台風１５号は九州をかすめ太平洋岸に沿って北上、１９５６年９月２７日、関東南部に上陸したがほとんど被害はなかった。しかし関西各地は相当の被害を受け、関西本線の関−加太駅間で山崩れの為、客車一輌が加太川に転落、乗客２０名が濁流に呑まれるという惨事が起きた。現場では必死の救出作業が行われたが、乗客の大半はすでに流失し、残されたわずかの遺品が人々の涙をさそっている。台風１５号の残した痛々しい惨事であった。

大相撲秋場所を控えて、出羽ノ海部屋では朝早くから血の出るような稽古が行なわれている。前頭の栃光や横綱の栃錦も流れるような汗。こうして迎えた１９５６年９月１６日の初日、土俵上は東大関の若ノ花と前頭の鳴門海の一番である。（週間話題）

前半不振を伝えられた日本選手団も、後半水上、体操など得意の種目にそれぞれ入賞、日章旗をいくたびかメルボルンの空に掲げた。大会９日目、男子４００ｍリレー決勝、アメリカ（ベーカー、キング、マーチン、モロー）が３９秒５の世界新記録で優勝。マラソンはフランスのミムンが２時間２５分９秒で優勝。２位はユーゴのミハリック、３位はフィンランドのカルボーネン。川島義明選手は足の痛みをこらえ、各国の強豪を押さえて５位（２時間２９分１９秒）に入賞。女子飛板飛び込みで日本の津谷鹿乃子は８位にとどまった。１０日目、２００ｍバタフライ決勝、石本隆はアメリカのヨージック（２分１９秒３で１着）と息詰まるような熱戦の末第２位（２分２３秒８）。水上陣初の日章旗を揚げた。１３日目、２００ｍ平泳ぎ決勝、期待の古川勝が王者の貫禄を示して２分３４秒７のオリンピック新記録で堂々優勝、吉村昌弘も２分３６秒７で２位に入賞する殊勲をたてた。１４日目、１５００ｍ自由形決勝は山中毅、オーストラリアのローズ、アメリカのグリーン、３選手三つ巴の熱戦を展開、山中最後の追込み物凄くローズに迫ったがついに及ばず２位（１８分０秒３＝日本新記録）にとどまった。ローズは１７分５８秒９のオリンピック新記録で１着。体操でも小野喬が鉄棒で優勝。竹本正男ら各選手（久保田正躬、相原信行、塚脇伸作、河野昭）もそれぞれ妙技をふるい、団体で２位に入賞した。日本選手団は、各競技を通じて１９本の日の丸を揚げ、各国選手と４年後ローマ大会での再開を約し友情の絆を堅くした。こうして２週間にわたる民族の祭典、メルボルン・オリンピック大会の閉幕を迎えたのである。◆【参考】メルボルン大会のメダル獲得数（金・銀・銅）、ソビエト（３７・２９・３０）、アメリカ（３２・２５・１７）、オーストラリア（１３・８・１４）、日本（１０位）（４・１０・５）。〔注〕ボクシング各級３位と夏の馬術（スウェーデンのストックホルムで１９５６年６月に開催、毎日世界ニュース２５２を参照）を含まず。

中国残留の戦犯に面会を許された１９名の留守家族は、１９５６年７月１８日、興安丸に乗船、舞鶴を出航した。この中で、病気のお母さんに代わってお父さんに会いに行く少女のいたいけな姿が人目を引いた。（週間話題）

１９５６年４月５日、自由民主党は臨時党大会を東京日比谷で開き、鳩山一郎を初代総裁に公選した。しかし鳩山反対の票が９５票もあり、複雑な党内事情をさらけ出した。

深刻な対立を続けていた炭労（日本炭鉱労働組合）争議は、１９５６年３月３１日夜、中山伊知郎中労委（中央労働委員会）会長の第２次斡旋案を労使共に受諾したため、やっと解決した。ロックアウトも解かれ、ヤマ（鉱山）の従業員たちは久しぶりに坑内に入った。そして黒ダイヤ（石炭）が力強く流れ出る。（週間話題）

１９５６年４月１７日夜７時半頃、福島県田村郡常葉町の中心部から出火、折からの強風にあおられて、たちまち燃え広がり、瞬く間に２５４戸およそ７６９０坪（約２５４２０平方ｍ）を全焼、被災者１０９５名を出した。越えて２３日の午前６時５０分頃、福井県芦原町から出火、町の繁華街を総なめにした。被災者は２１４８名にのぼり、損害２０億円と言われている。

アフリカのフランス領アルジェリアの暴動はいよいよ激化し、フランス軍は空軍の協力の下に、山岳地帯の反乱軍に対し激しい攻撃を加えた。一方、首府アルジェーには近代的ビルが建ちならび、住民の住宅難に対するフランス政府の熱意のほどを見せている。フランスの悩みの種、植民地アルジェリアが露呈する２つの姿である。