山口県に住む女性は、１９４５年（昭２０）広島で爆心地から７３０メートルの地点で被爆した。九死に一生を得たが胎内には３ヵ月の子どもがいた。放射能に冒された彼女はその後病気がちで、１９７８年１２月に他界。終戦の２ヵ月前に出征して被爆を免れた父親と、胎内被爆で放射能障害を受け知的障害・身体障害を持って生まれた娘の生活が始まる。母子２代にわたる被爆体験を通して強烈に訴える反核ドキュメント。

１日４０キロの山道を千日間、地球一周に相当する距離を歩き続ける、天台宗の荒行「千日回峰」は、比叡山の修行僧が行う最も厳しい行である。この修行をする行者の撮影が初めて許された。昭和５３年（１９７８）の春から半年間、酒井雄哉さん（放送当時５２歳）の回峰行を追い、そのクライマックスともいえる９日間の断食・断水・不眠・不臥の「堂入り」の行を記録する。また、酒井さんの生き方、考え方を浮き彫りにし、行と信仰の根源を探る。

１９７９（昭和５４）年５月１３日、東欧３カ国の旅に出発した徳島少年少女合唱団の記録。四国放送のテレビ開局２０周年記念番組。◆ブルガリアではバルナ市で開かれた国際合唱コンクールに出場し“ローリエ賞”を受賞、ハンガリーでは南部の町ベーチとバルチで公演、ブタペストでは丘の上にあるマティアス教会で歌い満員の聴衆を感動させた。最後に訪れたのはチェコのプラハ。ここではチェコ少年少女合唱団と共に歌い友情を深めた。

語り手自らが名作文学ゆかりの地を訪ね、風景やそこに暮らす人々に直接ふれることで、その作品世界を再認識してもらおうという文学紀行番組。第１集～４集まで制作・放送された。（第４集／１９７９年１０月６日～１９８０年３月２９日放送、全２６回）◆この回は、吉川英治の「宮本武蔵」（１９３６～１９３９年）の名場面「一乗寺下り松」に焦点を当てる。女優の新井春美が京都、岡山に足を運び、吉川英治が執筆過程で訪れたように、武蔵ゆかりの地や人々を辿りながら物語の背景を掘り下げていく。宮本武蔵や彼をめぐる人々には、吉川英治の思いや人生観が込められており、この作品は現在も教養小説として読み継がれている。

百数十台の車が焼失した東名高速日本坂トンネル事故の原因を点検。高速道路の安全システム、緊急事態の対応システムなどをルポし、事故直後のトンネル内を監視カメラがとらえた映像、現場中継などをふくめて多角的に伝える。◆日本坂トンネルは最新鋭最上級の防災施設をもつといわれていたが、初期消火の失敗が死者６名行方不明者１名の大惨事につながった。

結婚３年目の日輪子（岸恵子）は、進駐してきた米兵に乱暴された。周囲の反対を押し切って告訴したことから彼女の運命は一変。夫から離婚され、日輪子は告訴した黒人兵が懸命に謝罪する情にほだされ、渡米し、結婚する。しかし黒人兵はベトナムで戦死する。ある日、実家から「ハハキトク」の電報を受けた。１６年ぶりに日輪子が故郷で見たものは、悲惨な母の姿と周囲の冷たい視線であった。

二・二六事件発生後の、２月２７日から３月１日の間の反乱軍と外部の交信を傍受した録音盤を、ＮＨＫの音声技術をフルに活かして復元。鎮圧軍の高橋中尉と反乱軍の上村軍曹の交信を中心に、当時の声の主や家族の証言を交えながら、戒厳令下の緊迫した状況を立体的に再現する。

　「科学の目」を持って世界を紹介する、科学ドキュメンタリー番組。（１９７５年４月６日～１９８６年１２月２８日）◆妊娠から出産までの知識も大きく変ってきた現代の、赤ちゃんが生まれるまでの胎内での出来事の医学的説明と、それでも残されている胎内の不思議を綴った。