王朝の雅を写す大和絵。多くの日本絵画が色彩豊かな自然とのかかわりから生まれる一方、彩りを墨一色で表現する水墨画は鎌倉時代中国から禅とともに渡来した。禅僧の手から次第に日本化され、繊細さと気迫で、墨の奥に色彩を感じさせる名品が次々に描かれた。その頂点といわれる長谷川等伯の『松林図』や「たらし込み」の技法を極めた宗達の傑作など日本美の極致に接し、実際に筆・墨・紙で表現する画法を見ながら墨の奥を見定める。◆【国宝】妙喜庵茶室（待庵）、扇面法華経冊子〔四天王寺〕、渓陰小築図〔金地院〕、松林図（長谷川等伯筆）〔東京国立博物館〕、蓮池水禽図（俵屋宗達筆）〔京都国立博物館〕

　善光寺に隣接する長野市・城山公園内にある長野県信濃美術館・東山魁夷館には１９９０年に長野県が東山魁夷画伯から寄贈された６００点を超える作品が収められている。画伯がこよなく愛した信州の自然や歩いた山々への贈り物である。東山画伯は旅の画家である。作品の展示では、制作過程での数多くの習作、スケッチ、試作を加え、画家の制作の全体像を知ることができる。

鎌倉の熱血僧、日蓮（１２２２～１２８２）。山梨県の身延山久遠寺は日蓮宗の聖地。この地の領主が日蓮を招いた。日蓮は、国を救うのは法華経しかないと幕府に意見し、逆に幾多の迫害や法難に遭うがひるまず信念を貫いた。後、弟子たちが遺志を継承、江戸時代になり京の町衆の力を得て隆盛に転ずる。長谷川等伯、本阿弥光悦、宗達、光琳など日本を代表する芸術家たちが法華経に帰依し、多くの美術品にそのあかしを残す。日蓮と京町衆との法縁の史跡を探る。◆【国宝】松林図（長谷川等伯筆）〔東京国立博物館〕、風神雷神図（俵屋宗達筆）〔建仁寺〕◆【重要文化財】仏涅槃図（長谷川等伯筆）〔身延山久遠寺〕

同棲していながら、お互い人生観の全く違う２組のカップルが、恋愛・結婚・仕事を通して悩み成長していく姿を、恋人達に課された“宿題”と、男女の家庭での“仕事”を考えながら描くドラマ。（１９９２年１０月１６日～１２月２５日放送、全１１回）◆第１回「出会ってしまった」。文具メーカーに勤める圭介（唐沢寿明）は、同僚のうらん（浦江アキコ）と同棲中。個人貿易をサイドビジネスにしているうらんは、圭介のプロポーズに見向きもしない。ある日、圭介は飲みに行った店で周二（福山雅治）にからまれる。周二は弁護士秘書・幸子（清水美砂）の部屋に居候するプータロー。出勤途中、圭介は幸子に足を踏まれたことがある。以来時々駅で見かけて気になっていた。

古代神話に名を連ねる賀茂一族は、山城国（京都）賀茂町に勢威を張った。桓武帝の平安京遷都の際、賀茂の神に是非を伺い遷都を決断されたとされる。天皇は賀茂神社を皇室鎮護の神として都の東北に配置、御所と賀茂神社を結ぶ『葵祭』が起こる。雅を今に残す葵祭の行列、古代様式の荘厳たる社殿、原始信仰を守り続ける下鴨・上賀茂両神社で繰り広げられる古代そのままの神事を通し、千年の歴史の重さと京文化の伝統の奥深さを見る。◆【国宝】賀茂別雷神社（上賀茂神社）本殿、権殿◆【重要文化財】賀茂御祖神社（下鴨神社）楼門、舞殿、橋殿、幣殿◆【その他】葵祭〔京都府〕

各界の著名人の“交遊録”を軸に、出会い、別れ、愛憎など、人と人との深い結びつきを描きだす。（１９９２年４月３日～９３年３月２６日）◆今回は、シンガーソングライターのなぎら健壱とスポーツコメンテーターの中野浩一。

海と川という大自然に向き合い、その恵みを食してきた人間。その英知のすばらしさと豊かさを世界各地の漁労民に探る。「人間は何を食べてきたか」シリーズ。（１９９２年１月１９日～２８日放送、全４回）◆第２集「サバンナの移動漁民」。アフリカの内陸を流れるニジェール川に沿って千キロも移動しながら漁を続けるボゾ族を紹介する。雨期の後半に、雨を集めて広大な湿原となる内陸三角州がボゾ族のふるさと。１０月前後から半年にわたってそこを離れ、ニジェール川を自由に移動しながらキャンプ生活で漁をする。イネと魚という日本に似た食文化、独特の漁法や舟作りの技術、流域に住む異民族との共生の術などを、一家６人の生活を通して描く。

（あした順子・ひろし）歌手をやっていたというひろしが歌えば、順子も踊りの知識を披露する。相方をほめてはけなす典型的なしゃべくり漫才である。／（柳家紫明）寄席４０年の貫禄で、忘れられつつある粋な三味線の芸を淡々と披露する。流しやお座敷の三味線芸もなかなか味があり、捨て難いものがある。