初老の男が自分の出生に疑問を抱き、そのルーツをたどっていくドキュメンタリータッチの異色作。作家・山口瞳氏の自伝的・母への賛歌。小林桂樹が主人公ほか４役を演じる。◆第２回。ハルとの関係を知りたくなった瞳（小林）が、アルバムの写真や生年月日のずれ、ひとつ上の兄と血縁関係がないことなどを知り、母のことを知ろうと叔父を探す。居所不明だったが、たまたま庄介の芝居を見に行った際叔父を見つけ、一晩共に語る。

放送を政府監理下に置こうとする日本政府と民主化を迫るＧＨＱ（連合軍総指令部）との間の攻防戦は、１９４９年（昭和２４）暮れのマッカーサー書簡によって終止符を打った。敗戦から５年目、言論機関にとって最も重要な理念を定着させた放送法が成立するまでの曲折を、ＧＨＱ文書、国会議事録、関係者の証言やフィルムなどをもとに、ドラマ手法も駆使して劇的に構成する。

昭和初期の東京を舞台に、２人の男の友情をそれぞれの家族の愛情にからめて描く、連続４回のドラマ。◆さと子（岸本加世子）は見合いをした青年と隠れてつき合っていたのが分かり、父にひどく叱られる。稽古の往復には初太郎（志村喬）がつくことになったが、スキをみてさと子は青年に会い、帰りに門倉（杉浦直樹）を見舞う。さと子が帰らないので仙吉（フランキー堺）とたみ（吉村実子）は駆け落ちしたのではと早合点、鬼怒川温泉まで探しに行く。釈明の電話をかけた門倉は、誘われて自分も鬼怒川へ行ってしまう。夫がたみに寄せる好意を知って、君子（岸田今日子）は離婚を考えるが、仙吉にさとされる。初太郎が倒れ、駆けつけた門倉の前で息を引きとる。

語り手自らが名作文学ゆかりの地を訪ね、風景やそこに暮らす人々に直接ふれることで、その作品世界を再認識してもらおうという文学紀行番組。第１集～４集まで制作・放送された。（第４集／１９７９年１０月６日～１９８０年３月２９日放送、全２６回）◆この回は、小川未明の「赤い蝋燭と人魚」（１９２１年）を取り上げる。女優の吉行和子が未明のふるさと越後高田を訪ね、ゆかりの地を巡りながら物語の背景を探っていく。童話としても知られるこの物語独特の世界観を、吉行自身がいつしか物語に入り込み、人魚のお母さんら登場人物にインタビューするという形で表現していく。それぞれの立場が明らかになるにつれ、人間のエゴイズムや身勝手さが浮き彫りになっていく。

各界で活躍する女性をゲストに招き、桂三枝の軽妙な話術により本業では見えないもうひとつの顔を引き出していく娯楽対談番組。（１９８７年３月２９日終了）◆この回は第１回目の放送。番組最初のゲストは女優の岡田茉莉子。

教育テレビ開局２０年を記念した大型企画として乗りものの技術史を取りあげた１０回シリーズ番組。第１回は「だれがＳＬをつくったか～蒸気機関車・前編」。教科書に書かれたＳＬの発明者スチーブンソン以前に、イギリスのトレビシックは最初の蒸気機関車を作っていた。イギリス各地を訪ねて克明に記録をたどりながら、蒸気機関車の発明から鉄道開設までの歴史にまつわるエピソードを取りあげ、技術の誕生を興味深く描く。

ゼンマイもモーターもないのに、独りで歩くおもちゃ。２本足のおもちゃは、どうやれば倒れないでうまく歩くようになるか。足の形はどうするか。前後左右のバランスは、どうやってとるか。４本足では、どうだろうか…。こうして次第に進歩した動力なしの「歩くおもちゃ」の馬は、４本足を別々に動かし、首まで振りながら歩くようになった。正に「歩くおもちゃは進化をとげた」のである。

西域南道は、南を崑崙山脈、北をタクラマカン砂漠に区切られた帯状の流砂の道。楼蘭から西南に道をとる。タクラマカンとは、ウイグル語で「死の砂漠」を意味する。猛烈な砂嵐と熱暑、乾燥の中を、古代仏教都市『ミーラン遺跡』とオアシスの町チェルチェンを経て、楼蘭王国の出先があった『ニヤ遺跡』に至る。２０世紀初頭、各国の探検隊が入って以来６５年目の踏査となる。ニヤ遺跡へは道に迷い、悪路の中、ラクダですら消耗するほどの難行軍。◆ミーラン遺跡、ニヤ遺跡