環境基準の統一を阻む国境の壁、国情の差を探り、地球環境がもはや自国の内側をクリーンにしていればよいではすまされない段階にきていることを検証する。◆今、先進国では酸性雨などの汚染が国境を超えて広がり、途上国では３０年前日本が経験した以上の公害が急速に環境をむしばんでいる。先進国に比べてゆるい環境基準が先進国企業の進出を招き、進出企業の多くが本国では認められない排煙・排水、廃棄物処理を行っている。途上国では貧しさから抜け出すため、こうした公害輸出をあえて受け入れている。（１９８９年１０月２日～４日終了、全３回）

赤坂、青山、渋谷、世田谷とつながる国道２４６号線。その沿線で繰り広げられる男女の恋の駆け引きを描く。（１９８９年４月７日～６月１６日放送、全１３回）◆第１話「あぶない夜の秘密」。５年前に離婚し、高校生の娘を育てながら三つの画廊を切り盛りする笙子（浅丘ルリ子）。娘の由季（後藤久美子）はといえば大人になりたいと悩んだあげく、ある夜、見知らぬ男とホテルへ。その男は設計事務所を持つ風見（岩城滉一）だった。

平安時代に大仏師定朝によって確立された貴族趣味の仏教美術は、武士階級が台頭した鎌倉時代に様相を一変する。定朝と運慶の作風を比較し、鎌倉期の仏教美術の武骨さ、力強さ、そして仏が限りなく人間に近づいた時代背景を探る。◆京に対抗する武人政治を裏書きする運慶一派。その、時代を読み取った美術的主張と、後の宋からの影響なども加味し、貴族仏教から庶民信仰へと移行する過程と仏教美術の盛衰を検証する。◆【国宝】阿弥陀如来坐像〔平等院〕、阿弥陀如来坐像（鎌倉大仏）〔高徳院〕◆【重要文化財】阿弥陀如来坐像、毘沙門天立像〔願成就院〕

東大寺に対して奈良時代に創建された西大寺と、西大寺ゆかりの僧・叡尊の業績を紹介する。◆西大寺の本堂に安置されている本尊・釈迦如来立像は、京都の清凉寺のものを鎌倉時代の僧・叡尊が発願して模刻したことで知られている。当時、仏教界は腐敗し、ひ護者である貴族勢力は衰退していた。そんな中で叡尊は仏に帰依する者が守るべき戒律の復興を目指し、仏教本来の釈迦の精神に立ち戻ろうとした。その原点に据えられたのが、この釈迦如来立像だったといわれている。

日本人の戦後の歩みと思いを、戦後の廃墟の中から歌いはじめてついには女王とまで呼ばれた美空ひばりのヒット曲やエピソードに重ね合わせてふりかえるシリーズ。（１９８９年６月２９日～７月１日放送、全３回）◆１９４９年（昭和２４）に映画「悲しき口笛」に初出演、主題歌も歌って大ヒットした。ひばりの歌は、この時代を生きる日本人の苦難の日々と新しい未来の夢を象徴するものであった。無名だった少女歌手の歌が大流行した昭和２０年代、復興期日本の姿を描く。

都心の公立中学に勤める若い教師を通して、現代の教育問題を語る。◆村岡正俊（堤真一）は２６歳。国会に近い都心の公立中学校の社会科教師。ある日、久保朱美（高橋かおり）という女生徒から相談をもちかけられる。父親が毎晩のように愛人を家へ連れ込むというのだ。村岡にはにわかに信じられない話だった。

世界中の人々の暮らしぶりや自然を紹介する、海外取材ドキュメンタリーシリーズ。全米写真家協会プロフェッショナル最高賞を受賞し、国際的にも評価された。（１９６６年１０月９日～１９９０年９月１６日、全１０００回）◆部族戦争の終息を区切る“和解の宴”の１日の記録である。現代のパプア・ニューギニアで伝統的思考の色濃く残る行事といえる。発端は１年前、二つの氏族グループの間で起こった。川で溺れたとされた男の死に相手グループが関与したと疑って、復讐のため相手方の初老の男を殺害して戦争に発展、戦場で双方１名ずつが戦死した。和解の日、賠償を支払う側は伝統的扮装で戦士の雄叫びと共に広場に繰りこんでくる。緊張をはらんだ儀礼である。

命をささえる人体は、いかなる形と機能によって維持されているのか。身近ながらほとんど知られていない“人体”を小宇宙になぞらえて、実写・特殊撮影・コンピューターグラフィックスなどを駆使しわかりやすく解き明かすシリーズ。（全６回）◆肝臓はアルコール処理、血糖調節など５００種類以上の化学処理を引き受ける壮大な化学工場といわれる。しかもその機能のほとんどが数十ミクロンの細胞の中に収められている。カメラはその細胞の中に入り込み、肝臓の機能を探るミクロの、さらに分子の世界を映し出す。