血液製剤でエイズに感染し死亡した血友病の少年とその家族に焦点をあて、全国的な取材を通して「薬害エイズ」が日本で広がった背景を伝え、行政によるエイズ患者への差別や製薬会社の責任を多角的にとらえる。◆薬害エイズの感染者は全国で２０００人に上る。長野県の少年もその一人。血友病だった彼は保育園に通っていたときにエイズ感染を告げられ、１９９３年に死亡した。彼の父はあえて実名公表に踏み切り、行政の責任を追求する。

日本に現在生息する約５５０種の野鳥のうち、大空を飛翔する姿の美しい鳥たち、澄んださえずりを谷間に響かせる鳥たち１００種の、特色豊かな生態を四季折々の美しい日本の原風景の中につづる。◆この回は、千葉県谷津干潟でハマシギの生態を紹介する。

バブル崩壊後、都心の地価下落が続く中、１９９４年頃から「都心回帰現象」が起こり、マンション需要が拡大。第６次マンションブームと言われ、マンション販売が好調であった。子どもが生まれ、家族が増えれば、将来転売することを見込んで買う購入者も多いというが、果たしてそれは可能なのだろうか。買い替えの頃には住んでいるマンションの建て替え時期がやってくる。建物の補修や建て替えのために修繕積立金を積み立てるが、管理会社によっては適正に処理されず、積立金が消えてしまうようなケースが起こっている。また一方で、阪神淡路大震災で被災し、修繕が必要なマンションでも修繕をなかなか行うことができない問題が発生していた。マンション管理の実態を追う。

静岡県水窪町は長野へ抜ける信州街道が通る。ここに伝わる西浦田楽は、中世の頃の芸能で現在の能の原形をとどめているといわれる。徹夜で観音さまに奉納される舞は、地区の人々が世襲で役割を分担して舞う。悪霊を払う「地がため」から始まる舞は、「地能」「はね能」を通して四十数段に及ぶ。舞は、神が邪気、悪霊を払い、豊作を約束したところで朝を迎えて終わる。◆西浦田楽〔静岡県〕

茨城県笠間市の丘の上にある伊藤東彦の陶房を、ジャズ歌手のアンリ菅野が訪ねる。◆伊藤さんの技法は、陶器に蚊帳を乗せて化粧土を塗り、布目の上に絵を描くというもの。芸大大学院を出てシルクロードを旅し、敦煌で出会った絵に布目の可能性を感じた。絵具は自製で５００種あるが、それでも自然の色と比べてあまりにも少ない。◆火の温度から窯出しの時間まで計算する。全てに満足した作品はないが、失敗は次への課題となる。自然と語り合うために、やきものをつくるという。

障害者の結婚問題を扱ったラブストーリー。◆沖縄伊計島に住む春夫は、小児マヒにより足が不自由になり、軽い知的障害も抱えている。その彼のもとに、親戚から見合い話が持ち込まれた。相手はコザ吉原のおでん屋で働くトヨ子。彼女は借金を抱えており、それを肩代わりしてくれるなら誰とでも結婚するという。実は彼女にはかつて米兵相手の売春婦をしていたという過去もあった。結婚話がまとまり、金が渡された数日後、トヨ子は姿を消す。

さまざまな分野で活躍する第一級の人々が、その人ならではの視点で「いのち」をテーマに語る。◆今回は、ライフコーディネーターのフランソワーズ・モレシャンさん。

聴覚障がいを持つ子供たちがミュージカル上演を目標に掲げ、指導にあたる先生とともに奮闘する日々を描く。◆福島県立聾学校。ここでは全国でも珍しい「演劇」による国語教育が行われている。この演劇教育を発想し、作り上げてきたのが青木淑子先生。その演劇活動には、一つの大きな目標がある。一般の高校に混じって全国高校演劇コンクールに出場することだ。６年前からの挑戦で、この年は、木下順二原作の「陽気な地獄破り」をとりあげた。立ち稽古が始まった９月から、県大会予選、県大会本選までの特訓合宿の日々を追う。そして春３月、旅立ちの卒業式。青木先生と子供たちの顔は限りなく明るくたくましい。