テレビ番組のスタッフや出演者が、自ら制作した番組を振り返る人気公開セミナー「名作の舞台裏」第42回は、ホームドラマ全盛期の1970年代を代表する人気ドラマシリーズ『ありがとう』を取り上げます。
※2016.12.3 終了しました。セミナーの抄録をこちらに掲載しています。
【番組概要】
石井ふく子プロデューサーによるTBSホームドラマの代表作。制作はテレパック。脚本は、同年代に放送された『肝っ玉かあさん』と同じ平岩弓枝。主役に抜擢されたのは、当時超売れっ子歌手だった水前寺清子で、
その明るく庶民的なキャラクターがお茶の間に愛された。第1シリーズは婦人警官、第2シリーズは看護婦、第3シリーズは魚屋の看板娘と、いずれも下町を舞台に、水前寺清子と山岡久乃の母娘の日常生活や石坂浩二との恋、
近所の人々との人情の交流などを温かく描いて多くの視聴者をひきつけ、第2シリーズで民放ドラマ史上最高視聴率56.3%を記録した。第4シリーズでは、大幅に配役が変更された。
【放送】
第1シリーズ/1970年4月2日~70年10月22日(全30回)
第2シリーズ/1972年1月27日~73年1月18日(全52回)
第3シリーズ/1973年4月26日~74年4月25日(全53回)
第4シリーズ/1974年5月2日~75年4月24日(全52回)
【セミナーのようす】
本作の企画のきっかけについて、石井は「私は『ありがとう』という言葉が大好きで、その言葉でドラマを作りたいと思った」、また配役については、今まで全くドラマ出演のない人物を、
主役に立てたいと考えていたと振り返った。そんな中、水前寺に一目惚れし、何度もオファーを試み、ようやく出演の了承を得た。初めて本格的な芝居に取り組んだ水前寺は、芝居をしようと思ったことはなく、
石井から「好きなようにやりなさい」と指導されたと語った。本作が人々に支持された理由として、長山は、山岡久乃と水前寺の本気の親子のぶつかり合いを挙げ、「素敵な親子だった」と評した。
話題はドラマ制作の未来にも及んだ。石井は「今は人に対する優しさが欠けてきているのではないかと思う。色々なことを人にやってあげても忘れてしまうが、やってもらったことは忘れない。
それを私はこれからのテーマにしていきたい」と語った。会場からは本作に出会えたことへの感謝の声、登壇者からは本作に参加できたことに感謝する発言が多くあるなど、
終始「ありがとう」という言葉に溢れた温かなセミナーとなった。(応募者数918名)