エネルギー資源、食糧、人口、海洋など、一国では扱いきれない問題が国際的に議論され始めた“地球時代”に、それぞれの問題に日本がどのように対処しているかを探り、その課題について考えるシリーズ。（１９７７年１月１０日～４月４日放送、全１３回）◆最終回は、地球の限りある資源について。人類を月に送り込んだアポロ計画が幕を閉じた１９７２年、『成長の限界』と題するレポートが発表された。世界各国の政治家や学者、ジャーナリストによって構成されたグループ“ローマクラブ”がまとめたものである。そこには、人類の繁栄に限界が見えてきたという警告が記されていた。人口の爆発的な増加と、それに伴う食糧難である。

人形作家であり、短歌も詠む鹿児島寿蔵。彼の話を交えながらその作品と制作風景を紹介する。◆鹿児島は人形制作とほとんど同時期に短歌に親しみ、その歌集は既に２０冊を数える。人形にも文学的要素がなければいけないと主張し、彼の作品には美術的造形と文学的叙情の見事な融合が見られる。

日本画家・平山郁夫は広島県瀬戸田町の生口島出身。昭和２０年８月６日、１５歳の時に広島で被爆。その後、東京美術学校日本画科に進み、卒業後は前田青邨に師事した。しかし白血病で倒れて以来、被爆についてより強く意識するようになる。昭和３４年の作品「仏教伝来」が出発点となって仏画にとりくみ、やがてその源流を求めてシルクロードに旅立った。◆平山の院展初入選作「家路」は、ふるさとへの道である。彼はふるさとへの思いに支えられて生きている。番組は平山郁夫の人生を辿り、彼と父の話を通して、平山芸術の心、親子の情愛、原爆への怒りなど、平山画伯の精神的風土を発掘する。

太平洋戦争末期、反戦作家とみなされ、妻子を捨てて出奔した俳人・西東三鬼（小林桂樹）は、神戸のうらぶれた異人ホテルに投宿する。そこに現れたのが車中で知りあった波子（三田佳子）だ。彼女は病気で一人南方行きを免れたのだが、高熱のうえ、難病に犯されている。三鬼は医師の診断をたのみ、波子を看病してやる。（１９７７年５月２６日終了、全７回）

年老いた女性がやっているバーにやってきた老紳士。彼は戦前、彼女がダンサーだったことを知っていた。２人はかつて開かれた秘密のパーティーの記憶を辿り始める。脚本：市川森一◆時は１９４１年１０月、大東亜戦争が激しさを増す中、屋敷では禁制品となった海外のレコードをかける小さなダンスパーティが開かれていた。招かれた客には東京・溜池のダンスホールのダンサー蘭子（栗原小巻）、そして近衛師団の青年士官・須田（渡瀬恒彦）の姿もあった。蘭子を招いたのは須田の友人でもある屋敷の主の息子（山本圭）。「自分はダンサーだから誰とでも踊る。でもラストダンスだけは本当に気に入った人としか踊らない」と言う蘭子。かけるレコードも底をつき、遂に最後の一曲となった。果たして蘭子の「ラスト・ダンス」の相手とは。

青森県にある知的障害者厚生施設で全国初という入園者同士の結婚式が行われた。新郎は栄さん、新婦はかつ子さん。ふたりの施設での生活、仲間や栄さんのお母さんとのふれあいを交え、ひたむきに生き抜こうとしている２人の姿を追う。

評論家・草柳大蔵が陶芸家の加藤唐九郎の作品を紹介しながら、その人生と作陶の魅力を聞く。◆唐九郎は古窯跡を発掘調査し１９３３年（昭和８）研究書「黄瀬戸」を発表したが、従来の陶器の歴史を否定したために社会的迫害を受けた。彼にとって陶芸の道は闘いの連続であったが、「焼き物は予期した偶然を捕らえるもの。窯を冷やす間が待ち遠しくてたまらない」とその魅力を語る。

日本の第一線で活躍し、海外にも知られている若手を中心とした芸術家を取り上げ、その心と作品を鋭くえぐり出す人間ドキュメント・シリーズ。（１９７７年１月８日～４月２日放送、全１３回）◆第１２回は、建築家・黒川紀章氏にスポットを当てる。