テレビ番組のスタッフや出演者が、自ら制作した番組を振り返る人気公開セミナー「名作の舞台裏」第44回は、佐伯泰英の原作小説をドラマ化、2007年の第1シリーズから第2、第3シリーズ、スペシャル3本が制作されるなど息の長い人気を博し、今年1月ついに完結編を迎えた時代劇『陽炎の辻〜居眠り磐音 江戸双紙〜』(NHK)を取り上げます。 写真提供:NHK
※2017.4.28終了しました。セミナーの抄録をこちらに掲載しています。
【番組概要】
どんな敵の豪剣も、日向で居眠りをする猫のように柔らかく受け流し、根負けした相手を打ち倒す天才剣士・坂崎磐音(いわね)。豊後関前藩士であったが、ある壮絶な事件をきっかけに藩を捨て、
江戸深川で浪人暮らしの日々を送っている。心に深い傷を負いながらも爽やかに生き、困っている人には優しく温かく、正義を貫く青年武士を山本耕史が熱演。痛快な殺陣、恋や人情、笑いなど、
時代劇の魅力が凝縮されたドラマ。
【放送】
第1シリーズ 『陽炎の辻〜居眠り磐音 江戸双紙〜』(2007.7.19~10.11 全11回)
第2シリーズ 『陽炎の辻2〜居眠り磐音 江戸双紙〜』(2008.9.6~11.22 全12回)
正月スペシャル『陽炎の辻〜居眠り磐音 江戸双紙〜 夢の通い路』(2009.1.3)
第3シリーズ 『陽炎の辻3〜居眠り磐音 江戸双紙〜』(2009.4.18~8.8 全14回)
正月スペシャル『陽炎の辻〜居眠り磐音 江戸双紙〜 海の母』(2010.1.1)
正月スペシャル『陽炎の辻〜居眠り磐音 江戸双紙〜 完結編』(2017.1.2)
【セミナーのようす】
「若い人に見てもらえる"新しい時代劇"を作りたいと思っていたところ、青春ドラマとしても面白いこの原作を見付けた」と一柳。山本はオファーを受けた理由を、「時代劇は、時間や労力、所作、殺陣や着物姿など、
若い俳優にはハードルが高いが、そのハードルの高さに魅かれた」と語った。受け身が主という独特の殺陣は、役作りの中心でもあったと言う。一柳は「殺陣は、俳優の技量によって収録にかかる時間やお金が全然違う。
山本さんは五十手くらい連続で撮れてしまう」と絶賛した。時代劇離れも進んでいるが、一柳は「時代劇が無くなると、演出家も俳優も育たず、大先輩たちの技が継承されなくなる。ドラマ界全体の財産が減ってしまう」と
嘆く。西谷は「時代劇は、愛や憎しみという人間の普遍的な感情を、現代劇以上に濃縮して描ける。現代劇ではタブーとされることもストレートに描ける良さがある」と言う。山本も「時代劇をやることは、
長く続けられる俳優になれるということ。若い俳優が時代劇に触れる機会を少しでも作っていくことが、時代劇を繁栄させる第一歩」と時代劇への熱い思いを語った。(応募者数1178名)