去年の夏（１９５５年７月２８日）、三重県津市橋北中学の女生徒３６人が水難にあってから１年、波静かな中河原海岸に、犠牲者に捧げる記念像がつくられた。命日の７月２８日、海辺で一周忌の式が行なわれ、同級生の手によって、３６個の花束が１つずつ海へ捧げられた。

東京の真ん中を流れる隅田川。隅田川の１日は、威勢のいい魚河岸の朝から明け、川は上り下りのいろいろな船で賑わっている。水上生活者の楽しい夕げどき、永代橋のたもとから下町娘の江戸祭り囃子が聞こえて来る。水ぬるむ隅田川の今日この頃の表情である。

飛騨の山深くでダムの建設が進められている。湖底に沈もうとする白川村の人々は、ふる里との別れを諦めきれぬ表情で迎えている。大家族の風習が生んだ大きな合掌造りの家、スノコ天井の下で黙々と働く人の姿に古い伝統が残されている。１９５６年９月１５日は高山の秋祭り、飛騨の匠の技を見せる見事な山車は雪国の冬を告げている。

ロンドンのランカスターハウスで開かれたスエズ会議は、米・英・ソをはじめ２２ヵ国の代表が、東西２つの陣営に分かれて激しく対立、結局振り出しに戻ったような形で閉会した。これに対し、エジプトはあくまでスエズの主権を主張し、ナセル大統領は国民の熱狂的支持を受けている。また、英国の陸軍は続々と地中海方面に増強され、スエズをめぐる緊張はいよいよ深まっている。

１９５６年７月２９日午前１時５分、重光外相をはじめとする我が全権団一行は、モスクワのヴヌーコヴォ飛行場にシェピーロフ外相、マリク全権らの出迎えを受けて到着した。明けて３０日、重光葵、松本俊一両全権はシェピーロフ大臣を外務省に訪問、交渉再開への第一歩を踏み出した。日本全国民の期待のうちに再開された日ソ交渉の前途は、千島の領有問題など意見の一致を見ず険しいものがあるようだ。

再開国会冒頭、野党は第１陣に河上丈太郎をたて、ともすればぐらつきがちな鳩山一郎外交に鋭くつめより、２大政党による激しい論戦を展開した。

１９５６年２月９日、衆議院本会議は原水爆禁止の要望を全会一致で決議した。傍聴の原爆被害者たちは、ついで煙草工場の女子工員さんたちと話し合った。一方、ニューヨークへ行った広島の娘さんたちは、治療のかたわらアメリカ人の家庭で朗らかな毎日を送っている。

故国への土産にお神楽を稽古するアメリカ娘、もうちょっとした名取だ。こちらは武者修行のアメリカの兵隊さんの居合術、なかなか堂に入ったものだ。（週間話題）