無断で乗って帰った放置自転車を持ち主に返そうと、少年とその両親が努力するが、３人の思いはさまざまなところで裏切られていく。物があり余り、人情が紙より薄くなった現代に家族のきずなを取り戻す過程を描く。◆塾の前に停めておいた少年の自転車が盗まれた。困った少年は、長い間放置されていた他人の自転車のカギを壊して乗って帰る。その夜、自分は泥棒だという罪の意識に悩まされた少年は自転車を返そうと決意して翌朝早く家を出た。その日、彼の父はリストラ目的の海外転勤を言い渡されていた。

円覚寺は、かつて鎌倉五山第二位の寺格を有した巨刹・臨済宗円覚寺派の大本山である。文永の役、弘安の役と二度にわたる蒙古襲来を乗り切った時の執権・北条時宗が戦に没した敵味方の霊を慰めるため弘安５年に創建した。この時代、心のよりどころとして生死を越えて生きる智恵を学ぶ禅が求められた。時宗も禅を心の支えとし、中国から無学祖元を招いてこの寺を開いた。禅宗様式の建築を今に遺した鎌倉武士の心と遺構をつぶさに見る。◆【国宝】円覚寺舎利殿、梵鐘【重要文化財】円覚寺領尾張国富田荘図（円覚寺）、仏光国師坐像（円覚寺）、北条時宗書状（円覚寺）、無学祖元書状（円覚寺）

長男の嫁が義父の死を機に姑と同居、そこで巻き起こる騒動を中心に、夫の転職、相続問題、老人問題などをからめながらコミカルに描く。（１９９４年４月１４日～７月７日放送、全１２回）◆Ｖｏｌ．１「同居話」。中村家の長男・健一郎（石田純一）と美里（浅野ゆう子）は結婚３年目、２人でマンション暮し。そろそろ子供をつくろうかなどと楽しく夢見て暮らしていた。ところが、中村家では二男の祐二郎（段田安則）が帰国子女のお嬢様・襟華（鈴木杏樹）と電撃結婚。その上、健一郎の父が急死し、姑・節子（野際陽子）は美里に同居生活を頼み込む。美里と健一郎は中村家で、節子とボケの始まった祖父・源一郎（下條正巳）と暮らすことになった。

１９９４年７月、アイヌ民族出身の萱野茂氏が２年前の参議院比例代表区にくりあげ当選した。全国で数万人といわれるアイヌ民族の中から国会に代表を送ることは彼らの悲願だった。登院した萱野氏はアイヌ民族を“日本の先住民族”と認めさせるための“アイヌ新法”の制定に奔走する。

『関の扉』は古典の代表作で、古風な江戸歌舞伎の雰囲気があふれる常磐津の所作事（舞踊）である。◆天下横領をたくらむ大悪人・関守関兵衛（実は大伴黒主）が念願成就のため護摩木にしようと梅の木を切ろうとすると、「小町桜の精」が現われて黒主を悩ます。主人公の関兵衛は強い個性を持つ役で、各場面の踊りが見どころである。◆副音声は英語

Ｒ＆Ｂの名曲にのせ、平山秀幸監督が４話構成で現代の中学生の生態を描くドラマ。◆有名進学校に通う５人の普通の中学生。成績が悪いわけでもなく、別に不良でもないのだが、退屈しのぎに盗みをはたらく。今回の標的はなぜか冷蔵庫。まんまと盗み出したのだが、必要だったわけでもない、もてあまして知り合いのライブハウスの店長に売りつけようとするが失敗する。その腹いせに店の入口に火をつけて逃げ出すが、途中で一人が謎の覆面男に襲われた。次第に彼らに迫る覆面男の影、ついにアジトも襲われる。そして彼らは遂に覆面男と全面対決するのだった。

婚約者がガンで短い命と知らされ、さまざまな問題に直面するヒロインの姿とともに、周囲の医師と看護婦たちの愛憎劇、医療問題を描く。（１９９４年１０月１１日～１９９５年３月２１日放送、全２１回）◆Ｖｏｌ．１「悲劇の婚約者」。幼い頃に両親を失い、医師の兄・守（段田安則）に育てられた千秋（坂井真紀）は、次郎（東幹久）との結婚を３ヵ月後に控え、幸せいっぱいだった。ある日、次郎は会社の健康診断で胸部の再検査を指示される。守が働く病院で次郎を検査したのは、優秀だが患者を研究対象と捉える冷徹な医師・片桐（佐野史郎）だった。片桐は次郎の母・真理子（野際陽子）と千秋に次郎が余命３ヵ月のガンであると告げ、延命のためと手術を勧める。

究極の江戸工芸といわれる印籠。手のひらに乗るほどの小さな印籠には、蒔絵や螺鈿、金工など江戸工芸のあらゆる技法が集約され、江戸文化人の粋で豊かな感性や美学が凝縮されている。携帯用薬入れという本来の役割を超え、武士のファッションとして金に糸目をつけずに作られた数々の江戸の銘品を鑑賞する。また途絶えかけた印籠作りを現代に復活させた白井義雄・義次父子の、江戸さながらの精巧にして高度な技術、それが到達した細密工芸の冴えと美を製作工程に見る。◆宇治川戦陣図高蒔絵印籠（巌松斉春翠作）、孔雀図金高蒔絵印籠（稲川派作）、十二支高蒔絵金銀象嵌印籠（梶川久治郎作）、貝桶高蒔絵印籠（幸阿弥長周作）、竹林七賢人印籠（塩見政誠作）、東下り図高彫象嵌鞘印籠