第一次世界大戦が終わり、初めて国際政治の表舞台に登場した日本が、その後どのようにして太平洋戦争に突入していくのかを国際的視野で描くドキュメンタリーシリーズ。◆第５集。軍縮時代、太平洋に交錯した日米双方の知られざる戦いを、アメリカで発掘した未公開資料などをもとに描く。オレンジとはアメリカが仮想敵国・日本につけた暗号名である。いかに太平洋を渡り、日本を撃つか。アメリカは「オレンジ作戦」の名のもとに、極秘裏に対日渡洋作戦をたてた。１９２４年（大正１３）のことである。ワシントン軍縮会議にいたる１０年間は、比較的平穏な時代であったといわれる。だが、水面下では鮮烈な戦いが始まっていた。

日本は第一次世界大戦後のベルサイユ講和会議で列強のひとつとして国際社会に登場、その後、国連を脱退、孤立化の道を歩んで戦争に突入した。日本の昭和の歴史を世界史の中でどうとらえるか。日本の世界史へのかかわり方にはどんな特徴があるか。東大教授伊藤隆、作家安岡章太郎ほかが語り合う。昭和を体験した学識経験者の鋭い、しかし肩のこらない文明論が続く。

戦時中、長野県の松本大本営の建設工事のため強制連行された朝鮮人労働者を父に、日本人を母に生まれた富士原昌子さん４６歳が、国交のない北朝鮮に渡った家族と、２６年ぶりの再会を果たすまでを追ったドキュメント。戦後、朝鮮人の夫と北朝鮮に渡った日本人妻だけでも、１万人もいると言われている。数奇な過去を持つ昌子さんの再会にかける挑戦をテーマに、日本と北朝鮮、国家と個人の見えない距離を探る。

自らの人生に疑問を感じはじめた女性３人が、それぞれの悩みを胸に“グルメ旅行”へ出発、旅先で新たな人生を発見する。（１９８６年４月１日～４月３日放送、全３回）◆栄子（香山美子）は女子高時代の後輩・みつ江（酒井和歌子）にさそわれて百合（岡江久美子）を加えた３人で、長崎・雲仙、博多、神戸へ３泊４日の旅に出た。福岡に単身赴任中の夫を訪ね、探偵社の調査で知った浮気を自分の目で確かめたいという目的もあってのことだった。３人は、相手の女のアパートを訪ねて真相を問いただす。

東京都の下町で家業を手伝いながら生活しているたくましい子供たちを紹介する。また、当時の子供たちが壁や道路に落書するのに使っていた「ろうせき」と呼ばれる石が、今どうなっているのかを調べる。◆東京・下町には仕事をする所と住む所が同じという家庭が多い。そこでは家族全員が働き手で、子供たちも一緒に働いている。露天商、風呂屋、紙器業、メリヤス縫製業、折箱屋など下町ならではの商売を手伝って、家族の一員として働く子供たちの生活の様子を覗いてみる。一方昔懐かしい「ろうせき」が今どうなっているのか知るために店を訪ねる。さらにろうせきの作り方を知るために埼玉から新潟まで足を伸ばすうちに、原料の意外な出所を知ることになる。

天平以来１３００年ぶりに大修理と資財帳作成に取り組んでいる法隆寺を取材し、調査研究を詳しく紹介する。（１９８６年１月２７日～３０日、全４回）◆３回目は百万塔陀羅尼経について。法隆寺に伝わる１２００年前の世界最古の印刷物、百万塔のなかに納められた陀羅尼経はどのような紙に、どのように印刷されたか。実際に福井県今立町大滝で紙をすき、京都で木版、銅版の印刷を試みた奈良国立文化研究所の研究などを紹介する。

「ザ・カブキ」は、東京バレエ団の依頼でモーリス・ベジャールが「仮名手本忠臣蔵」を素材に振り付けた創作バレエ。演出も手がけたベジャールはベルギー２０世紀バレエ団の演出家。禅も体験した日本通で、彼が歌舞伎を見て感動して以来１０年間あたためてきたテーマだけに、作品に意欲がうかがえる。また、歌舞伎の衣装、形式、音楽といった要素と、どうマッチングさせて外国人にも理解できるようなバレエに仕上げたか、作品にその苦心のほどがよく出ている。音楽は黛敏郎が担当。東京文化会館で録画したもの。◆スタジオゲストは東京バレエ団芸術監督・溝下司朗、演劇評論家・藤田洋の両氏。案内役は後藤美代子アナウンサー。

「シルクロード」に続く本格的な日中共同取材番組の第２弾。世界４大文明の一つ、黄河文明を生み育てた黄河全流域を旅し、千変万化の大自然、文明と歴史、さまざまな民族の暮らしを混然一体としてとらえる。全１０回の大型ドキュメンタリーシリーズ。（１９８６年４月１３日～１９８７年３月８日放送）◆第１集は、中国の歴代王朝が威信をかけてつきとめようとした河源探索の旅。チベットの結婚式、黒くび鶴、白唇鹿、高原の真珠といわれるオーリン、ザーリンの２湖、無数の沼沢が星空のように散らばる星宿海。難航の果てにたどりついた黄河の源は、夢幻のような高原の一角にあった。