飛騨・高山に４００年の伝統を誇る飛騨春慶がある。木地に透き漆をかけて自然の木目を見せるのが特徴。漆器に派手さはないが年月を経ると色に深みを増す。工程が単純なだけに、一つの工程に作り手の技と工夫が凝らされ、それが各職人の個性として作品に生かされる。木地師と塗師の見事な合作である。◆春慶の名は、その色が陶器の茶つぼの名品と似ているところから付けられたという。

西はローマから、紅海、アラビア海、インド洋を経て、東南アジア、中国へと到る“海のシルクロード”。インドの胡椒、東南アジアの香料、中国の絹や陶磁などの産物や、宗教・文化の伝播に大きな役割を果たした航路をたどる。（１９８８年４月２４日～１９８９年３月２６日放送、全１２回）◆第４回は、アラビアンナイトの物語にも登場する“ダウ”という木造帆船に乗ってアラビア海を帆走する。千年来雄大なマストに三角帆という構造のままの“ダウ”は、いまも大型タンカーに混じって貨物船として活躍している。アラブ首長国連邦のドバイの港からホルムズ海岐を越え、パキスタン西大の貿易港カラチへ向かう。

大みそか恒例の特別番組、１９８８年（昭和６３）第３９回ＮＨＫ紅白歌合戦。ＮＨＫホールからの公開生中継に、紅白２１組が出場する。司会は加山雄三、和田アキ子。実況は島村俊治、総合司会は杉浦圭子アナウンサー。

沖縄の美しいサンゴ礁で、ユニークな生活をしているトウアカクマノミの一生を軸に、サンゴ礁で暮らす生き物たちの生存競争を描く。◆沖縄県・慶良間諸島の海は、冬でも水温２０度を下らず、沖縄でも指折りのサンゴが群生している。色鮮やかな魚をはじめとする生き物の天国は、同時に激しい生存競争の戦場でもある。サンゴに張り付いて暮らすガラスハゼ、穴をあけて砦を作るカニ、トウアカクマノミの家はイソギンチャクだ。トウアカクマノミは家族を形成して規律正しく生きる。彼らは全部オスとして生まれ、家族の序列で最上位の個体が性転換して母親となり、２位が父親となる。

子供たちの人気者、カブトムシ、クワガタムシ。近頃はデパートで買ってくるものになりつつあるこれらの虫たちの１日を、ふるさとである雑木林に追う。◆雑木林のクヌギやコナラといった甘い樹液が豊富な木の幹に、昆虫たちは集まってくる。組んずほぐれつの争いも演じられるそういった場所を、昆虫酒場と呼ぶ。強いのはカブトムシ、ついでクワガタたち。クワガタの特徴であるはさみは、アゴが発達したものである。ノコギリクワガタ、コクワガタなど、日本にいる２３種類のなかでも一番人気の体長７センチにもなるオオクワガタは、他の虫がいなくなった真夜中に現れる。

瀬戸内海の小島にあるハンセン病療養施設「大島青松園」で暮らす塔和子さんの詩を通し、差別・偏見・孤独に耐える患者たちの思いを伝える。◆伝染する不治の病という偏見がつきまとうハンセン病。患者は法により家族からも故郷からも引き離され、人里離れた療養施設に生涯暮らすことを余儀なくされてきた。現在では特効薬もでき、伝染力もごく弱いことが明らかになっている。◆６０歳になる塔さんは１２歳のとき発病して以来この島で暮らしている。世に出した詩集は９冊。人間の運命、生きることの意味を問いかけている。

さまざまなジャンルで活躍するゲストを迎え、黒柳徹子が話を聞く長寿インタビュー番組。◆この回のゲストは、戦後の代表的女性評論家であり、難民子弟の教育支援を実践する犬養道子氏。欧米の大学で哲学・聖書学を学び、その後ヨーロッパに滞在。難民が流入し、木々を薪にしたため環境破壊を引き起こした地域への植林「みどりの一本」運動の提唱・実践、「犬養基金」の創設など、アジア・アフリカ・ヨーロッパの難民救済のために精力的な活動を続けている。「育てること」の重要性を熱く語る。

小さな海岸町、３人の小学校６年生の男の子が夏休みに冒険に出かける、ドラマ版「スタンドバイミー」。◆「夏の熱い夜、からす島の洞窟が金色に輝く」という伝説を確かめるために、イサム、裕一、伸夫の３人は冒険を計画する。家族には「キャンプ場に行く」と言って、自分たちで作ったいかだで海に漕ぎ出す。島に上陸したものの、潮が満ちていかだが流されてしまう。港に流れ着いたいかだを、イサムの父・武雄が発見する。