画家の平山郁夫さんが、新薬師寺を再訪し、長年関心を持ち続けてきた十二神将像を紹介する。◆新薬師寺本堂内の円形土壇上に、本尊薬師如来を囲む形で安置される日本最古の十二神将像。１２体のうち宮毘羅大将は昭和の補作。各像が憤怒の表情と威嚇の姿勢を示すが、その表情は東大寺法華堂の執金剛神立像（国宝）に比べ、かなりおだやかに抑制されている。１９１２年（明治４５）の修理の際に、因陀羅大将の台座裏に「天平」の墨書が発見され、これらの像が天平年間（７２９～７４９）の造立であることが確認された。

明治維新に出発した近代日本は、アジアの大国になりながら、昭和で敗戦の破局に至った。作家・司馬遼太郎氏がその昭和へ至る歴史を、明治・幕末まで遡って語るシリーズ。（全１２回）◆昭和初期から敗戦までの日本人が、なぜ「魔法の森」に踏み迷ったのか。司馬氏は、江戸時代に生まれた山片蟠桃らの合理主義を捨て、西欧近代を輸入し続けた明治維新に一因があると指摘する。太平洋戦争の緒戦の勝利に、知識人の間に論議された「近代の超克」などにふれながら、戦後の技術社会は、技術好き、職人好きの本来の日本に直結されていると語る。

西田敏行がさまざまな職業の男に扮し、男の切なさ悲しさを描く一話完結のシリーズ。（１９８６年１０月２１日～１９８７年１月２０日放送、全１２回）◆第１話の主人公は、大工の親方・健一（西田敏行）。１９歳の娘・友美（有森也実）の結婚が決まった。健一から見ればまだ１９の娘。なぜこんなに早く嫁に行くのかと、健一は式の前夜に深酒して荒れる。翌朝、二日酔いの健一は結婚式に出ないと言いだし、妻の幸枝（野川由美子）を困らせる。

世界でただ一つ、被爆生存者の死因や病気の発生を追跡調査したデータをもつ放射線影響研究所の紹介、チェルノブイリ原発事故被災者にデータが活用される過程を描く。◆放射線影響研究所は、１９４７年（昭和２２）、米国トルーマン大統領の命令によって設立された。ソ連のチェルノブイリ原子力発電所事故被災者の治療に協力するため、研究所は世界唯一の被爆データをもとに被災者長期研究計画をまとめ、それをもとに西側放射線学者たちはソビエト政府への研究計画の提案書を作り上げた。放射線影響研究所の全貌を紹介し、提案書作成をスクープしたドキュメント。

足利義満が奉納した、熊野速玉大社の宝物を紹介する。◆熊野本宮、熊野那智とならぶ熊野三山の一つ熊野速玉大社。ここには１３９０年の社殿造り替えに際して奉納されたおびただしい数の装束、丁度の類が保管されている。一部後世のものと思われるものもあるが、直衣（平安時代公家男子の平常家庭で用いられた服装）などの装束や桐唐草蒔絵手箱ほか１１個の手箱、染織、武具類など豊富かつ貴重な工芸資料である。漆芸家の中村弘子さんは、これら多くの国宝の中から様々な技法が駆使された蒔絵手箱にふれ、作られた当時をしのぶ。

紬織作家・宗廣力三の神奈川県南足柄市にあるアトリエを訪ね、紬織が出来あがるまでを紹介し、話を聞く。◆宗廣力三は１９１４年（大正３）、岐阜県郡上郡八幡町生まれ。３１歳の時、郷土の青年育成運動の中で紬織の研究を始めた。伝統の織に新しい手法を加え、郡上織を世に出した。１９８０年（昭和５５）南足柄市に移り住み、自然を生かした紬を織り続けている。

北海道の風物を背景に、それぞれの愛を探す女三人の物語。◆同じ会社に勤める淳子（田中好子）と玉美（浅野ゆう子）は、主婦の真理（斉藤とも子）に誘われて函館旅行に出かけた。本来なら真理は夫・辰夫と結婚一周年旅行のはずが、辰夫の休みが取れなかったのだ。辰夫はもともと淳子と玉美のテニス仲間だったので、辰夫は淳子と玉美に振られて自分で妥協したのだと真理は思っていた。◆三人は函館で東京の商社マン・博（国広富之）とその友人で牧場で働いている和行（水上功治）と知り合う。

東京に唯一残された緑のオアシス・皇居。中でも特に野生味あふれる道潅濠の晩夏から春にかけての四季のうつろいや動植物の姿を、昭和天皇の愛された散歩道“道潅新道”にカメラを置いて追っていく。◆千代田区千代田１丁目１番地、東京のほぼ中心。総敷地面積１１５万平方メートル余りの広大なスペースのなかは草木が生い茂り、いまなお武蔵野の面影を残している。晩夏にはイヌタデ、ノハラアザミ、秋はヒガンバナ、ガマズミの実、冬にはツワブキ、梅、寒椿などがそれぞれ彩りを添え、野鳥が餌や住みかを求めて訪れる。◆登場者：平栗徳雄、田中直、国方島夫