戦時色が深まっていくさなかに結婚した菊子。心配事と言えば時局に背を向けている兄のことだったが、夫の様子がどことなくおかしいのにも気づいて不安に陥る。◆昭和１５年、父を満州事変で失った大島家は母子４人と女中とでつつましく暮らしていた。２５歳にして嫁ぐことになった菊子（田中裕子）の相手は研究所につとめる平岡正雄（三浦賢二）で、身寄りがないため大島家の離れに住むことになった。兄の一郎（小林薫）は戦争のことなど知らん顔でジャズバンドを組んでダンスホールでクラリネットを吹いており、母の里子（加藤治子）を嘆かせている。

大みそか恒例の特別番組、１９８８年（昭和６３）第３９回ＮＨＫ紅白歌合戦。ＮＨＫホールからの公開生中継に、紅白２１組が出場する。司会は加山雄三、和田アキ子。実況は島村俊治、総合司会は杉浦圭子アナウンサー。

表具で名品といわれるものには、必ずよい裂がついている。書画に応じて合わせる裂は、織り・色柄・風合いによって選び分けられ、金襴は古代裂の代表格である。◆広瀬敏雄は長年古代裂の復元に務め、修理された重要文化財の表装には広瀬の織り出す古代裂が使用されている。紋図の製作、金ぱくから金糸を作る工程など、複雑な織りの技に、表に出ない脇役に徹する工人の美への執念を描く。

飛騨・高山に４００年の伝統を誇る飛騨春慶がある。木地に透き漆をかけて自然の木目を見せるのが特徴。漆器に派手さはないが年月を経ると色に深みを増す。工程が単純なだけに、一つの工程に作り手の技と工夫が凝らされ、それが各職人の個性として作品に生かされる。木地師と塗師の見事な合作である。◆春慶の名は、その色が陶器の茶つぼの名品と似ているところから付けられたという。

現代を象徴する都会人の生態を鋭い視点で切り取って自作自演の独り芝居で描写、笑いの中に風刺をきかせた舞台で人気を集めているイッセー尾形の舞台を紹介する。◆演目は「バーテンシリーズ」「転勤」「もてた話」「ヘーイ・タクシー」など。

１本の古いレンズか語る幕末の日露友好秘話と、銀板写真復元にかける人々のロマンを描く。◆静岡県下田市の豆州下田郷土資料館に、１本の古いレンズが残されている。幕末に、現在の田方郡戸田村を訪れたロシア艦ディアナ号の乗組員が残していったものと伝えられている。当時は高価だったカメラレンズが、なぜ戸田村に残されたのか。

瀬戸大橋の建設で、瀬戸内海をとりまく地域の状況は激しく動き始めた。検証・瀬戸大橋時代をメインテーマに、瀬戸内エリアの観光・経済などの新しい動きをタイムリーに伝える。（１９８８年５月７日～１９８９年９月３０日、全６９回）◆瀬戸大橋の開通を記念して開かれている瀬戸大橋架橋博’８８も前半が終了した。

盲目の両親の“瞳”になってほしいとの願いをこめて名付けられた伊藤ひとみさん。両親を手助けしながら高校生活を過ごし、進学という新たな旅立ちの場に立つひとみさんの１年間を描く。◆高校３年生になったひとみさんの１日は、毎朝、自転車に乗って父の早朝トレーニングの伴走を務めることから始まる。ひとみさんの父・重三さんは、高校時代、陸上競技に力を注ぎ、３年生のときには、岐阜県陸上競技選手権大会の３千メートル障害で優勝するなど、将来を期待されていた。２８歳のとき、働いていた職場で起きた発破事故のために失明したが、娘の誕生を機に再び走り始め、今では各地で開催されるマラソン大会や身体障害者スポーツ大会などに出場している。一方、ひとみさんは将来、国語の先生になることを目指して商業高校の進学過程で学んでいる。固い絆で結ばれた親子３人の１年間とひとみさんの新たな旅立ちを描く。◆解説副音声あり