東洋美術に造けいの深かったアメリカ人、アーサー・Ｍ・サクラー氏が１９８２年にワシントンに建てたサクラーギャラリー。ここで横浜浮世絵展が開かれた。幕末、横浜開港の情報を伝えた浮世絵師たちによって描かれたもの。横浜を主題に異人風俗を活写した当世風浮世絵である。開港直後から１０年足らずの間、爆発的な人気を博し風俗資料としての価値も高い。しかし、やがて文明開化、写真技術や新聞の登場などで浮世絵時代は終わりを告げた。◆西洋人荷物運送之図（五雲亭貞秀筆）、五箇国人物行歩図（五雲亭貞秀筆）、波止場の帰帆亜米利加人（一猛斎芳虎筆）、横浜異人屋敷之図（一川芳員筆）〔サクラーギャラリー〕

幼なじみの３人組が他人の土地を利用して３億円をだまし取る。東京から西へ向かう逃避行の中で、主人公は自分の人生を左右した女性たちのことを回想する。（１９９０年１０月１５日～１０月１９日放送、全５回）◆第３回。すでに故郷・伊賀上野にも追っ手がやって来ていると知った中川耕作（仲村トオル）は、大学時代の友人・服部裕介（石原良純）にパスポートの偽造を頼むため、京都を訪れる。学生運動一色だった大学生の頃、耕作がただ一人愛した女性・奥村路子（麻生祐未）も反戦グループの一員だった。耕作はその頃の思い出にふける。

北九州、玄界灘に浮かぶ孤島・沖ノ島。荒ぶる海の航海安全と国家鎮護の神・宗像大社の神域にあって、古代、大陸と日本を往来する人々から神の島と崇められた。島から出土したおびただしい遺物は、古代日本の国際社会との交流の歴史を雄弁に物語る。超一級の神宝は「海の正倉院」といわれるほど古代文化を凝縮している。◆古墳時代から奈良時代にかけて沖ノ島が果たした歴史の意義を前編で伝える。◆【国宝、重要文化財】筑前国宗像神社沖津宮祭祀遺跡出土品〔宗像大社〕◆【その他】天馬塚金冠、金帽〔韓国国立慶州博物館〕

華やかに活躍しながらも悲劇的な運命の糸に操られる源義経。彼と彼をとりまくさまざまな人物の波瀾万丈の一生を描く。◆後白川法皇の後ろ盾を得た義経の武名は高まる一方で、平家を京から追い落とし、ついには屋島で一門をほぼ滅ぼした。しかし、鎌倉方ではその活躍を喜んでばかりもいなかった。今度は源氏を牽制するために義経を引き立てたい法皇と兄・頼朝との板挟みとなり、義経は一転して追われる身となる。

日本画家の平山郁夫画伯は１９６８年（昭和４３）から２３年にわたって東西文化の道を歩き続け、多くの作品を描いてきた。次には大分県の国東半島を第１歩に日本回帰の新しい旅を始めるという。平山夫妻へのインタビューや各地でのデッサン風景を交え、作品が生まれた背景やその足跡を探る。◆１９８６年、長年の夢であったシルクロード・楼蘭を訪れる。外国人としては戦後初めてのことでわずか３０分の滞在だったが、画伯はすごい勢いでスケッチを描く。画家への夢を捨てて夫を支える美知子夫人は「同じ戦場で戦っている戦友のようなもの」と語る。東京芸大学長としての勤めもある。日本回帰への創作の旅は、国東半島から吉備路へ、そして那智へと向かう。

図書館の本の中に挟まれていた人妻あての愛の手紙。その手紙はやがて人妻の思いもかけぬ心理を明らかにしていく。繰り返し打ち寄せる波が長い時間のうちに岩肌を削っていく“波食”に象徴される男と女の不思議な宿命を描く。◆予備校教師の洋介は図書館で借りた「波食」という本に手紙が挟んであるのを見つける。“遠山久志”から“佐伯博子”あてのその手紙には、「室崎岬で毎週金曜あなたを待ち続けます」とあった。洋介は電話帳で博子の家の番号を調べ、毎日のようにいやがらせの電話をかける。驚き、否定する博子だったが、ついに二人は会う約束をする。

東京の下町で、自転車に乗って患者宅を回る訪問看護婦たちの日々を追うドキュメンタリー。◆東京・千住の榊原病院地域看護課には５人の看護婦が勤務している。朝のミーティングが終わると次々に自転車にまたがって町中に散っていく。患者の８割は老人で、最期は自宅で安らかにと願う人たちが多い。危篤が続き通いつめた患者の死に直面することもある。

石川の信仰の歴史について、東四柳史明さん（県立図書館加能史料編さん室主任）に聞く。◆能登加賀は信仰史の上で画期的な歴史をもつ。出発点は、素朴な民間信仰を起源に平安時代に確立した白山比?神社信仰と、九つの霊山を支配した石動山の信仰だ。ともに農耕のための水の信仰として名高い。◆中世になると、人間救済を唱える鎌倉新仏教が伝えられた。そこに蓮如上人の浄土真宗が急速に広がり、在地武士を駆逐して一向一揆の国をつくる。番組では数々の貴重な御物も紹介される。