身は山口県。敗戦後も病人の看護を続けるうちに帰国する機会を失った。同じくソ連国境に近い黒龍江省訥河県に住む女性は、義勇隊開拓団の花嫁だったが、病気で動けなくなり中国人男性のもとに売られた。この２人は戦後になって偶然再会し、励まし合って生きてきた。１９８８年（昭和６３）２人は一時帰国することになる。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日～１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆永井路子：作家。１９２５年東京生まれ。１９４９年小学館に入社し、雑誌編集のかたわら文筆活動に従事する。１９６１年に退社し、本格的な文筆活動に入る。１９８４年に菊池寛賞を受賞。主な作品に「北条政子」（１９６９）、「一豊の妻」（１９７２）など。

都会の孤独な若者たちが、老人の故郷釧路に同行する。◆雅子はチェリストを目指し、東京で一人暮らし。ふとしたことでクラブで雑用をしている隆造を知り、そこに出入りする若者たちとのつき合いが始まる。富山から上京した予備校生の修造、熊本出身の看護婦・恵美らは閉店後のクラブに何となく集まりそれぞれの故郷を語り合う。隆造は故郷への思いをつのらせ、雅子たちに一緒に釧路へ行ってくれるように頼む。

讃岐の「金比羅さん」は、正式には金刀比羅宮である。象頭山に鎮座する金比羅さんは、もとインドのクンピーラ（海神竜王）から来た名。神仏習合の社殿で、航海安全と海難救助を司る神であり、農民にとっては雨をもたらす竜神でもある。身近で、気さくで、誰の願い事も聞いてくれる現世利益の神となり、現代も参拝客が多い。表書院・奥書院には応挙や若沖の名画が伝わり、堂塔・仏像に文化財が多い。◆【重要文化財】金刀比羅宮表書院、奥書院、旭社、遊虎図（円山応挙筆）〔金刀比羅宮〕、竹林七賢図（円山応挙筆）、十一面観音立像

自分に正直にこだわりをもって生きている、味のある人々との紀州・伊勢路の出会い旅。檜の本場、紀州で檜材から木酢液を作るなど木材の有効利用に打ち込む人。竹で寒ランを作る竹工芸家。格天井に王朝絵巻を飾る寺。独学で木工芸を習得した木工師等を紹介する。旅人は東野英心。◆第１０１３回