八ヶ岳山ろくから出土した大量の縄文土偶。ばらばらに壊されて埋められたこと、妊婦像が多いこと、腹部に縦線が誇張されていることなど土偶の正体のなぞ解きを試みる。古代人が月の満ち欠けを見て再生の原理を考え、それを生命の輪廻に結び付けて霊魂の生まれ変わりを祈ったものと推測。蛇やカエルを多用した文様の意味、腹部の縦線は胎児をよみがえらせようとした母なるものへの鎮魂の詩であったと推量する。◆【重要文化財】釈迦堂遺跡土偶〔釈迦堂遺跡博物館〕◆【その他】水煙渦巻文深鉢〔井戸尻考古館〕、蛇を戴く女神、嘆きの土偶

第２次大戦中にアメリカの手で開発された核兵器が、戦後にソ連をはじめとする各国にどう広がっていったか、また朝鮮戦争やキューバ危機などの国際紛争や外交の舞台で核がどんな役割を果たしたかを描く。（１９９０年３月４日～９日、全６回）◆第４回は、核軍縮をめざしたアメリカ・カーター大統領の夢とその挫折を描く。「新しい世界」を旗印に登場した彼は、１９７９年に米ソ間でＳＡＬＴ?（戦略兵器制限条約）の調印にこぎつけたものの、議会の反対、ソ連のアフガニスタン侵攻による関係悪化などにより条約は批准されずに効力を失った。

宇宙の果てない謎を、現代科学の最新理論と新発見をもとに解き明かす大型シリーズのプロローグ。架空の宇宙船「ヘリオス号」の冒険ドラマに、ドキュメンタリー・パートを組み合わせて宇宙への壮大な探査野旅を描く。（１９９０年６月３０日～１１月１８日放送、全９回）◆南米・チリのラスカンパナス天文台の大望遠鏡から超高感度カメラで撮影した世界で最も鮮明な星空の映像を紹介、またソビエトの宇宙飛行士や天文学者たちへの熱のこもったインタビューを盛り込んで、宇宙船ヘリオス号の冒険の旅と重ねあわせる。

人間世界に現われた最も清浄で円満な永遠の姿を持つ、京都太秦の広隆寺にある『弥勒菩薩半跏思惟像』にスポットを当て、飛鳥文化の流れと仏教普及の歴史的背景を説く。◆渡来人が所を得た太秦の地に秦河勝が広隆寺を創建し、聖徳太子秘蔵の尊像・弥勒菩薩を安置した。足を組み、慈しみの表情をたたえる仏像の美しさの源を解明し、誰もが安らぎを覚える古仏の神髄を探る。◆【国宝】広隆寺桂宮院本堂、阿弥陀如来坐像、弥勒菩薩半跏像（宝冠弥勒）、弥勒菩薩半跏像（泣き弥勒）、広隆寺資材交替実録帳〔広隆寺〕

ロシア革命から７０年余、社会主義はどこへ向かおうとしているのか。社会主義国で起こっている変動を２０世紀の歴史の中で捉え直すシリーズの第３集。（プロローグ含め４月２２日～１２月２３日放送、全９回）◆第３集は、民主化のうねりの中で各国が次々に放棄している“一党独裁”の歴史をたどる。共産党が政治を支配するだけでなく芸術や科学などすべてにわたって“指導”する一党独裁システム。上意下達によって自由を抑圧し、異端を排除するに至った。この体制の誕生の経緯や歴史的役割を明らかにしながら社会主義の変貌を描く。

日本のコメ市場開放問題が正念場を迎えた。諸外国の米事情と日本との関係を探るシリーズ。この回は自由化を待つタイの現状をレポートする。◆タイは世界一の米輸出国。国立の農業試験場では日本米の栽培実験が成果を上げている。日本の米市場が開放されれば、タイ産日本米は日本市場を直撃するだろう。谷口巳三郎さんは熊本県立農業大学校の教官を退職し、タイの山岳民族に農業指導を行っている。農業での自立を説く谷口さんに農業の哲学を聞く。

福島県の自由民権運動は西の土佐と並び、激しい高まりをみせた。度重なる弾圧にも屈せず、自由民権の精神を貫いた河野広中の生涯を追う。

作家・早乙女貢氏が福島県に関わりのある人物の足跡をたどり、その素顔を探るシリーズ。◆明治時代、北海道の原野を開拓し、理想郷を創りあげた旧会津藩士・丹羽五郎の生涯を追う。