平凡でお人好しの主婦・島宗詩子（泉ピン子）が、無気力な夫の浮気に苦しみ、一度は離婚を決意するが、結局愛するが故に夫とその愛人に尽くしてしまう。どこにでもいるような夫婦の、愛の葛藤をリアルに描くメロドラマ。（１９８０年１０月７日～１１月１８日放送、全７回）

敦煌。地理的に中国と中央アジアとの接点にあり、軍事・文化・交易の起点であり中心点でもあった。その南東、鳴砂山のふもとに繰り広げられた一大石窟美術・『莫高窟』。交脚弥勒菩薩など２，５００の塑像や４５キロに及ぶ彩色壁画が残る世界最大の画廊であり美術館である。石窟数４９２、４～１４世紀に栄えた敦煌の歴代の美術変遷の跡をとどめて、華麗に美術史を物語る。多分に西域混合の跡が見られ、古代シルクロードが色濃く漂う◆莫高窟、玉門関

初老の男が自分の出生に疑問を抱き、そのルーツをたどっていくドキュメンタリータッチの異色作。作家・山口瞳氏の自伝的・母への賛歌。小林桂樹が主人公ほか４役を演じる。（全５回）◆最終回。暗い血でつながった血族がみんなで過去を隠していたと知った瞳（小林桂樹）が、その事実を兄に告げる。瞳の苦しさを分かってくれた兄が、「父方の血も流れているよ」と言ってくれ、瞳は気をとり直して父方の故郷・佐賀を訪ねる。父の親族は快く瞳を迎えてくれた。瞳は故郷を見つけた喜びと、母を思う気持ちがこみあげてくるのを感じた。

教育テレビ開局２０年を記念した大型企画として乗りものの技術史を取りあげた１０回シリーズ番組。第１回は「だれがＳＬをつくったか～蒸気機関車・前編」。教科書に書かれたＳＬの発明者スチーブンソン以前に、イギリスのトレビシックは最初の蒸気機関車を作っていた。イギリス各地を訪ねて克明に記録をたどりながら、蒸気機関車の発明から鉄道開設までの歴史にまつわるエピソードを取りあげ、技術の誕生を興味深く描く。

勉強はからっきしだがケンカとイタズラは天才的な小学生、桜間長太郎。あだ名はあばれはっちゃく。型破りな発想と抜群の行動力で巻き起こす数々の事件を描く。（１９８０年３月２２日～１９８２年３月２７日放送）◆東京に転居した長太郎は転入した小学校で早速クラスメートと衝突してしまう。ケンカには勝つが、隣のみゆきちゃんの着替え姿を見てしまい、みゆきちゃんから挑戦される。長太郎は合気道をならっているみゆきちゃんになかなか勝てなかったが、とうとう１本とることができた。

語り手自らが名作文学ゆかりの地を訪ね、風景やそこに暮らす人々に直接ふれることで、その作品世界を再認識してもらおうという文学紀行番組。第１集～４集まで制作・放送された。（第４集／１９７９年１０月６日～１９８０年３月２９日放送、全２６回）◆この回は、小川未明の「赤い蝋燭と人魚」（１９２１年）を取り上げる。女優の吉行和子が未明のふるさと越後高田を訪ね、ゆかりの地を巡りながら物語の背景を探っていく。童話としても知られるこの物語独特の世界観を、吉行自身がいつしか物語に入り込み、人魚のお母さんら登場人物にインタビューするという形で表現していく。それぞれの立場が明らかになるにつれ、人間のエゴイズムや身勝手さが浮き彫りになっていく。

進行性の「第四領域症候群」に侵され、死の影におびえながらも、闘病生活を続けている１人の女性の手記をもとにしたドラマ。原作：大石邦子。◆福島県会津。中西邦子（大竹しのぶ）は通勤途中に不慮の事故に遭う。邦子は身体のほとんどが麻痺しながらも、同じ病院に入院している青年・国分享（奥田瑛二）の強い愛に支えられ、絶望せずに生きて行こうとする。その姿を描きながら、生きることの厳しさと命あることの意義を問いかけていく。

初老の男が自分の出生に疑問を抱き、そのルーツをたどっていくドキュメンタリータッチの異色作。作家・山口瞳氏の自伝的・母への賛歌。小林桂樹が主人公ほか４役を演じる。◆第３回。叔父が瞳の出生の謎の一部を明かす。父・山口正雄は前妻と別れ瞳の母と一緒になったが、前妻との間に子が生まれたばかりだったため、瞳の生年月日をずらして辻褄をあわせたこと、そのため結婚式の写真がないこと。しかし謎の言葉“ワギダ”については答を避けた。瞳は母について週刊誌に記事を書いた蔵原良明（中条静夫）を訪ね、ワギダについて知ろうとする。