１９６５年～６６年当時の日本各地の習俗、行事、生活、技術などを記録したドキュメンタリー。◆なだらかな高原の嶺が続く広島県東部の山中に、古代の神々と共に生きる信仰深い村がある。戸数は６百戸、神社の数が４１３。まさに神々の国である。その村に生きる人々の、敬虔な喜びにあふれた姿を描く。

終戦の前後、東京から疎開して富山県の小さな町、福光町に住んだ中根さん（当時小学校４年生）は、１年間の疎開生活を毎日絵日記に書きつづけた。この絵と文章を素材として綴った異色のドキュメンタリー。町の造り酒屋に落ちついてからの、毎日の生活や、終戦を迎えてからの、世の中の動きが子供とは思えないしっかりとした絵と文で書かれていて、戦争中の庶民の生活実態を知ることができる。

徳島県由岐町（現、美波町）伊座利地区にある由岐中学校伊座利分校で２６年間教鞭をとる教師の眼を通して、過疎化に直面する漁村の現実をレポートする。◆徳島県由岐町伊座利地区は、太平洋を望む小さな漁村である。１９５９年（昭和３４）７月に県道が開通するまで、伊座利は陸の孤島であった。かつてはブリの定置網漁で潤ったが、ブリが消えて住民の離村が進み、取材当時（１９６５年）の人口は戸数５１戸、住民１４９人にまで減り、１０年前の半数にも満たない。伊座利分校を卒業する子ども達も地元では生活が成り立たないため、ほとんどが故郷を離れる。そのような状況の中、村共有の山を売って得られた３千万円近い資金を投資して定置網の再開に賭ける。

２１世紀の未来を舞台に、１０万馬力のロボット少年・アトムが活躍するＳＦヒーローアニメ。ふだんは小学校に通うアトムだが、ひとたび事件が起これば敢然と悪に立ち向かう。“マンガの神様”手塚治虫の手による、国産初の３０分テレビアニメシリーズ。モノクロ作品。（１９６３年１月１日～１９６６年１２月３１日放送、全１９３回）◆駅長の帽子を盗んだ地下鉄スリの少年たちが、線路内を逃げ回って騒ぎを起こした。そこへ巨大ナメクジのような怪物が現れ、電車を飲み込んでしまう。怪物は瞬間移動の能力を持っていて、ひとすじなわでは退治できそうにない。スリの少年たちとアトム、お茶の水博士は協力して作戦を練る。

白いライオン・レオを中心に、大自然の中で繰り広げられる弱肉強食の生存競争や人間と動物とのかかわりなどを描く、国産初の本格的なカラー・テレビアニメシリーズ。（１９６５年１０月６日～１９６６年９月２８日放送、全５２回）◆ケンイチとマリー、ふたりの人間がジャングルに迷い込んできた。マリーの身勝手さは動物たちに不信の目で見られるが、レオは人間の長所を認めて彼らとの交流を願う。

広島県尾道市に存在した、通称「国際マーケット」。事実上は不法建築である建物に２４戸１５０人が住んでいた。強制撤去までの過程と、その当日の動きの記録。◆１９４６年（昭和２１）に３年間の期限付きで引揚者などが商店を開いたものだが、その後１５年間黙認されて、水道も引かれ、市税も徴収されていた。しかし港湾整備計画のために立ち退き通告が出された。

１９５７年開始の「日本の素顔」と１９６２年開始の「現代の記録」を統合して始まったドキュメンタリー番組。社会で起こっている出来事、状況を取材し、問題提起する。（１９６４年４月１２日～１９７１年４月２日放送）◆「乾舷」とは、船体で水上に出ている船端の部分のことをいう。高度成長期とともに建設ラッシュが首都圏に押し寄せ、その資材需要に応じるため、静岡県の大井川や富士川の砂利を運搬船の喫水ギリギリまで積み込む“カミカゼ運搬”が行われている。少しでも多く稼ごうと、無理を承知で競うように砂利を積むと言い、水に沈んだような「乾舷ゼロ」の状態で出港していく。清水港から川崎港までの、強風と高波にさらされる命がけの砂利船の航海を描く。

１９６５年～６６年当時の日本各地の習俗、行事、生活、技術などを記録したドキュメンタリー。◆日本の西の果ての島、平戸・生月。そこに住む人々は、常に目の前にひらける広い海に向かって生きてきた。近世になってその人々の前に現れた新しい思想、キリスト教。その受容と受難の歴史をたどり、そこに現れる島民たちの粘り強い精神史を描く。