「人気番組メモリー」は、広く教育・教養、家庭、エンターテインメント、ニュース・ショーなどの分野で話題になった番組を取り上げ、出演者や制作スタッフから制作当時のエピソードや裏話を聞く公開トークショーです。第10回は、1976年に始まり現在も放送中の長寿番組「日曜美術館」(NHK)を取り上げました。
<番組概要>
日曜朝、世界一流のアートを味わえる美術番組。毎回著名なゲストを招き、独自の視点で作品の魅力を語りながら、絵画、彫刻、工芸、現代アートなど、古今東西のさまざまなジャンルのアート作品をじっくりと鑑賞する。作品に込められた巨匠の思いや卓越した技法の秘密、作品を生みだした時代の息吹など"美"にまつわる物語を伝える、今年で37年目となる長寿番組。(1976年4月11日- 放送中/NHK)
<セミナーのようす>
番組開始当初は、「私と○○」というテーマで、著名人が好きな画家や彫刻家について語るという形をとっていた。美術に関する著作も多い太田は「大作家たちが自らをさらけ出し、時に涙しながら語ってくれた」と振り返る。西松も「美を鑑賞するのは一般の人。専門ではない人が語ることで、視聴者も等身大に理解できたのでは」と話した。番組の転換期となった80年代半ば、無名の画家・田中一村をとり上げた小河原は「美術界からは黙殺・非難されたが、視聴者からは1000通を越える大きな反響があった」と語った。2011年からキャスターを務めた千住には震災と美術の関係が重いテーマとなり、「番組で何を伝えればいいのか、美術や音楽にはどういう役割があるのかを自問し続けた2年間だった」と話した。各登壇者の「思い出の1本」や「私と○○」も、映像や画像をふんだんに使用して紹介され、充実した内容のトークショーとなった。