１９８１年１０月１６日、ガス突出事故で９３人の犠牲者を出した北炭夕張炭鉱は、翌年１０月２日に閉山し、最後の儀式である労働組合の解散式を行った。“ヤマ”の人たちは事故、閉山、そして操業再開の断念という苦渋に満ちた２年間にそれぞれの思いを馳せるしかなかった。◆本番組は、１９８２年５月３日に放送された「ドキュメンタリー　地底の葬列」と１９８２年１１月２３日に放送された「続・地底の葬列」の内容に新たな取材を加えて再構成したものである。

１９８３年６月１１日、インドネシアで皆既時間５分１２秒という、今世紀最大級の皆既日食が観測された。その模様を３地点から３０分にわたって追跡し、日本をはじめフランスなど約１０カ国に向けて放送した。◆ＮＨＫは、インドネシア国営テレビ放送と協力して１年前から準備に入り、東西約１０００キロメートルの皆既帯に沿って３地点に中継車を配置。２つの通信衛星を使った多元衛星生中継に世界で初めて成功した。

１９８３年５月２６日正午に発生した日本海中部地震を、映像と解説から検証し、この地震の残した教訓を問う。◆秋田県内各地で地震の際に撮影された映像、被害状況を追ったさまざまな映像に加え、地震メカニズムの解説で被害の実態を検証。偶然撮影されたスチール写真や液状化現象の実験などをまじえて、天災への備えを考える。（１９８３年６月制作）

近代化の中で消えつつある伝統技能、今も脈々と受け継がれている職人技術を横浜市内各地に訪ね、手作りの工程や職人さんたちへのインタビューを交え、年一番組という地道なペースで記録しているシリーズ。◆けやきの大木から彫り上げる臼づくりを追う。臼づくりの職人は、材料のけやき選びから始まり、毎年１０月から２月にかけて、臼に適した木を求めて歩き回る。頼りは長年のカンだけだ。１年間屋外で乾燥させた後、荒彫り、中仕上げ、そして昔と変わらない臼が完成されていく。

１９３６年（昭和１１）に設立された日本民芸館を訪れ、展示作品を紹介しながら現代における民芸と日本民芸館の役割について考える。◆初代館長・故柳宗悦の美の理念を継承し、未来へと発展させていこうと館長の柳宗理（宗悦の長男）は考える。日本民芸館を、単なる作品の陳列の場ではなく物の美しさを生かすことができるような場所にしたいと語る。

第２次世界大戦から戦後にかけての、アメリカ政府の在米日系人への対応をテーマにしたドキュメンタリー。◆１９４１年１２月８日の日本軍による真珠湾攻撃で太平洋戦争が始まると同時に、アメリカ政府は米国籍のあるものを含めて１２万人の日系人を強制収容所に送り込み、終戦の日まで拘束した。これに対し日系２世たちは地位回復を計り、２世部隊を編成して戦果を上げた。戦後になってルーズベルト大統領が開戦前に日本軍の動きを察知しながら放置させたこと、当初から強制収容所を作る考えを持っていたことなどが明らかになった。

１９８２年９月４日。スペインのマドリード動物園でパンダの赤ちゃんが生まれた。誕生したときの体重は１１０グラムで、ネズミそっくりの姿をしていた。世界の動物園でパンダの赤ちゃんがいるのは、中国、メキシコ、スペインだけ。このマドリード動物園を８カ月にわたって取材。パンダの赤ちゃんの成長ぶりを紹介する。

おやじは家の鑑、大黒柱といわれた旧時代の父親と、核家族化した現代の家庭で居場所をなくしたといわれる父親。その存在にスポットをあて、父親像の本質に迫っていくトーク番組。◆日本全国の１００家族とスタジオをデータテレホンやテレビ中継で結び、スタジオの４人のゲストとともに意見を交わす生放送。スタジオから出される質問に対して、全国から即座に回答が得られるシステムを、ＮＨＫとしては初めて採り入れた。