１９５６年６月２４日、天津ホテルで日本側３団体代表と、中国赤十字社との間に釈放日本人戦犯の名簿引渡式が行なわれた。釈放された日本人戦犯３３５名は、２８日、明るい表情で溏沽港に向かい、中国の風物に尽きぬ名残りを惜しみながらやがて乗船、一路帰国の途についた。興安丸は、１９５６年７月３日舞鶴港に入港、人々は１０数年ぶりで見る故国の山々に眼をうるませながら、温かい肉親の懐に抱かれて感激の上陸をした。

農業の国ポーランドの豊年祭、首都ワルシャワに集まった各地の農民たちはお国自慢の歌と踊りで収穫を祝った。（週間話題）

第２３回世界卓球選手権大会最終日の１９５６年４月１１日、個人戦で、日本は男子シングルスに荻村伊智朗選手が、女子シングルスに大川とみ選手が、男子ダブルスには荻村伊智朗・富田芳雄組が優勝、男子団体戦優勝と合わせて４つの選手権を獲得。女子ダブルスはルーマニアのロゼアヌ・ツェラー組の２連勝。かくて、大会は数々の成果を収めて、その幕を閉じた。

“あの日”から１１年目の１９５６年８月６日、４０万広島市民は平和の誓いを新たにした。爆心地に近い原爆慰霊碑前で、原爆死没者慰霊式と平和記念式が開かれ、渡辺忠雄広島市長が平和宣言を力強く読み上げた。市内の原子病対策協議会には、毎日原爆症の患者の姿が絶えない。明日をも知れぬ身体をベッドに横たえて、暗い日々を送っている人もある。しかし、生き残った人々は、力強く再起への道を進んでいる。いまも街の片隅に、“あの日”の傷痕が残っている長崎の街にも、原爆症にあえぐ人々の姿がある。東京では、１９５６年８月６日の夕方から、両国の国際スタジアムに世界各国から代表者が参加して、第２回原水爆禁止世界大会東京大会が開かれ、“原爆許すまじ”の悲願に燃えて、２００００人の参加者が東京アピールを採択した。そして、全世界のすべての人々が“生きていてよかった”という日まで、この運動が続けられることを力強く約束した。

第７次帰国船「北斗丸」は、ソ連から帰国者６２名を乗せて１９５６年６月９日、舞鶴に帰って来た。３９人は異国の空で病に倒れた気の毒な人たちだ。最後の関東軍司令官山田乙三元大将も痛々しい姿で上陸。温かい手に迎えられて、人々はそれぞれの故郷へ向かった。

昭和３０年度（１９５５年度）日本芸術院恩賜賞は、染織工芸の龍村平蔵が受賞と決まった。古代裂（こだいぎれ）の美しさが再現されたのも龍村氏の功績と言われている。（週間話題）

お揃いで初めて大阪に立ち寄られた天皇皇后両陛下は、大阪城の天守閣から市街をご覧になり、また１９５６年１１月１日には、近代的織物工場を視察されるなど、楽しい秋の１日を過ごされた。（週間話題）

終戦の日、８月１５日。１９５６年も皇居前に襟を正す参拝者の姿が見られる。しかし、街は戦いの苦しみも忘れてしまったような表情である。軍人の銅像は片隅に忘れられ、未亡人は内職で細々と暮らしている。自衛隊はふくれあがり、基地のために人々は肩身の狭い思いをしている。日ソ交渉は思うにまかせず、目下難航中だ。こうしたさなかの１９５６年８月１９日には、ナホトカから第８次のソ連帰国者が舞鶴に帰って来た。しかし、日本国民は日一日と前進を続けている。