南ポーランド・クラコウ地方の農村では、白壁を美しい花模様で飾るならわし。春の訪れとともに、娘たちは生まれつきの芸術家と言われる見事な腕前をふるっている。また、ポーランドは音楽の国、声高らかに民謡が歌われている。

日ソ国交回復で帰国することになった抑留日本人１０２５人はナホトカ駅に到着、人々は寒々としたシベリアの街に感慨深そうなまなざしを送っている。凍る雪の道を踏んでいよいよ乗船、苦しかった１１年の抑留生活の思い出も、今日は希望の帰国で誰もが明るい表情である。興安丸は１９５６年１２月２６日朝、小雪まじりの舞鶴港に入港。この日三千人の留守家族が出迎え、１１年ぶりの再会に桟橋は感激の嵐に包まれた。そのかたわらには、帰国の日を眼の前にして病死した近衛文隆さんの未亡人正子さんの侘しい姿も見られた。ともかく、長い間国民の念願であったソ連抑留同胞の集団帰国はここに終り、人々はそれぞれ懐かしい故郷で正月を迎えることになったのである。

前半不振を伝えられた日本選手団も、後半水上、体操など得意の種目にそれぞれ入賞、日章旗をいくたびかメルボルンの空に掲げた。大会９日目、男子４００ｍリレー決勝、アメリカ（ベーカー、キング、マーチン、モロー）が３９秒５の世界新記録で優勝。マラソンはフランスのミムンが２時間２５分９秒で優勝。２位はユーゴのミハリック、３位はフィンランドのカルボーネン。川島義明選手は足の痛みをこらえ、各国の強豪を押さえて５位（２時間２９分１９秒）に入賞。女子飛板飛び込みで日本の津谷鹿乃子は８位にとどまった。１０日目、２００ｍバタフライ決勝、石本隆はアメリカのヨージック（２分１９秒３で１着）と息詰まるような熱戦の末第２位（２分２３秒８）。水上陣初の日章旗を揚げた。１３日目、２００ｍ平泳ぎ決勝、期待の古川勝が王者の貫禄を示して２分３４秒７のオリンピック新記録で堂々優勝、吉村昌弘も２分３６秒７で２位に入賞する殊勲をたてた。１４日目、１５００ｍ自由形決勝は山中毅、オーストラリアのローズ、アメリカのグリーン、３選手三つ巴の熱戦を展開、山中最後の追込み物凄くローズに迫ったがついに及ばず２位（１８分０秒３＝日本新記録）にとどまった。ローズは１７分５８秒９のオリンピック新記録で１着。体操でも小野喬が鉄棒で優勝。竹本正男ら各選手（久保田正躬、相原信行、塚脇伸作、河野昭）もそれぞれ妙技をふるい、団体で２位に入賞した。日本選手団は、各競技を通じて１９本の日の丸を揚げ、各国選手と４年後ローマ大会での再開を約し友情の絆を堅くした。こうして２週間にわたる民族の祭典、メルボルン・オリンピック大会の閉幕を迎えたのである。◆【参考】メルボルン大会のメダル獲得数（金・銀・銅）、ソビエト（３７・２９・３０）、アメリカ（３２・２５・１７）、オーストラリア（１３・８・１４）、日本（１０位）（４・１０・５）。〔注〕ボクシング各級３位と夏の馬術（スウェーデンのストックホルムで１９５６年６月に開催、毎日世界ニュース２５２を参照）を含まず。

ソ連のブルガーニン首相、フルシチョフ共産党第一書記らの一行は、１９５６年４月１８日、ロンドンのビクトリヤ停車場に到着、イーデン・イギリス首相らと堅い握手を交わした。この機会に国際間の難問題がとけるかどうか、世界の注目を集めている。（週間話題）

花の便りと一緒に入学の日を迎えた。しかし、雪の残っている秩父の山奥では、子供たちはお母さんとトロッコに乗って入学だ。東京深川の水上学校では１年生も寮に入る。お母さんたちは入学式が終ると、よい子たちへ細かい心づかいを見せながら船に帰るのである。

『敵の基地を侵略してもよい』との鳩山一郎首相の失言から、国会では、再び『戦力なき軍隊』が論議の的になってきた。そのさなかの１９５６年３月１日、福岡県築城飛行場では、日の丸をつけた８機のジェット機Ｆ８６の初飛行が華々しく披露され、また空挺部隊の激しい降下訓練が行なわれている。海では、この程完成した乙型警備艦「あけぼの」の試運転が行なわれ、駆逐艦をしのぐスピードで荒波をけたてている。こうして、自衛権をめぐる論争の中で、自衛隊はひたすら軍備の増強を急いでいるようだ。

高田市近郊の無医村地帯で、このほど自衛隊衛生部隊の演習が行なわれた。村の人々はキャンプに詰めかけて治療を受けたが、自衛隊のサービスも到れり尽くせりであった。（週間話題）

第２７回都市対抗野球大会は、１９５６年７月２８日、東京後楽園球場で華々しく幕を開けた。スタンドでは大会名物の派手な応援合戦、お国自慢の競演に火花を散らしている。炎天下、試合は連日手に汗を握る好ゲームを展開、黒獅子旗の争奪戦はいよいよ最高潮だ。