女流長唄界の重鎮、杵屋佐登代さん、今藤綾子さん２人の人間国宝による大曲の競演。◆舞踊曲として作られた「鏡獅子」を三味線、唄それぞれ５人の演奏で、音楽としてじっくりと聞く。このコンビによる演奏は３０年ぶりである。◆「春興鏡獅子」は前半は弥生が可憐なかわいい御小姓で優しく踊り、後半は豪放な獅子の勇壮な踊りとなる。この対照的な二役を一人で演じ分けるところに、見どころ、聞きどころがたくさんある。

幼なじみの３人組が他人の土地を利用して３億円をだまし取る。東京から西へ向かう逃避行の中で、主人公は自分の人生を左右した女性たちのことを回想する。（１９９０年１０月１５日～１０月１９日放送、全５回）◆第１回。株の暴落で一文無しになった不動産業者・中川耕作（仲村トオル）は、同郷の友人・田中英一（薬丸裕英）と池澤修（浜田雅功）と組み、他人の土地登記簿を改ざんして３億円をだまし取った。しかし買手がヤクザ金融から借金していたと知り、３人は金を１億ずつ分けて逃走する。耕作は少年時代、自分の身代わりにと言って炭焼き小屋で自殺した女・浅井伸子（麻生祐未）のことを思い出す。

１から９までの数を認識するチンパンジーとして世界的な注目を集めた、京都大学霊長類研究所（愛知県犬山市）の「アイ」ちゃんの１２年間にわたる学習の軌跡を追う。◆アイちゃん（１４歳・メス）は、１歳半のとき日本へやってきた。以来、研究所の松沢哲郎助教授の教育により、今では「図形文字」という特殊な文字のキーを押すことによって物や人の名前、色、アラビア数字によって数を答えることができるようになった。松沢助教授が撮影した貴重な映像を交えながら、チンパンジーの心の中をのぞき、その認識の世界を探っていく。

１９８８年、交通事故死者は１３年ぶりに１万人を突破した。以来死者は増えつづけ、第２次交通戦争とまでいわれる。日本で交通事故を減らすにはどうしたらいいのか。緊急レポートと徹底討論の２部構成で問題を探る。（第１部は同日１９時２０分から放送）◆第１部での問題提起を受けた討論には、５つの省庁から行政責任者が６人、メーカー３社とＪＡＦ、日動研から一人づつ、自動車、交通評論家、弁護士、学者など専門家７人の１８人が参加。交通安全対策の多面性を示す多人数討論となった。

ロシア革命から７０余年、社会主義はどこへ向かおうとしているのか。社会主義国で起こっている変動を２０世紀の歴史の中で捉え直すシリーズの第７集。（プロローグ含め、１９９０年４月２２日～１２月２３日放送、全９回）◆ハノイにある人民軍映画スタジオに保存されたベトナム戦争の記録フィルムがＮＨＫに初公開された。ベトナム戦争については多くの映像が紹介されてきたが、その大部分は米軍の記録や現地取材のジャーナリストのもの。開放戦線側から見た映像と関係者の証言をもとに、民族開放の象徴であったベトナム戦争の実際を検証する。

汚染の進む東京湾を舞台に、海一筋に生きる兄と、その頑固さに反発しながらも次第に心が通い合う異母弟を描く。（１９９０年１０月１８日～１１月１５日、全５回）◆第４回。島洋平（緒形直人）はパイロットになるという夢に破れ、腹違いの兄・甚平（大地康雄）の釣り船屋を手伝っている。一度の浮気を責められて家出していた義姉の久美（かたせ梨乃）が帰って来たが、甚平は口をきこうとしない。久美を許したいがきっかけのつかめない甚平の気持を察する洋平。洋平の助言で久美はかたくなな甚平の心を開くため、最後の賭けをする。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日～１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆安川加壽子：ピアニスト。１９２２年兵庫生まれ。１９２３年渡仏、レビに師事、１９３９年に帰国後国内デビューを果たす。１９４６年に東京音楽学校講師、１９５２年に東京芸術大教授となる。他に日本ショパン協会会長、日本ピアノ教育連盟会長などを歴任。

実力がものをいう為替ディーラーの世界で男と肩をならべて働き、ストレスは同僚との真夜中のテニスで発散する、そんな女性の男社会での闘いを描くドラマ。（１９９０年４月３日～５月８日放送、全５回）◆光陽銀行本店に勤める理恵子の仕事は、刻々と変化する為替レートをにらみながら円やドルを売買するディーラー。上司の礼子がなにかと助けてくれるが、男社会とあって風あたりは強い。ある日、第一線で活躍するチーフのひとりが過労で倒れ、後任になれるのではと理恵子は期待した。しかし任命されたのは理恵子の昔の恋人で海外にいた柳だった。