かつて鎌倉に入るには７つの道しかなかった。俗にいう切り通し、すなわち『鎌倉七口』をいう。険しい山を険しいまま削りとった道である。南を海に、三方を山に囲まれた鎌倉は天然の要さいだった。幕府跡を見下ろす丘に頼朝が眠る。◆武士たちのおん念を秘めて眠る幾つかの墓を軸に、禅寺のりんとしたたたずまいや風土の険しさを織り混ぜながら、「失われた都」の精神と格調を描く。◆鎌倉七口〔神奈川県〕

北海道にはエキノコックス症という病気がある。エキノコックスという寄生虫が主に肝臓に寄生して起こる病気で、日本では北海道以外の地方にはほとんど見られない。放置すれば命に関わるこの病気が近年、道内で広がっている。謎の多い寄生虫・エキノコックスと、エキノコックス病についての様々な研究、取り組みを伝える。◆根室地方の風土病と言われたエキノコックスが６００キロ離れた函館まで感染拡大していた。エキノコックスの虫卵が人体に奇生すると、１０年から２０年の潜伏期間を経て、やがては肝臓が蝕まれ死に至る。媒介するのは人間の身近にいるネズミやキタキツネ等である。１９３７（昭和１２）年、礼文島で多くの島民が沢の水を飲んでいたためにこの病に侵された。媒介動物と見なされた島内のキタキツネ、犬が処分され、この寄生虫は絶滅した。ところが千島・樺太から流氷を渡ってきたキタキツネが再度この寄生虫を侵入させた。◆病巣の解剖写真・映像が多数含まれています。

若狭湾に面した丹後半島、伊根の漁港。山を背にした静かな入り江に２００余りの軒が並ぶ。伊根の漁師は古くから「殿様漁師」と呼ばれてきた。海に面した船屋に直接船が入り、浜に船を引き上げる苦労がないからである。◆夜明け前、定地網を上げる船が出る。以前はブリ、今はハマチが大半となった。伊根独特の船屋の２階からは機の音が聞こえる。丹後の突端、伊根の詩情を描く。◆伊根町〔京都府〕

大正から昭和にかけて映像文化の誕生に情熱を注いだ青年たちの、夢・先見性・ひたむきさ・自信など、現代の若者が見失った輝きとエネルギーをコミカルに描く。連続テレビ小説で初の男性主人公。作：田向正健。ＮＨＫ連続テレビ小説第３２作。（１９８４年４月２日～９月２９日放送、全１５６回）◆１９２２年（大正１１）、北海道。家族に黙って上京しようとしていた加治山平七（榎本孝明）は、駅へ行く途中で熊に襲われる。間一髪のところを猟師・新谷兵馬（山谷初男）に助けられるが、熊を売った収入に気をよくした兵馬のドンチャン騒ぎにつきあわされるはめになる。

画家の東山魁夷さん（横浜出身）と作曲家の團伊玖磨さん（神奈川県在住）との対談。◆山梨県清春白樺美術館に、團さんが東山さんを訪ねる。前半は同美術館で催されている東山魁夷展の作品の数々について、モチーフなどを團さんが訊く。後半は美術館の中庭にて“旅と絵と音楽と”について両人が語り合う。

貧しい農村に生まれた少女が幾多の苦難を乗り超え、やがてスーパーマーケットのチェーン店を経営するようになるまでを、生まれ故郷を旅する彼女の回想という手法で描く。作：橋田寿賀子。ＮＨＫ連続テレビ小説第３１作。（１９８３年４月４日～１９８４年３月３１日放送、全２９７回）◆スーパーたのくらの１７号店は大手スーパーの進出で経営難に陥る。そのうえおしんの次男で今は社長の仁と妻・道子との間に離婚話が持ち上がる。仁は店を売るにも売れず、破産を覚悟して妻とも別れ、家も処分しようとする。おしんは家族の結束の大事な今こそ出ていこうとする道子を引き止めるよう仁に説く。

　世界中の人々の暮らしぶりや自然を紹介する、海外取材ドキュメンタリーシリーズ。全米写真家協会プロフェッショナル最高賞を受賞し、国際的にも評価された。（１９６６年１０月９日～１９９０年９月１６日、全１０００回）◆大自然には、思いがけない現象が起きる。人間はそうした大自然の魔力に恐れおののき、時には人知を超えた“神”のなせる技としてうやまってきた。こうした大自然の不思議な現象の中から、アマゾンのポロロッカ、韓国、珍島の神渡りのふたつを特集する。ポロロッカは、大アマゾン河がまるで大洪水の勢いで大逆流する現象であり、珍島の神渡りは、モーゼのエジプト脱出のように海が割れ、海の中に道のできる現象である。

貧しい農村に生まれた少女が幾多の苦難を乗り超え、やがてスーパーマーケットのチェーン店を経営するようになるまでを、生まれ故郷を旅する彼女の回想という手法で描く。作：橋田寿賀子。ＮＨＫ連続テレビ小説第３１作。（１９８３年４月４日～１９８４年３月３１日放送、全２９７回）◆浩太はたのくら１７号店をそのまま買い取ってくれるという話を持ってきて、仲介の労をとるという。おかげでたのくらは破算を免れ再出発する。おしんは浩太と昔からの思い出を語り、昔のことを知るのもとうとう二人だけになってしまった、いつまでも良い友人でありたいと静かに話す。