桃山時代、戦国武将の茶の湯の華とされた志野焼は、わずか５０年で窯の火は消え幻の焼き物となった。１９３０（昭和５）年、荒川豊蔵が美濃の古窯跡で竹の子が描かれた陶片を発見したことで現代によみがえった。日本陶磁史上最も傑出するとまで称賛される志野焼の再現のため、荒川は９１年の生涯を捧げた。日本で初めての白い陶器に魅了され荒川の弟子となって３０年の陶芸家・加藤孝造の作陶工程を追い、美濃の里で桃山陶器を現代に伝える窯元を見る。◆【国宝】志野茶碗銘卯花墻〔個人〕◆【その他】絵志野蘆文矢筈口水指「古岸」〔畠山記念館〕、志野筍絵茶碗「随縁」（荒川豊蔵作）〔豊蔵資料館〕、志野筍絵筒茶碗「玉川」〔個人〕

新しい織田信長像とその時代に生きた人々の姿を描く。ＮＨＫ大河ドラマ第３０作「信長　ＫＩＮＧ　ＯＦ　ＺＩＰＡＮＧＵ」の総集編。全３回。原作・脚本：田向正健。◆第２集「天下布武」。武名を挙げた信長（緒形直人）に対して諸国の目が集まっていた。将軍・足利義昭を保護し、二条城の造営にとりかかった信長は宣教師フロイスに出会い、異国への関心を持つ。一向宗の信徒に手を焼き、武田信玄の包囲網に苦闘するが信玄の急死に救われる。

「友達以上恋人未満」の関係で、付かず離れず続く男女の１０年の軌跡を描く。（１９９２年１０月１６日～１２月２５日放送、全１２回）◆第１話「今　幸せですか？」。１０年前、妻子ある上司と密会していた青空（田中美佐子）は、パンツ一丁で不倫現場から逃げ出した男・嵐（浜田雅功）を助ける。嵐はいきなり青空を口説きはじめる。青空は、親友の文（斉藤慶子）の恋人・雅一（大江千里）を好きになり苦しんでいた。実は嵐と雅一は幼なじみで、嵐は無責任にも青空をたきつける。そして、雅一と文の結婚式当日となった。

幕末の天才画家として名高い渡辺崋山。三河の田原藩江戸家老として藩政に励む傍ら、画才を磨き西洋画に傾倒することにより蘭学を学び、幕政批判で「蛮社の獄」に連座する。◆崋山の画業は、日本の絵画に初めて近代的リアリズムの曙光をもたらしたものとして絵画市場に不朽の光を放っている。藩地ちっ居を命ぜられた後、ようやく絵画に専心、多くの傑作を残すが、４９歳で切腹し生涯を閉じる。◆【国宝】鷹身泉石像（渡辺崋山筆）〔東京国立博物館〕

箏の新しい合奏法に焦点を当て、合奏の魅力を探る。◆共に宮城道雄の曲であるが、『春の海』では構成をＡ－Ｂ－Ａ´、『瀬音』ではテンポを急－緩－急－緩－急という形にして曲に変化を持たせ、あるいは尺八を独立させたり十七弦を使うなど、合奏に魅力を加える工夫がされている。曲に情景描写を持たせて、分かりやすく楽しむ努力もなされている。◆「春の海」箏沢井忠夫、尺八三橋貴風、「瀬音」十七弦菊地悌子、坂井敏子。◆副音声は英語

愛する妻の生と死を見つめる夫の心中を描いた檀一雄の私小説のドラマ化。テレビ東京開局記念特別番組。◆昭和１７年、駆け出し作家の一雄（佐藤浩市）はリツ子（今井美樹）と見合い結婚をした。長男・太郎（伊藤隆大）も生まれて幸福を味わうが、陸軍報道班員として中国へ行くことになった。１年後に再会したリツ子は結核を患っており、母・勝代（樹木希林）に追いたてられて家族３人は家を出る。ようやく落ち着き先をみつけ、一雄は貧困と戦いながら太郎を抱えてリツ子の看病に尽くすが、病状は悪化の一途を辿る。看病に疲れた一雄は妻の死を願い、一家に親切にしてくれる静子（設楽りさ子）との新生活を思い描いてしまうのだった。

戦争のむごたらしさに身をさらし、中国東北地区（旧満州）の厳しい大地に残され、怨み、諦め、望郷の思いを複雑に抱いて生き続けてきた女性たちの戦後を描く。◆開拓農民、看護婦あるいはカフェーの女給として満州に渡り、敗戦で祖国に帰れず中国に残留した婦人たち。今は高齢となり死亡した人、ハルピンの身寄りのない婦人を収容する養老院で暮す人もいる。

名勝地「日光」は、古く８世紀後半、勝道上人が四本龍寺を建てたことによりその歴史が始まる。下って、江戸を京の都をしのぐ大都市にしようとした家康の命を受け、天海僧上は江戸のみならず関東全域を大江戸文化圏にすべく構想を立てた。そして江戸に近い日光の地を大観光地に仕上げた。東照宮をはじめ、徳川の財力を傾けて築き上げた華麗な社殿の数々。中でも大猷院（家光廟）は精ちと極彩の江戸装飾美の極地で、改めて驚異の目を見張る。◆【国宝】輪王寺大猷院霊廟◆【重要文化財】輪王寺本堂（三仏堂）、常行堂、法華堂、日光三所権現像〔輪王寺〕、三仏坐像、東照宮本地堂（薬師堂）