少林寺の実態にスポットを当て拳法に懸命に取り組んでいる様子を描く。◆国内２７００支部、現役会員１３万人、愛好者のべ１２０万人、海外２２カ国に支部をもつ社団法人・日本少林寺拳法連盟。香川県多渡津市に中国・西安の寺を模した７０の塔をもつ総本山がある。少林寺拳法は日本でつくられた。「拳禅一如」を掲げ、愛をあらわす表まんじ、力を表す裏まんじのシンボルを使う、拳法の実態に迫る。

江戸時代、伊勢伊賀の領主であった藤堂家。城代家老の家に伝わる日誌をもとに、いつの世も変わらない仕え人の哀歓を描く。◆時は享保。八川佐次右衛門（小林薫）は伊賀上野城代家老・采女家に仕える祐筆、つまり記録係だが、名張の出身で婿養子である。藤堂家の当主が亡くなり、若殿の家督相続を幕府に認めてもらうため、城代家老の高稠（中村梅之助）は小藩の金をかき集めて江戸へと向かった。そんな折、佐次右衛門の故郷・名張では独立騒動が持ち上がっていた。佐次右衛門は幼馴染みの小沢正浮（三浦浩一）から相談をうけて心が揺れる。やがて独立の企みは露見し、首謀者とされた名張の家臣たちが切腹を命じられ、騒動は治まった。しかし、佐次右衛門は主である若き家老・元社（黒田アーサー）から「不熟につき」という理由で突然職を免ぜられる。それは職務上で書き残した不都合な記録を抹消するための措置であった。

テレビを生んだ日本人、高柳健次郎の半生をたどる。◆１９２６年（大正１５）、ブラウン管に「イ」の文字を映し出した高柳健次郎、２７歳。「無線遠視法」からの発想で世界初の電子式テレビジョンの完成だった。１９３４年（昭和９）、彼はほぼ同時期にテレビの研究をしていたツヴォルキン博士に会いにアメリカに渡る。そして数年後、東京オリンピックの中継、テレビ本放送に備えて着々と準備を進めていた健次郎だが、日中戦争勃発によりすべてが幻と消えるのだった。

日本海の海運を担った北前船について、牧野隆信さん（加賀市文化財保護審議会会長）に聞く。◆北前船は江戸時代半ばから明治３０年代に活動した商船で、自らの責任で商売をし、大坂から瀬戸内海・日本海沿岸・北海道までをかけめぐった。◆慶長年間につくられた福浦港の灯台は、日本で最初のもの。銭屋五兵衛が有名だが、他にも成功者の屋敷・遺品などが多く残る。北前船は明治時代になると汽船の発達で廃れたが、その雄姿とフロンティア・スピリットは北陸の精神文化を支えている。

広島県内の政治・経済・文化などあらゆる分野の話題を取り上げるドキュメンタリーシリーズ。◆中国山地の源流に生息するイワナの一種「ゴギ」が激減している。イワナ類は九州や四国を除く日本全国に棲むが、このゴギは白い斑点が頭の上にまで及んでいることで区別される。広島県指定の天然記念物だが、環境悪化による餌の減少と、近年の渓流釣りブームによる乱獲で、いまや絶滅の危機に瀕している。このゴギを絶滅から救おうと、県内の釣り人たちと養殖業者が「西中国山地のゴギを育てる会」を結成、養殖に挑んでいる。ゴギに魅せられた男たちの心意気を描く。

障害者への差別や偏見をなくし、あらゆる場で真の仲間として受け入れる「開かれた社会」の実現について考える。◆第２部「社会参加への道」では、アメリカとイタリアからの報告を交え、障害者の社会参加への道を探る。◆１９９０年７月、障害者に対する一切の差別を禁じたアメリカ障害者法が成立した。財政赤字に悩む中、２００億ドルの費用を要する法案が通るまでにはさまざまな経緯があった。可決までの経過をたどる。◆イタリア・トリエステ市は、精神障害者への対応に地域ぐるみでとりくんでいる。難しい問題に２０年をかけて取り組んだ、保守的だった地方都市での市民の苦悩を追跡する。

大みそか恒例の特別番組、１９９０年（平成２）第４１回ＮＨＫ紅白歌合戦。２部構成の第１部は「２１世紀に伝える歌」を軸に、世界各地の大晦日、人々の年越しの表情などを交えながら生中継で伝える。司会は三田佳子、西田敏行。総合司会は松平定和アナウンサー。

３年前に制定された総合保養地域整備法、いわゆるリゾート法によって日本各地がリゾート開発ブームに沸いた。その現状を検証する。◆日本人の余暇を拡大して民活による内需拡大に向ける、過疎や農業不振に苦しむ地方を活性化する、などを眼目として制定されたリゾート法。スポーツ、レクリエーション施設などへの特別償却制度や税の減免などの特例措置、資金支援、地方公共団体への助成などを内容とする。ＮＨＫのアンケート調査の結果、開発構想があると答えた自治体は６４．５パーセントにも達していた。ゴルフ、スキー場、ホテルやマリーナなどの造成によって変わってゆく日本の景観。その裏にひそむ問題点を探る。