被爆４５年を迎えたヒロシマがこれまで世界に訴えてきたこと、今後果たしていく役割を、作家・大江健三郎氏の思索と対話を通して探るドキュメンタリー。◆大江氏がヒロシマと出会ったのは障害を持った長男が出生したとき。被爆者や医師たちの姿に生の尊厳を教えられたという。それから２７年、反核の主張を繰り返してきた大江氏が米・ソ・韓のオピニオンリーダー７人を各国に訪ねて語り合い、ヒロシマの意味を自らの人生に即して問い直す。

用心棒“かかし半兵衛”が大名のお家騒動に正義の剣をふるうアクション時代劇。「四匹の用心棒」シリーズ第２弾。原案・脚本：志村正浩。◆時は天保。浪人が溢れ百姓一揆は頻発、世情不安のおりから、日光街道をあてもなく旅していた半兵衛（渡哲也）は裏街道で数人の侍に襲われていた武家娘・志津（名取裕子）を助けた。わけを聞いてもお家の事情としか答えない志津は、どうやら岩上藩のお家騒動に巻きこまれているらしい。岩上藩では幼君をたてて国家老と江戸家老が権力争いをしており、双方腕の立つ浪人を集めていた。半兵衛は口入れ屋のお虎の口利きで、国家老の山際に雇われる。

親友でありながら全く異なった道を歩いた二人の男とその妻たちが生き抜いた人生を通して激動の戦後史を描く。◆百合子と愛子は空襲下の有楽町で、忠太郎と静一という大学生に出会う。百合子は戦後政治家を志す忠太郎と再会、結婚する。一方、愛子も復員した静一と結婚、静一は弁護士になる。忠太郎は大臣にまでのぼりつめるが、思わぬ落し穴が待っていた。

石川の工芸の歴史について、嶋崎丞さん（県立美術館副館長）に聞く。◆石川県の文化の源は、江戸時代前期、前田利家に始まり、三代利常の時代に花開く。最初は武器類が多く、太刀や鎧のみごとな作品があるが、やがて茶人が指導するようになり、古九谷や飴細などの工芸品が登場する。◆百万石の武家が始めた文化だが裾野は広く、武士が解体した明治以後も発展してきた。九谷焼、輪島漆器などの研修所では、日本の金沢から世界の金沢を目指して、今日も懸命な取り組みが続く。

ビジネスマンの父親と、その事業を継ぐことを期待されている息子との葛藤を描く、同題のベストセラー書をもとにしたドラマ。（１９９０年６月２６日～７月１７日放送、全４回）◆製薬会社を経営する雄作は心臓病を患い医者からは静養を勧められているが、妻・昭子や娘・幹の心配をよそに仕事に打ち込んでいる。ライバル社のスタッフ引き抜きにあい、経営が危機に陥っていたのだ。将来会社を任せたいと思っていた息子の信之は仕事一筋の父に反発して家を出、恋人のユカと小さな輸入会社をやっている。ある日ついに雄作が倒れた。病院に駆けつけた信之に、昭子は雄作が書きためた手紙を見せる。

荒事は歌舞伎の演技形態の一つで、勇猛果敢なスーパーマンを扱った芝居である。『暫』を例にとって解説する。◆悪公卿らが善人の首をはねようとした時、「しばらく」と声がかかってスーパーマンが現われ、悪人たちを打ちひしぐという筋。初代市川團十郎が創作して以来、市川家のお家芸となった。荒事は隈取りに特徴があり、紅隈といわれる隈は正義を表す。

農業を捨て、あてもないまま転業した男の荒廃した内面を描く。原作：立松和平。◆数年前、団地建設の際に田畑を売り払った春男（奥田瑛二）は、理容店を経営する傍ら、未練がましくトマトを栽培していた。自分が育てるトマトを誰にも食べさせず、収穫した時、全部を目の前に揃えるのが夢だった。だがある日、近所の小学生・直樹がトマトを一つ食べてしまった。歯を食いしばりそれを横目で見つめる春男。その直後、直樹は行方不明になり春男に疑いがかかる。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日～１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆千田是也：演出家。１９０４年東京生まれ。１９４４年青山杉作らと俳優座を創立する。のちに俳優座演劇研究所を開設し、所長となる。主な演出作に「三文オペラ」「近松心中考」など。