戦争体験者の生の声を伝えるインタビューシリーズ。今回は川上喜政氏にシベリア・朝鮮抑留の体験を聞く。◆川上さん達は８月２０日に終戦を知らされ、武装解除された。日本へ帰ると行軍させられたが、汽車で運ばれた先はシベリア。厳寒の地で毎日伐採作業が続き、その日その日を生きていくことしか考えられなかったと言う。食糧もわずかで、体重は３５キロになった。ソ連の医者に見捨てられて日本送りとなるが、再び朝鮮で抑留。赤痢で死線をさまったとき、病床からは先に死んだ日本人の塔婆が何千も見えていた。（インタビューの部分のみを収録）

黄莉香は出版社に務める在日華僑三世。くも膜下出血で倒れ入院中の母を、妹と交代で看病している。姉妹は看病の申し送り事項をノートに書き綴る。そこには母の様子だけでなく、家族の思い出や、面と向かって言えなかったことも書かれるようになっていく。中国と台湾の狭間で揺れ動いた家族のこと、在日外国人であるが故に受けた小学校時代のいじめ、自身のルーツを求めて訪ねた台湾旅行、そして来春日本人と結婚する妹へのメッセージ。国籍、民族、そして自らのアイデンティティについて、莉香は自問自答し、時に妹に問いかけ、時に眠り続ける母に語りかける。脚本：黄莉香、出演：黄莉香ほか。第６２回文化庁芸術祭参加番組

京都・滋賀の今が数字でわかる、をキャッチコピーにした平日午後の生ワイド番組。日替わりテーマにＹｅｓ、Ｎｏで投票してもらい、リスナーがどう考えるかリサーチするＷＥＢ連動型の番組。（放送開始２００７年４月）◆今回のテーマは「アナタは公的年金以外の備えをしている？」。社会保険庁による年金支給漏れ問題がピークを迎えた週で、番組コメンテーターの谷澤弁護士が国会の厚生労働委員会に参考人として呼ばれ、社保庁の失態と国による速やかな救済措置を訴えた。これを受けて、リスナーの年金制度への思いや悲痛な気持ちをリサーチ。年金支給漏れ被害者にも現状をきいた。また、民主党の長妻昭議員に電話取材し、及び腰の政府や無責任な社保庁の現状を報告してもらう。パーソナリティ：里見まさと

デジタル放送開始のための本社移転にともない、４３年の歴史を刻んだ南海放送道後局舎が最後の日を迎えた。小原アナウンサーは後輩アナとともに、深夜に奇妙な音がするという地下倉庫に向かい、不思議な人たちに出会う。それは、元報道部員のデンスケ、一期生アナウンサーのベロシチら、七人の幽霊だった。彼らはなぜ幽霊になり、今、何を思うのだろうか。そして局舎が消える明日からどうするのだろうか。◆道後局舎最後の日（２００６年１１月１２日）に、一般公開の生放送ラジオドラマを中心に、かつての関係者の紹介や音楽イベントを交えて放送された２時間番組から、ドラマ部分のみを取り出して２００７年に再放送したもの。ストーリーは南海放送５０年誌を元に、関係者を取材しての実話に基づいている。

３０歳のともえは突然、母親から死んだ父が帰ってきたと知らされた。実家に行くと、そこには８年前、５９歳で死んだはずの父がいた。ありえない、これは現実だろうか、それとも家族で見る幻だろうか。奇妙な出来事をきっかけに、夫の浮気への疑い、母や兄夫婦への感情など、日常生活に潜む感情があらわになる。人生の儚さと、変わりなく過ぎ行く現実の無常さの中で、束の間の喜びと「生」への愛おしい思いを描くヒューマンドラマ。原作：藤野千夜、脚色：小松與志子、出演：西尾まり、天野鎮雄、梅沢昌代、ほか。

栃木県出身のアーティストのざわのりこさんの著書を元に、長崎のユニークな文化をコミカルに描く。◆のざわさんは長崎に引っ越してきて３年。そこで体験した行事や名物、衣食住などは、県外では考えられない驚きの連続だった。そんなエピソードをマンガで描いた「長崎に来ちゃった！」は、長崎で人気の本となった。この著書の中から、「お墓で花火」「蛍光色のハンペン」「夫のあやしい長崎弁」「さわやか系長崎弁」「精霊流し」「チリンチリンアイス」の６編をアニメ仕立てにドラマ化し、長崎の音、のざわさん夫妻や郷土史家越中哲也さんへのインタビューを交えて紹介する。

男性と同様に赤紙を受け取り戦場に赴いた従軍看護婦たちの“終わらない戦争”を描く。◆看護師の美奈子が担当しているリハビリ入院患者和歌子は、美奈子の祖母・多喜と一緒に戦場を生き抜いた従軍看護婦だった。昭和１９年（１９４４）、看護婦学校を卒業した１９歳の和歌子に赤紙が来た。和歌子は召集先で同期の多喜と再会し、フィリピン・ルソン島の兵站病院に赴任。人命を助けるという使命に誇りを持って看護に当たるが、やがて過酷な運命が二人を待ち受けていた。作：東多江子。出演：香川京子、堀内敬子、水野ゆふ、ほか

２００５年に放送した特別番組「伊予灘に響く奇跡の鎮魂歌」と、２００７年８月に松山市民会館で行われた朝崎郁恵さんの公演を通じて、平和について問いかける。◆朝崎さんは奄美大島加計呂麻島出身で世界的に活躍する唄者。２年ぶりの松山公演であるが、彼女が松山を訪れるきっかけとなったのが、一人でも多くの人に伝えようと情熱を傾けている鎮魂歌「嘉義丸のうた」だ。嘉義丸とは昭和１８年（１９４３）５月、大阪から那覇へ航行中に奄美大島沖で米軍の魚雷に撃沈された貨客船で、３２１人が犠牲となった。無線通信士だった兄を失った今治市在住の竹田さんの希望で、朝崎さんは戦後５０年の節目の２００５年に仏前で「嘉義丸のうた」を奉納したのだ。◆今回の公演でも、一曲一曲に込められた思いを語りながら、奄美の唄を歌う。曲目は「今日ぬほこらしゃ」「朝花節」「雨ぐれ」「千鳥浜」「いとぅ」「嘉義丸のうた」「塩道長浜」「十九の春」「行きゅんにゃ加那」「ふるさと」「豊年節～六調」「おぼくり～ええうみ」。（同時録音のためノイズがあります。）