大学教授の椅子をなげうって画業にうちこみはじめた佐田正之助とその妻、息子、娘たちの生活をとおして、愛情と信頼に満ちた家庭を軽妙に描く。武者小路実篤の一連の作品を脚色。ＮＨＫ連続テレビ小説第３作。（１９６３年４月１日～１９６４年４月４日放送、全３１３回）◆この回（第２３５回）は、正月を迎えた主人公・佐田正之助（佐分利信）の一家を描く。調布の先生という役割で、原作者の武者小路実篤が劇に登場して佐田家を突然訪れる。めったにない機会ということで絵を描いてもらい、自作朗読を聞く。

１８年半、７９４本にわたって続いた長寿紀行番組。地域に根ざして生きる人々を描いた紀行ドキュメンタリーのスタイルを確立した。（１９６３年１０月７日～１９８２年３月１０日）◆秋を迎えた甲府盆地では、ぶどうの収穫期を迎え、年に一度の賑わいと忙しさの日々が続く。一方、伝統産業の水晶加工とハンコ作りもこつこつと続いている。各地へ進出していく商人気質、粘り強さと機敏さを兼ね備えた甲州人の活躍を描く。

息子の結婚をめぐって、父と子の世代感覚の違い、新旧モラルの対立を描く。

１９６４年は暖冬となった。暖冬のもたらす県下の産業への波紋を取り上げる。◆スキー場の雪ごい祭り、氷が溶けてしまったスケート場のリンクの様子、凍り豆腐づくりの現場、寒天の製造作業、鉄道事業者の除雪作業の様子など、県下の様々な産業に影響が出ているもようを伝える。また、現場で働く人々の話、お客が来ないスキー場の風景、商工観光課の職員へのインタビューなどを紹介。

無医村の離島を舞台に、医師法違反の事件が起こる。法の建前と現実を前に苦悩する老巡査とその妻の愛、島の人たちの素朴でしたたかな人間愛。そんな人間模様をヒューマンなタッチで描きながら、国家対個人、法と生活といったテーマを明確に打ち出した。

日本屈指の豪雪地帯の春を待つ表情を紹介する。◆除雪機関車がゆっくりと走ってゆく。人力で雪かきをする人々の姿。千曲川の今はなき渡し舟や、「カンジキ」をはいて雪山を登っていく人、紙すき作業や縄づくりに使われる足踏み式の道具を操作する人の姿など、豪雪地で生活を営み、春を待ち焦がれる人々を追う。

社会のなかで生きる日本人を描いたヒューマンドキュメンタリーシリーズ。（１９６４年１１月１日～１９７１年４月３日放送）◆大阪市西成区釜ヶ崎地区（地域通称）にある唯一の公立診療所の４代目の所長を務める本田良寛医師は３７歳。体重８６キロの堂々たる体躯で、時に患者を叱り、また励ましながら地域にとけ込んで治療を続け、親しみやすい性格で人びとの信頼を得ている。診療所には、毎日２００人余りの患者が訪れる。病気は、結核、胃腸・肝臓の障害、仕事の不安定さからくるノイローゼ、アルコール中毒による栄養障害、種々雑多なケガなど様々で、良寛先生の守備範囲は広い。患者の半数は健康保険に入っていない人たちで、職がなく医療費が支払えない患者には「病気が治ってからの出世払いでいい」と治療する。釜ヶ崎地区の医療の実態と人間模様を背景に、ひとりの熱血医師の人間性を浮き彫りにする。

難病に冒された女性と恋人との実話をもとにした純愛ドラマ。原作：大島みち子、河野実。（１９６４年４月１２日前編、１９日後編放送）◆軟骨肉腫と診断された大学生みち子（大空真弓）は、入院先で実（山本学）と出会い、交際をはじめる。実に励まされたみち子は手術を受ける決心をする。しかし手術は成功したが、病気には勝てなかった。電話から流れる実が弾くギターの音色をききながら、みち子は息を引き取る。◆（放送ライブラリーでは前後編をまとめて公開しています）