歌謡曲から演芸にいたる大衆芸能の分野で、２０世紀の日本を代表する人物を取り上げるシリーズ。◆この回は、１９７３年に８３歳で亡くなった落語家・古今亭志ん生の生涯を、息子の志ん朝さんが振り返る。◆「死神」の異名をとるほどの極貧生活を送りながらも、鋭い美意識でしゃれや軽妙な語り口を生み出し、昭和の名人の呼び声が高かった。幼いときから父の芸を見て育った志ん朝さんが、息子ならではの志ん生観を、志ん生「火焔太鼓」の名人芸とともに語る。

やっと名代となった仲蔵の初役は、五段目、定九郎の端役である。気落ちする仲蔵だが、女房に励まされ、妙見さまに願掛けて役作りに没頭する。満願の日、ご利益のないまま雨宿りにそば屋へ寄った。そこに、黒羽二重の紋付に献上の白帯、朱塗りの刀を腰にした侍が、蛇の目傘をつぼめて入って来た。ハッとひらめいた仲蔵は、この姿を写し舞台で大見得を切る。

　安曇野の白馬美術館は、２０世紀の巨匠、マルク・シャガールの版画作品を展示する美術館である。シャガールは絵画のほか彫刻やステンドグラス、２０００点に及ぶ版画作品を制作した。自身、「もしも私が油絵の他にリトグラフやエッチングに手を出さなかったとしたら、それは私にとって何かが欠けていたことのように思われる。それらの中に、私はあらゆる悲しみと喜びを表現することができるからだ」と書き残している。（白馬村）

大阪・吹田に千里ニュータウンが拓かれて３０年。いつのまにか老人ばかりになったこの町を、二人暮らしの年老いた姉妹と隣家の老夫婦の間の事件を通して描き、問題点を浮彫りにする。◆１９９３年３月、千里ニュータウンの一角で死後２か月の７４歳の女性の遺体が警察に発見された。同居の妹は姉の死後も遺体をカイロと電気アンカで暖め続けていた。隣の老夫婦は隣家の異変に気づいており、手を尽くしたが中々解決に至らず、不安な毎日を送っていた。◆１９６４年に日本で最初のニュータウンとして造られた千里ニュータウン。若いサラリーマンには高嶺の花で、入居者は４０歳代の働き盛りの人ばかりだった。３０年がたち、当時の入居者は皆７０歳代。“オールドタウン”となった。

青森県域の風土や産業、人々の暮らしなどを記録したドキュメンタリー番組。（１９９２年４月５日～１９９４年３月２７日放送、全３６回）◆鮫は安く大量に肉が捕れるため、食料事情が豊かでなかった時代には、鮫を使った料理が各家庭の食卓を飾っていた。青森の郷土料理の中にも鮫料理は入っているが、時の流れと共にその姿を消しつつある。食文化としてのサメのルーツと、厳寒の海で鮫漁に生きる人々を紹介する。

お茶は世界中で飲まれているが、その茶を精神領域に取り入れ“文化”にしたのは日本だけだろう。鎌倉時代、禅とともに茶種と抹茶を伝えた僧・栄西。以来寺院を中心に普及し、貴族や武将により華美なものとなる。しかし侘び茶の登場で茶の世界は一変。珠光、紹鴎を経て利休によって完成された茶の湯は、織部、遠州に受け継がれていく。かずかずの茶道具の名品を紹介しつつ、茶道成立まで、そして利休以後の茶道の歴史を判り易く解説する。◆【国宝】曜変天目茶碗（大名物／藤田美術館）、妙喜庵茶室（待庵）【重要文化財】菊花天目茶碗（中興名物）【その他】桂離宮、砧青磁杓建（大名物）

作家・早乙女貢氏が福島県に係わりのある人物の足跡をたどり、その素顔を探るシリーズ。◆二本松藩で侍医頭をつとめた家に１９０４年（明治３７）生まれた関屋敏子。少女時代から声楽を学び、１９２５年楽壇にデビュー。２年後にイタリア留学したのちスカラ座の試験に合格、プリマドンナとして各地で活躍した。日本に帰国したおりは藤原義江と共演、人気と名声を競った。欧米では自作を含む日本歌曲を紹介し、数々の賞も得るが、１９４１年に謎の自殺を遂げた。

岩手県の北上山系にある小さな町を流れる安家川には、清流にしか住めない川真珠貝が生きている。豊かな自然の中の小さな町の四季、ある畜産農家の１年間の暮らしを追い、人間と自然とのかかわりを考える。◆主人公は小学校５年の三好英之くん。南部牛を飼育し、山仕事をしながら生活する一家は９５歳のひいおじいちゃんをはじめ８人家族。子供たちはイワナやヤマメ、川真珠貝のいる安家川で泳ぎ、北国の短い夏を存分に味わう。自然の恵みとともに暮らす日本の山里の生活を追う。◆ＩＢＣ岩手放送開局４０周年記念番組