１９６１年（昭３６）秋、兵庫県水産試験場でエビの幼生を餌に、マダコを飼育することに成功。それまで推測の域を出なかったマダコの産卵と成育の状況を長期取材した。撮影に当たって透明なプラスチックのタコツボを利用したり、わずか数ミリのタコの卵をとらえるために顕微鏡撮影の技術を駆使するなど、その記録フィルムは学術的にも非常に貴重なものとの評価を得た。

終戦で別れ別れになった夫に逢うため、はるばる韓国から日本へ密航してきた女。女は大村収容所に送られる。すさまじいまでの女の執念、収容所の所長は女の身の上に同情し、友人などを通じて夫を探すが、消息はつかめない。やがて、女は強制送還されることになる。また来る、何度でもやって来る…という女の情念を通して戦争の傷あとを浮彫りにする。

日本の文様を素材にしたドキュメンタリー。日本人独特の感覚を描き出すために、室町から江戸までの着物地１７０点、それに古くから家々に伝わる紋章１０００点余りを選び、前衛的な映像手法で構成していく。いわば現代の目で、過去の日本人が生みだしたすぐれた文様を新しい絵巻物にしたもの。解説は全くなく、絵と音楽ですべてを描写している。

「パパはなんでも知っている」「うちのママは世界一」など、アメリカのテレビ映画を下敷きにしたホームドラマ。パパ（千秋実）とママ（乙羽信子）をはじめ、長女トンコ（山岸映子）、長男・和夫（中野しげる）、次女チャコ（坂倉春江）といった夏川家の５人家族を中心に、明るくほのぼのとした日常生活を描く。（１９５９年７月１２日～１９６３年４月２８日放送）◆第１５１回。チャコは友だちと野球をしていて、窓ガラスを割ってしまったのに謝らない。トンコは夕ご飯を食べないから、その分のお小遣いが欲しいと言い出す。和夫は焼き鳥にして食べようと、小鳥を冷蔵庫に入れていた。パパとママは、そんな子どもたちのドライさをなげく。

近代日本における歴史的事件や、社会現象、世相にスポットをあて、当事者の証言、フィルム、録音など、さまざまな資料をもとに、現代の視点にたった回顧を試みる。◆この回のテーマは「ヒロシマ（広島）」。

幕末の激動の中で必死に生きて、大きな役割を果たしながらも、時の流れに逆らったばかりに、歴史に確かな足跡を残せなかった新選組の悲劇を描いたドキュメント時代劇。それまで単なるチャンバラとしてしか描かれなかった新撰組を内部からの視点で眺め、隊員一人ひとりを浮き彫りにした。原作：子母沢寛。（１９６１年１０月１７日～１９６２年１２月２５日、全６３回）◆第５５回「鳥羽・伏見の戦い―前編―」

石炭から石油へ、エネルギー転換期のなかで、日本経済を支えてきた石炭産業はどうなるのか。筑豊をはじめ、長崎、山口県下などの炭鉱の実態をさぐったドキュメンタリー。◆技術的側面からみての石炭産業の現状、更に流通機構や、地理的条件からみた産炭地振興策の壁など、石炭産業をめぐる問題を論理的に解明しようとした。

全国から選ばれた男女２人ずつ４人の中学３年生が、夏休みを利用して２０日間にわたりデンマーク、イギリス、フランス、イタリア各国を訪問した。歴史の跡を訪ね、ヨーロッパの子供たちと交歓した様子を報告、紹介する特集番組。◆最終回はイタリア編。中学生たちが今回の旅の感想を話す。