ラジオのＤＪを担当している夏子（岸本加世子）は、脳血栓で倒れた父の見舞いに故郷へ帰り、不倫の恋を清算する決心をする。そのドラマの中で、向田邦子の９編の作品が朗読される。（１９８５年８月５日～８月９日放送、全５回）◆最終回。朗読は「三角波」。波多野との結婚を控えた巻子は、波多野の部下・達夫の態度が変わったのに気づく。やがて二人は結婚し、巻子は達夫の執着が波多野に対するものと判って、愕然とする。朗読しながら、夏子は不倫を清算しようと決める。

ティーンエイジャーを対象にした生放送のバラエティー。歌手や女優になりたい人、芸に自信のある人、一度テレビに出てみたいと思っている人を募集し、オーディションする「アイドルを探せ」や、人生・性の悩みに答える「電話相談室・お姉さん教えて」、そしてとんねるずの「教室芸コンテスト」など、盛りだくさんのコーナーで構成。（１９８７年８月３１日終了）

わずか２２歳の生涯を火だるまの如く駆けぬけた個性豊かな画家・村山槐多と、彼によって自らの魂を揺り動かされ、人間本来の生き方を模索する現代のひとりの男の、６０年という歳月を超えてふれあう魂の物語。◆上田市の郊外にある「信濃デッサン館」には早逝した画家の作品が数多く集められている。そのなかでひときわ異彩を放つのが大正時代の詩人画家・村山槐多の作品。１８９６年横浜生まれで、京都一中に学ぶ。従兄弟に当時売出し中の画家・山本晶がおり、その影響もあってか両親の反対を押し切って画家を志し上京、日本美術院に学んだ。個性豊かで自由奔放な若者を大正前期の時代風潮が迎えた。１９１９年、２２歳５ケ月で短い生を終える。

太平洋戦争時、陸軍最大にして最南端の特攻基地があった鹿児島県知覧には、１０１５人の日本人特攻隊員とともに、１１人の朝鮮人特攻隊員がまつられている。彼らはどうして日本の特攻隊に入り、散華していかねばならなかったのだろうか。戦後、初めて慰霊祭に参列した１人の韓国人遺族を通してそれを探っていくドキュメンタリー。

日本最南端の沖縄県・波照間島は周囲１５キロの小さな島。この島の疎開学童慰霊碑には「山下軍曹の行為は許しはしようが、然し忘れはしない」という文章が刻まれている。山下軍曹は何をし、島の人たちは何をされたのか。慰霊碑に刻まれた奇妙な文章の謎を追うドキュメント。◆１９４４年（昭和１９）１０月１０日、沖縄に初めての大空襲があって以来、人々は米軍の上陸におびえていた。日本軍は陸軍中野学校で編成した離島残置諜報の軍人たちを、波照間島など沖縄の島々に派遣した。偽名の“山下虎雄”なる人物はその一人だった。番組は４０年前の強制疎開と山下軍曹のかかわりを追う。

江戸時代末期、海難のためにアリューシャン列島アムチトカ島に漂着した大黒屋光太夫は、時のロシアの女帝エカチェリーナ２世に帰国を嘆願するため、シベリア大陸を馬とソリ、そして自分の足で横断した。東の果てオホーツクから西の果てレニングラード（現在のペテルスブルグ）まで、光太夫が通った同じ海、河、道を、冬期２カ月、夏期１カ月余りのソ連取材で探訪していく。リポーターは作家の椎名誠。ＴＢＳテレビ開局３０周年記念特別企画。（１９８５年１２月２、３日放送、全２回）

時局の焦点となっている日米貿易摩擦について、日米のスタジオを衛星中継で結び、事態を考察する。ドキュメントと討論の２部構成で、両国の実体を見ながら当事者の見解を聞き、今後を展望する。◆１９８５年７月、日本国内はもとより世界の注目をあつめた貿易摩擦解消の「アクションプログラム（行動計画）」が発表された。大きな柱となっている関税引き下げ、規格基準の見直しなどの線にそって日本とアメリカの言い分をぶつけ合う。第１部は、ＮＨＫ取材のアメリカ報告、ＡＢＣ取材の日本レポートにより、テレビを通じてどれだけ相互理解のために努力してきたかを検証しあう。また、双方の基準認定制度の違いを具体的に品物を比較することで明らかにする。

戦後４０年経った今日の、「日の丸・君が代」に対する国民意識の変化、薄れていく“戦争加害者”の意識を探るドキュメンタリー。あわせて、現実路線をとらざるを得ない革新政党の苦悩を描く。◆１９８５年３月、革新系である北海道知事・横路孝弘氏が議会で日の丸を国旗、君が代を国歌と認める発言をし、支持団体内部でも論議を呼んだ。特に反戦民主教育に重点を置く教職員組合の動揺は激しかった。