連絡船と異国情緒の溢れる港町・函館に、孫のような年齢の少年たちと共にチャンピオンの夢を追い続ける、７７歳の桜井房次さんの日々を追う。◆かつて「北海のジンタニー」と呼ばれハードパンチャーとして活躍した桜井さんが、自動車修理工場を閉じ、長年の夢だったボクシングジムを開いたのは１９８３年。何人もの国体選手を育てた桜井さんの元には、中学生から社会人まで４０人の若いボクサーが集まっている。桜井さんを陰で支える妻のトキさん、その夫唱婦随ぶりと少年たちとの心温まるふれあい、７７歳の青春の夢を描く。

円高に経済摩擦と世界中から激しく揺さぶられる経済大国・日本。問題はすでに対外的なものだけでなく、日本全体のシステムにかかわるものとなった。国際協調型の産業構造への転換を要求される日本の現在と未来に迫る。（１９８７年５月１７日終了、全３回）◆加速する円高で急激に国際競争力を低下させた日本企業の課題は、モノづくりから消費にいたる全過程の見直しである。消費動向がただちに商品開発にフィードバックされ、生産は国境を越えて点在する工場群の中で効率よく分業され、在庫は最小限に抑えて消費者へ送り出す。それに欠かすことのできないのが情報ネットワーク。高度情報ネットワーク社会の実態に迫り、そこから追い出される人間の問題を考える。

バチカン宮殿システィーナ礼拝堂に描かれたミケランジェロの大壁画修復は、１９８１年１月から１２年かけて行われているが、その作業は今クライマックスともいうべき天井部分にさしかかっている。この天井部分は旧約聖書の天地創造の大画面で埋められている。修復作業を紹介するとともに、リポーターの山本圭が旧約聖書の舞台となったシナイ山、死海、エイラットの港、ソロモンの銅山などを訪問、その歴史と風土をミケランジェロの描いた天井画とのかかわりの中でリポートする。

戦後４２年。戦争を知らない世代が、子供たちに戦争を伝えなければならない時代になっている。今、子供たちは戦争をどう伝えられ、何を知り、何を考えているのか。東京・広島・沖縄を結び、子供たちの目から見た戦争を探る。東京・葛飾区の中学校は毎年広島へ修学旅行に行き、下級生を集めて報告会を開いている。沖縄では戦争の追体験として、集団自決の起きた“ガマ（壕）”の中に入る子供たちが増えている。

嫁不足に悩む町にフィリピンから嫁いできた花嫁さんが、異国の生活に必死でとけ込もうとする姿を描く。◆嫁不足が原因で若者の地元定着が進まず高齢化に悩む山形県朝日町に、フィリピンから９人の花嫁がやって来た。そのうちの一人、ビクトリアさんにスポットを当て、ふるさとへの思いや山形での新生活を１年半にわたって追跡した。

日本経済新聞紙上で１９５７年（昭和３２）３月に始まった「私の履歴書」のテレビ版。一時代を築いた人物が出演、自らについて語る。（１９８７年４月８日～１９８８年９月２８日、全７８回。出演者の肩書・年齢は放送当時のもの）◆第２３回は日本ハム社長・大社義規さん（７２歳）。

４００年ぶりに現れた超新星をめぐって、人間の文明や地球外のことなど、最近の宇宙の話題を夜空のもとでおくる。◆１９８７年２月、南半球で４００年ぶりに観測された。隣の銀河で、１７万年前一つの星が生涯を終えたのだ。超新星とは一体何なのか。古来人々は、どのような方法で星空を観測してきたのか。特殊カメラがとらえた鮮明な星空映像と、超新星の姿、古代人が見上げた星空のシミュレーション、奈良時代の遺跡や古文書に見られる超新星など、最先端科学の情報を織りまぜながら、夏の夜の宇宙を身近なものとして描く。

１９８７年の国際居住年にちなみ、文化の多様性、異文化の混在、伝統文化と近代文明の衝突など、アジアの文化的特性を「住まい」の視点でとらえたシリーズ。ＡＢＵ（アジア太平洋放送連合）加盟諸国の共同制作。（全３回）◆韓国の首都・ソウルでは堅実な住宅政策が進められ、自然と調和する環境都市が実現しつつある。しかし一方、厚い土壁、瓦屋根、深い軒、障子、オンドルなどが備わった昔ながらの住居が見直されてもいる。１９７０年代に「セマウル運動」で農村は近代化され、住宅も洋風化されたが、風土にかなった伝統住宅の住みごこちにはかなわなかった。ＫＢＳ韓国放送公社制作。