戦後最高の人出があった第３３回メーデー（１９６２年５月１日）、東京の神宮外苑広場は２３万人の労働者で埋まった。今年はきれいなメーデーと宣伝したもののデモ隊の出発した後はゴミの山。後始末に２００人の作業員が５時間もかかった、費用は５８万円。子供連れで賑わう動物園は迷子相談所が繁昌。東京駅ではこのところ陽気のせいか列車が着くたびに忘れものが発見され、一日平均３５０点が置き去りにされていることになる。待てどくらせど持ち主の現われない遺失物や、行く先不明の荷物はひとまとめにして南千住の東京用品庫に送られる。ここの作業場は迷える荷物でいっぱい。品物のバラエティーに富んでいる点はデパートなみ。大は布団類から種々様々のものでいっぱい、ここに集まった持ち主不明の荷物は２束３文で競売される日を待っている。

秋の国民体育大会を控えて、岡山市では県営競技場での予行演習にまで３万５千人の大観衆が詰めかける賑わいぶり。こうした国体ムードいっぱいの岡山市で、このほど一日内閣が開かれた。これは政府首脳部が地方に出かけて行き、国民の声を直接聞こうという池田内閣初めての催しで、この度は池田勇人首相ら１２人の閣僚が勢ぞろいした。中国５県から１５人の発言者が選ばれ、各地でデモ騒ぎや、学生の座り込みなどもあったが一日内閣のすべりだしはまずまずといったところ。

１９６２年６月２９日、北海道の十勝岳が１０年ぶりに爆発を起し、赤黒い噴煙は１万メートルの上空に達した。十勝岳には専門の観測員がいないために火口近くで作業していた硫黄採掘場の鉱夫５人が即死。１１人が重軽傷をおった。焼けただれた火山弾が２キロ四方に降りそそぎ、麗の美暎町白金温泉の住民達は自衛隊に守られて着のみ着のまま避難した。十勝岳は再爆発の恐れがあり不気味な鳴動を続けている。（週間話題）

人種差別の激しいアメリカ南部で、白人オンリーを守ってきたミシシッピー大学に入学を希望した黒人のメレディス君をめぐって、差別主義者最後の砦を守るバーネット州知事や、右翼のウォーカー元少将ら白人の反対派と、人種差別は違憲とした最高裁の判決をタテにするケネディ政権が真っ向から対立。７千人の軍隊を動員しての入学強行は２人の死者を出す騒ぎとなった。５年前のリトルロック事件についでの今回のこの事件は、アメリカのガンといわれる人種差別問題のむずかしさを示している。

浅沼発言の再確認でミイラとりがミイラになったと波紋を呼んだ社会党訪中使節団が１月１６日帰国した。帰国報告会で鈴木茂三郎団長は浅沼精神を強調したが、日中共同声明は党内でも批判の声があって執行部の頭痛の種。１月自民党大会で池田勇人首相の施政演説で政治シーズンの開幕、翌２０日から注目の社会党大会が開かれ、構造改革論の江田三郎氏か、社会主義の姿を主張する佐々木更三氏か、大会の焦点は書記長のイス争いに絞られて、今後の新しい路線がかけられている。

長野県丸子実業高等学校の野球部は第３４回選抜高校野球の北信越代表に選ばれた。大正１１（１９２２）年の結成以来４０年目にして始めて甲子園の土を踏む。北アルプスおろしの寒風はバットやグローブを凍らすほど。守備練習はキャッチャーなみにプロテクターをつけて猛練習。雪よけのワラでかこったブルペンでのピッチングの練習が行われている。地区大会で４６イニング無失点という快記録をうちたてた坂田投手はこのチームのエース、甲子園での活躍が期待されている。

恐ろしい殺人ダンプカーが走る街道筋。狭い町並みの所では電柱が半分も削られている。昨年の交通殺人は１万２千人を越える激増ぶり、うち大型トラックによるものが３分の１以上を占めている。埼玉県の萩原君は、ダンプカーに飛び込まれて両親を失い、交通孤児となったうえ、足腰が立たぬ体にされてしまった。ダンプの運ぶ砂利は需要に追いつかず、その少ない砂利を求めて少しでも多くとつめかけてくる。厳しい採算のわくに追われながら日に５０〜６０キロを数回も往復するという強行車。主要道路のうちにもはやダンプ街道となって一般車には危険という所もある。検問の目を逃れて積載量をごまかす車がいっぱい。取締りの目を離れると交通道徳も人命も忘れてダンプ同志の猛烈な競争。恐ろしい交通地獄の解決は今年の最大の課題となった。（カメラ・パトロール）

平和と友好の使者としてわが国を訪れたソビエトの宇宙飛行士第１号ガガーリン少佐は東京をはじめ各地で大歓迎を受けた。その頃、アメリカではスコット・カーペンター少佐がアメリカ第２号の宇宙飛行士として人間衛星船オーロラ７号に乗り込んだ。１９６２年５月２４日午前７時４５分オーロラ７号はケープカナベラル基地を離れ、４時間５６分で地球を３周した。大気圏に再突入の際、自動制御装置が故障したためか予定着水地点が３２０キロもそれ、マーキュリー本部はいろめきたった。回収部隊必死の捜索により波間に浮かぶカーペンター少佐を救出、カプセル回収に成功した。オーロラ７号の成功によりカーペンター少佐は米ソの宇宙戦争を互角に導いた。