ぜひ結婚をと思っているわけではないけれど良縁となれば心も動く、３０代後半の女性の微妙な思いを描く。◆純子（桃井かおり）は３７歳のフリーライター。１５年前に結婚と離婚を経験し、それ以来独身を通してきた。「結婚生活は性にあわない」と言っているが。恋人の大野（並木史朗）が上司の娘との結婚を決めたと別れ話を切り出したのにはショックを受けた。北へ行くといい縁がくると占われ、半信半疑で旅した日光でもの静かな中年紳士・山形（佐藤慶）と知り合う。その時は気にとめなかったものの、数日後にお見合い相手として再会し、最後のチャンスと心が揺れる。

唐紙は雲母と絵の具を用い、木版刷りの技術で紋様をつけた加工紙。古く唐の国から伝わり、やがて襖や壁の上張りとして日本の建築に欠かせない存在となった。◆千田長次郎は唐紙師・唐長の１０代目。王朝時代からの京の雅の伝統を守り継いできた。桂離宮古書院の修復を手がけるなど、長年の技術の確かさと、家伝の６００種にのぼる版木の蓄積は、伝統の重さを感じさせる。

茶道が廃れた明治中期、没落寸前の茶道家元を支え、再興に力を尽くす女性を描く。土曜ワイド劇場スペシャル、新春ドラマ特別企画。原作：宮尾登美子。◆千利休の血を引く京都の後之伴家は家元とは名ばかりで家計は火の車になっていた。１３代目を継いだ文吉（堤大二郎）は貿易商の妹・益子（檀ふみ）と結婚するが、益子は健康を害してしまう。次男・舜二郎（本木雅弘）は茶の修業に耐えられず家を出てしまい、一家の危機は大きくなる一方。死に際の祖母に「おまえが観音様になって、家を再興しておくれ」と言われていた由良子は、父に自分の出生の秘密を聞き、益子の兄・盛行（滝田栄）と再婚する決意をする。

日本経済新聞紙上で１９５７年（昭和３２）３月に始まった「私の履歴書」のテレビ版。一時代を築いた人物が出演、自らについて語る。（１９７８年４月８日？１９８８年９月２８日、全７８回。出演者の肩書・年齢は放送当時のもの）◆第７６回はバイオリニストの辻久子さん（６２歳）。

ひょろっとして頼りなく、考えることもすることも平均的で、これといって図抜けた個性のないごく普通の“カイワレ菜”のような子供たち。その一人である息子は、ふと気づけば受験戦争の脱落者になろうとしていた。偏差値中心教育に怒り、子育てを反省しながら息子とともに偏差値に立ち向かう母親を描く。（１９８８年１１月５日終了、全２回）◆都心のクリニックに勤める内科医・石川文子は、仕事に趣味に忙しい。ある日息子・俊介の中学の父母進路会に出席し、俊介の偏差値の低さを知って驚き、主義を一変して教育ママに。俊介はひたすら耐えるが、塾のテストの夜に限界を超えて、親に黙って好きな登山に行ってしまう。文子の不安はつのるばかりである。

東京・柳橋の鮨屋「辰巳鮨」を舞台に、生意気ざかりの青年が一人前のすし職人に成長するまでを描いたドラマの続編。この編では大学出の青年が新しい弟子として入ってくる。原作：師岡幸夫「神田鶴八鮨ばなし」より。（１９８８年４月６日～７月６日放送、全１３回）◆昭和２８年・早春、安男（金山一彦）が弟子入りして４年。辰巳鮨は繁盛しているが、新しい弟子が育たない。そこへ新弟子として連れられてきた謙助（益岡徹）は、大学で哲学を学んでいたというインテリ。親方の晋作（小林薫）が困惑しているところに、謙助の母親・くま子（草笛光子）が追いかけてきて「息子を鮨屋にはさせない」と言い出す。

１６１の国と地域がエントリー、史上最大規模となるオリンピック・ソウル大会を前に、数々の名勝負を生み、思い出をつくってきたオリンピックを振り返る。（１９８８年７月３日～２４日放送、全４回）◆第２回は、１８９６年の第１回オリンピック・アテネ大会から、１９６０年の第１７回ローマ大会までを振り返る。フランスのクーベルタン男爵の提唱で始まった近代オリンピックは、世界大戦による中断もあったが、ローマ大会では８３の国と地域が参加するまでになった。日本は１９１２年、第５回のストックホルム大会から参加。第９回のアムステルダム大会で三段跳びの織田幹雄が日本初の金メダリストとなった。

学校間格差などの、今の教育が抱えている問題を織り込みながら、やる気のなかった生徒たちが文化祭を成功させるまでを描く。◆地方都市、花房市では県立と私立との格差が大きく、世間の目も厳しい。丸山家の長男・栄作は私立花房学園へ、次男・保は県立花房高校へとそれぞれ通っているが、この格差が原因で兄弟ゲンカをしてしまう。◆花房学園の文化祭が近づいてくるが、出し物も決まらず盛り上がりに欠ける。業をにやした“いまいち”こと今岡一郎先生のすすめで、普段からの不満やコンプレックスを劇にして上演し、県立の生徒や町の人に訴えかけることになる。