太平洋戦争中、捕虜として３年間を長野県天竜村の満島捕虜収容所で過ごした元米軍中尉の目を通してＢＣ級戦犯を裁いた横浜裁判をふりかえり、遺族、関係者、元捕虜たちの戦後をたどる。信越放送創立４０年記念特別番組。◆１９９１年春、元米軍中尉リチャード・ゴードン氏が４６年ぶりに日本の土を踏んだ。彼は“バターン死の行軍”ののち満島収容所で３年を過ごした。その体験記を綴るためフィリピンを訪れたのち満島へ向かう。当時は天竜川をせきとめる平岡ダムの建設中で、労働力不足を補うため連合軍捕虜が駆り出された。戦後、戦犯裁判の第一号判決はこの収容所の警備員に下された。

「戦争の放棄」という日本国憲法第九条の歩んできた波乱の歴史を、新しい証言と資料を交えながら検証する。シリーズ憲法記念日特集。出演は東海大学の佐藤功教授。（全２回）◆前編。第９条がどんな背景で定められたのか、その経過をたどる。「戦争放棄」の発案者はマッカーサーなのか、幣原喜重郎なのか、今日にいたるまでこの論争は決着をみない。ＧＨＱ資料と証言を再検討する。

謎の僧とされる「円空」の足跡をたどりながら現代に通じる円空の信仰について考えるドキュメンタリータッチの再現ドラマ。◆円空は１２万体の仏像作りを念じて旅に出た。今もおびただしい数の円空仏が残されているが、円空について確かな記録はなく、彼の生涯にはきわめて謎が多い。生地の岐阜、円空仏の宝庫愛知そして群馬での足跡をたどり、ショートドラマ、研究者の証言を交えながら、円空の現代的な意味を問いかける。

日本の焼き物の代名詞、瀬戸物。瀬戸の町の東南にある猿投山の陶土に始まる陶祖・藤四郎伝説から、世界で最も命長く続く瀬戸陶器の源流を探る。そして、灰を釉薬とした伝統的作陶工法を現代に伝える、加藤舜陶氏の窯元に歴史をのぞく。◆１４世紀ころから、全面に灰釉を施した「古瀬戸」といわれる陶器が、瀬戸を中心として数多く出現している。中国追従から独立して確かな基盤を持ったのである。やがて茶道の発展に伴い技術が向上し、今日なお続く系譜を伝える。

ムソルグスキーのピアノ組曲「展覧会の絵」のモチーフとなった１０枚の絵のうち行方の分からなかった５枚がこのほど見つかった。この絵を追い求めていた作曲家・團伊玖磨さんの調査の旅を追いながら、名曲の陰にあった絵の転変を描く。◆ムソルグスキーは、友人の画家ガルトマンの遺作展の絵に強いインスピレーションを受けて「展覧会の絵」を１０枚の絵に合わせて曲を創ったといわれていた。しかしロシア革命の混乱によって５枚が行方不明になっていた。クーデター直後のロシアを取材し、ソビエト科学アカデミーのラマノワ博士らの協力を得て徹底調査、レニングラード（現サンクトペテルブルク）とモスクワの博物館などで可能性の高い絵を発見した。

怪談咄は、落語にも多いが、落語にでてくる幽霊は、みな陽気で人間的である。古物商が安価で買った幽霊の絵が、円山応挙の作とわかって高価で売れた。祝いにその絵を肴に一杯やっていると、幽霊が絵から抜け出してきて、礼を言うので一緒に飲むことになる。ところがこの幽霊、酒が好きで酔払って寝てしまい、品物を渡す朝になっても起きなくて困ってしまう。

京都大学霊長類研究所にいるチンパンジーのアイちゃんの図形認識や言葉の学習、野生チンパンジーの生態などを見ながら、チンパンジーとは一体どんな生き物なのか、その能力の背景にあるものは何かを考察する。◆野生チンパンジーの順位争いでは、腕力だけでなく「駆け引き」や「根回し」などの政治力がものをいう。また、小枝や石を道具として使うが、その文化は群れによって異なっている。チンパンジーの能力は一般の想像をはるかに上回るものであり、その姿を素直な目でみると、必ずしも人間の進化がずば抜けたものではないと気づく。

長野県の大部分を占め、日本列島を東西に二分する大断層地帯“フォッサマグナ”にスポットをあて、地質学を中心にした科学面と、歴史・風俗をとらえた文化面の両方からそこに秘められた謎の解明と悠久のロマンをたどる。テレビ信州開局１０周年記念。◆このフォッサマグナ地帯は西側を糸魚川－静岡構造線、東側は未確認だが柏崎と銚子を結ぶ線だといわれる大陥没地帯で日本の国土の約７分の１を占める。そしてここに日本の人口の３分の１が住み産業も集中している。このフォッサマグナが日本のふるさと文化醸成のるつぼであるという視点から日本と日本人の生活の形成にどうかかわってきたかを探る。