税金に不平不満のある方はどうぞと、国税庁では納税者の声を聞く旬間中、全国に苦情相談所を作った。一万田尚登大蔵大臣も街に出て愛嬌よく質問に答えている。（週間話題）

１９５６年１０月３日、強制測量を明日にひかえ、砂川町は緊迫した空気に包まれている。翌４日早朝、地元の人々や応援労組などが続々測量予定地に向かい気勢を上げた。測量班は幾度か行動を起こしたが、その度に待ち構えた社会党議員団にくい止められて失敗、５日間にクイを１本打ち込んだだけだった。こうして砂川の基地拡張問題は話し合いによる解決が望めなくなり、昨年に次ぐ第２次立ち入り測量は、日本人同士が相せめぎ合うという悲しむべき事態を、再び招きそうな形勢である。

国民医療確保の声はますます高まり、１９５６年２月２３日「健康保険改悪反対」をかかげて、東京都民大会が開かれた。国会には結核患者代表が政府・与党の首脳部と会見、病人を困らせるような法律は止めて欲しいと切実な声を伝えた。一方、税務署では納税申告の相談で大賑わい。人気スターも、町のおかみさんもなかなかの粘り方。いずれも、国民にとっては共通の悩みである。

１９５６年（昭和３１年）のニュース総集編。秋田県能代市をはじめとした各地の大火。新潟県弥彦神社では、初参りの混雑のため１２４人の死亡者を出した。台風が西日本に猛威を振るい、九州有明海の干拓地は惨澹たる有様。関西本線では山崩れのため客車が川に転落、２０名死亡の惨事となった。４０名の死亡者を出した参宮線の列車衝突事件は、国鉄の運営に厳しい批判を巻き起こした。公金９千万円を横領した農林省事務官と、茨城県農業共済組合の会長の汚職事件。５月、参議院では教育二法案をめぐって乱闘、ついに本会議場に警官が入るという事態となった。明るい話題では、中国の名優・梅蘭芳やイタリア歌劇団の来日、日本登山隊のマナスル登頂成功。第１６回メルボルンオリンピックでは、笹原正三選手がレスリング・フェザー級で優勝、マラソンの川島義明選手は第５位入賞、鉄棒で優勝した小野喬選手、平泳ぎの古川勝選手の優勝など、日本選手は健闘を示した。この年も基地問題は続き、沖縄ではプライス勧告に反対運動が激化。砂川基地では米軍基地拡張の土地測量に反対する地元民が警官隊と正面衝突し、約９００名の負傷者を出すに至って政府も測量打ち切りを余儀なくされた。アメリカはビキニ上空で初めて水爆の空中投下を実験、成功させて実用化への道をつけた。一方で、平和と繁栄のスローガンを掲げてアイゼンハワー大統領が再選。ジュネーブ会議による世界の雪解けも、エジプトのスエズ運河国有化宣言によって再び悪化、英仏両国の軍事行動につながった。一方、ポーランドに発した反ソ連の動きはハンガリーでは激しい暴動となり、避難民が祖国を後にオーストリアに亡命してゆく。中国では、毛沢東首席指導のもとに国内の建設を着々と進め、周恩来首相がインドを訪れ、ネール首相とアジアの平和について語り合った。１０月１９日モスクワのクレムリン宮殿で、ブルガーニン、鳩山両首相が日ソ国交回復の共同宣言に調印。１２月１２日批准書を交換した。国連安全保障理事会では、１２月１２日午後０時１１分（日本時間１３日午前２時１１分）、日本の国連加盟が全会一致で可決され、重光葵外相は国連総会出席のためニューヨークに向かった。１２月１４日の自民党大会では、岸信介、石橋湛山の決選投票が行われ、７票差で石橋湛山が新総裁となった。

日曜と重なったお盆の１９５６年７月１５日、浅草は若い人で大賑わい、お地蔵さまはおばあさん達で繁盛している。浜辺も山も押しかけた人波で満員、お盆と共にいよいよ真夏がやって来た。

鳩山一郎首相のモスクワ行きも迫った１９５６年１０月２日、自由民主党の議員総会はすったもんだの騒ぎ、たまりかねて政府は臨時閣議を招集、一気に首相のモスクワ行きを決定した。ところが、その後の議員総会がまたまた大荒れという始末。反主流派が河野一郎全権に八ツ当りするのにひきかえ、社会党の鈴木茂三郎委員長が首相を激励するのは、不思議な取り合わせだ。１９５６年１０月７日、鳩山は家ノ子郎党に見送られて音羽を出発した。羽田空港ではソビエト漁業代表チフヴィンスキーと真っ先に握手を交わし、留守をあずかる重光葵外相らとも堅い握手。こうして揉めに揉めた末、日ソ国交回復の使命を担った全権団は、一路モスクワの空へ飛び立ったのである。

日本政府と皇室の代表として、セイロン建国２５００年祭に出席される三笠宮崇仁ご夫妻は、１９５６年８月１６日、東京の羽田を出発空路セイロンへ向かった。（週間話題）

香港で開かれた第３回東南アジア映画祭は、お国自慢の装いを凝らしたアジア各国のスターたちで賑わったが、この映画祭で最優秀撮影賞を受けた「佐久間幹線」は国内のＰＲ映画コンクールでも通産大臣賞を受けた。（週間話題）